Re:原発がどんなものか知ってほしい


■EiFYE 原子力発電所FAQ 特別編■

■「原発が毎日被曝者を生み、大変な差別をつくっているものでもある」

放射線の線量の大小を無視して言えば、確かに毎日被曝者を生んでいるというのは間違っていないと思います。ただし、致死量の被曝、広島や長崎の原爆による被曝とはまったくレベルの違うものです。これを言いますと、病院のレントゲン室も毎日被曝者を出していると言えてしまいます。(放射線量はそちらの方が高い場合も多々あります)ですから、身体に影響が無いレベルの被曝についてこういった表現をするのはどうかと思います。また、原発で作業をしたからと言って、必ず被曝するという訳ではありません。原子炉建屋の中にも外部の自然環境と同レベル程度の線量しかないエリアが多々あります。(見学すれば一目瞭然です)また差別については後程詳しい話があるのでここでは割愛しますが、事の大小はともかく確かに存在すると思いますので否定はしません。実際、自分が「私は原発職員です。」と言って良い顔をされる事は殆どありませんから。自分としては現実に原子力発電所の安全性を確保すべく日夜努力しているつもりなんですが、正直言って風当たりは悪いです。でも、もちろん差別をしないで扱ってくれる人も居ますので、被害者風を吹かせるつもりは無いです。


■「現場監督として長く働きましたから、原発の中のことはほとんど知っています。」

さて、みなさん現場監督はどういった仕事をしているかご存知でしょうか。私が知る限り、監督は作業員が作業している状況を見て、きちんと正しく仕事をしているか、安全上問題が無いか、放射線被曝の程度はどのくらいか等を監視して、作業が正常に進行する事を管理する人だと思います。ですが、現場監督はあくまでも作業現場を見る人です。ですから自分が担当した作業に関する作業は詳しいでしょうし、私以上に実情を知っているかもしれませんが、専門外の作業についてはあまりご存知無いと思います。現場監督は現場作業の専門家で有るがゆえに、専門以外の分野についてはそれほど詳しくない、プラント局部的には詳しくても全般を通した見方をするのは難しいポジションだと思います。従って、「原発の中の事はほとんど知っています」というのは少々言い過ぎでは無いかと思います。実際、どう見ても放射線管理に関する記述には実情に相違する部分が多く見受けられますので、そのあたりを正確に表記すべきだと思います。また、この場を借りて「私の場合」を明記しておきます。私は「原子力発電所の運転」(現場でのバルブ操作、機器保守パトロール等現場業務と中央操作室での運転操作業務)の経験がありますので、ある程度の事は知っているつもりです。

しかし、これ以外の事については、ニュースで聞いた程度しか解らないのが現状です。他の電力会社の実情等は正直言ってよくわかりません。以下の文章については、そういう経歴の人間が書いた事だと認識していただきたいと思います。

■「原発は地震で本当に大丈夫か、決して大丈夫ではありません。」

耐震設計で固い岩盤の上に建設されているので安全だというのは机上の話だという事ですが、これは確かに机上の話です。そもそも設計というモノは机上で行われますので、間違っていないでしょう。ですが、机上で充分に検討されたものです。その設計は信頼に値すると私は思います。また、設計がキチンとしていれば大丈夫だが「施工が悪くては意味がない」という話については私も賛同します。ただし、そこで「地震がきたら決して大丈夫ではありません」と断言するのは誤りだと思います。実際耐震設計のされたものが、同時に「施工が悪い」とは断定できないのが現状です。本当に施工が悪いのかどうかが問題になりますが、モノを作った時にはかならずキチンと出来ているかを検査しますので、設計通りになっていない可能性は低いと思います。

■「素人が造る原発」「現場にプロの職人が少なく、いくら設計が立派でも、設計通りには造られていない」


これはかなり偏った見方だと思います。設備は設計された設計図面通りに施工されるのが普通ですし、施工管理も行っています。考えてみてください。施工チェックの記録簿には自分が確認したという署名が残るんです。後で何かあったらチェックした自分が責任を問われる訳です。普-4-通心配になるでしょう? 常識で考えてもちゃんと確認するのが当たりまえです。従って設計どおりに造られない確率はかなり低くなると思います。


■「原発にしろ、建設現場にしろ、作業者から検査官まで総素人によって造られているのが現実」

これは根本的に話がおかしいと思いませんか? この文章を書いた工事管理を行う現場監督であるご本人は素人では無い訳ですよね?ちゃんと現場監督にはそれなりの方が就いているという事が証明されているのではないでしょうか。若い監督も確かに居ますが、「総素人」は言い過ぎだと思いますが如何でしょうか。というか、建屋の電球の交換とか、そういったちょっとした作業はともかくとして、「素人に重要機器の分解点検なんか絶対できません。」予めやり方から解っていなければ作業自体が出来ないわけです。だいたい構造が解らなければ分解した後組み立てられません。実際、経験の無い人間に1/100mm焼嵌めカップリングの接合等は出来ないでしょう。従って、やはりある程度の経験者が作業に携わっているのは間違いないと言えると思います。



■「東京電力の福島原発では、針金を原子炉の中に落としたまま運転していて、1歩間違えば、世界中を巻き込むような大事故になっていたところでした。」



この話は正直言って「一歩間違えば」の部分が解りません。針金がどのようにして大事故の引き金に成るのか想像できますでしょうか?どこをどう一歩間違えても「世界中を巻き込むような大事故」に進展する事は考えられないのですが。こういう書き方をするならば、「針金がどこをどのようにすると大事故になるのか」を説明する必要があると思いますがどうでしょうか。



■「現場に職人が少なくなってから、素人でも造れるように、工事がマニュアル化されるようになりました。」



マニュアルというのは作業手順に漏れが無いよう確認できるようにした作業要領書を作るようにしたと言う事です。適正な作業手順、作業項目を明文化する事で正しい作業ができるようにしたものです。過去の失敗を繰り返す事が無い様にしたものです。よっぽど構造が簡単なモノ、例えばスタンドミラーなんかを買ってきた時は説明書を見ないで組み立てちゃうかもしれませんが、ちょっとした高性能のパソコンデスクを組み立てる時なんかだと、簡単そうでも組立図面を見ながら作りませんか?仮に図面に番号が振ってあったとして、その通りに組み立てるだけだとしても、左右が正しいか、サイズのあった部品を使っているかを確認しますよね? 確認しながら造るから変に試行錯誤することなく、当初の完成図どおりのモノが組みあがるわけです。だからマニュアルによって「組み立て間違い」が減るのは間違いないと思います。



■「原発の作業現場は暗くて暑いし、防護マスクも付けていて、互いに話をすることも出来ないような所ですから、身振り手振りなんです。」

これも非常に誤解を招く局部的な話です。ニュース等で報道されるシーンは殆どが事故時の映像なので防護マスクをつけた映像なんかがよく流れるわけですが、防護マスク着用の必要がある場所は本当に極一部だけです。また、昔ながらのゴムで密着するタイプに代わって、近年ではフードマスクと呼ばれる、透明な窓の付いたビニールカバーで頭をすっぽり包み込んで、そのカバーにポータブルの送気ユニットからフィルターを通して空気を送るというタイプのマスクが使用されています。これだとカバー越しに会話ができるので普通にコミュニケーションが取れます。



■「細かい仕事が多い石油プラントなどでは使いものになりませんから、だったら、まあ、日当が安くても、原発の方にでも行こうかなあということになります。」



正直私は溶接工の方々の経歴を知りませんので、もしかしたら本当にこのような話もあるのかもしれません。しかし、もしそうだったとしても、原子力設備で自分の仕事が原因でトラブルを起こしたらシャレにならない事は誰もが知っています。手抜きする人や技能のない人を受注会社が出してくるとは思えません。「○○ 建設が施工した原発で、手抜き工事が原因で事故が起きた」なんて事になったら、会社の信用を一気に失ってしまうわけですから。また、耐圧試験等によって実際に漏れたり壊れたり割れたりしない事を確認してから使用するので、さほど問題は無いかと思います。



■「素人が造る原発ということで、原発はこれから先、本当にどうしようもなくなってきます。」



原発が素人だけで作れる程簡単なモノでは無い事は容易に想像できると思います。確かに新人は素人かもしれませんが、どこの業界でも新人と言うのは素人なモノです。私だって様々な研修や訓練、実作業をすることで現在の技能を身に付けたわけで、発電所に来た当初は-5-「管理区域には鉛の放射線防護スーツを着て入るものだ」等とすっかり素人考えを持っていたんですから。素人も現場で経験を積んで、玄人になっていくんです。その辺を間違えないようにして欲しいと思います。



■「メーカーや施主の説明を聞き、書類さえ整っていれば合格とする、これが今の官庁検査の実態です。」



出来たものがキチンと動く事を確認しなければ、製品に対して支払いできるわけ無いです。そういう意味ではみなさんが家電品を動作試験せずに買ってきて、動作しなかった時点で初めてクレームを出すのと違って、プラント設備はスペックを満足する事を確認してから支払いをしますから、より確実に商品を購入していると言えるかもしれません。



■「運転管理専門官は素人で、「実は恥ずかしいんですが、まるっきり素人です」と、科技庁(科学技術庁)の者だとはっきり名乗って発言した人がいました。」



これは正直言って、私には真偽が解りかねます。残念ながら私には専門官に知り合いは居ませんので、直接話を聞く機会がありません。さて、それはそれとして、話の方向性が変わりますが。常識で考えてです。普通、「科技庁(科学技術庁)の者」が自ら講演会で「まるっきり素人です」と「会場から発言」するものでしょうか?たとえ本当にそうだったとしても、『「昨日まで養蚕の指導をしていた人やハマチ養殖の指導をしていた人を、次の日には専門検査官として赴任させた。」「美浜原発にいた専門官は三か月前までは、お米の検査をしていた人だった」と、その人たちの実名を挙げて話してくれる』モノでしょうか?常識で考えて、これを実行したら下世話な話ですが、言った本人、科技庁から締め出されてしまうと思いませんか? はたして「自分の職を追われて」まで、「講演会の会場」で、そのような発言をする「お役人」が居るでしょうか?今現在「運転管理専門官」をしている人がこういった発言ができるのかどうか。私は「本当かなぁ・・・」という印象を受けるのですが。正直よくわかりません。



■「東京電力の福島原発で、緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動した大事故」



これは1992年に起きたトラブルですね。原子炉に給水するポンプが予備機の点検による誤信号によって全台停止してしまい、給水が止まった結果、原子炉水位が急低下したので、原子炉が自動停止し、蒸気が出るのを止める為に原子炉が隔離され、ECCSの一つである高圧注水系によって別系統から給水、水位を回復したというものです。(公式発表より)個人的には給水喪失は「事故」と言って良いと思いますが、後述のINES国際尺度に則って業界では「異常な事象」と言ってます。このケースでは設計どおりに原子炉は緊急停止もしましたし、水位が通常より下がったので原子炉の自動隔離もされました。そして設計通り高圧注水がなされて水位が回復したという事から、たとえ「事故」が起きても原子炉の健全性を保護するシステムがキチンと動作して原子炉は無事だったという、安全系設備が妥当である事も示しているのではないかと思います。海外の爆発事故のようなモノは「大事故」と言いたくもなりますが、保護系の正常なインターロック動作を「大事故」と表現するのは、ちょっと言い過ぎかなぁと思います。この場合は設計範囲内で『予定通り放射能漏れ事故を防止できた』と言えるので、『大事故』とまでは言わなくてもいいと思います。個人的には『外部環境に放射性物質が漏れた』という事態が「大事故」なのではないかと思います。



■「電力会社の人は専門官がまったくの素人であることを知っていますから、火事場のような騒ぎの中で、子どもに教えるように、いちいち説明する時間がなかったので、その人を現場にも入れないで放って置いた」



これは違うと思います。これだけのトラブルだと確かに現場は火事場のような忙しさで、単純に連絡担当者が明確じゃなかったか何かで連絡漏れしたのではないかと思います。でも、わざわざ「説明が面倒だから連絡するのやめとこーぜ」とはならないですよ。だって、あとあと面倒じゃないですか?常識で考えてです。お役人に連絡が遅れたとなっては後々大変でしょう? 従って「素人だから知らせなかった」というのは間違いだと思います。また、個人的には何で『現場監督がそのへんの事情を語れるのか?』の方が不思議です。現場担当者が知る由も無い話だと思いませんか?



■「原子力検査協会の人がいます。この人がどんな人かというと、この協会は通産省を定年退職した人の天下り先ですから、全然畑違いの人です。」



まず大前提として『原子力検査協会』という協会は存在しないのですが・・・正直私も初耳だったので「そんな協会を実際に原子力発電所に勤務する自分が知らないなんて、そんなバカな!」と思って思わず検索してしまいましたが、検-6-索結果は問題の文章だけでした。とりあえず、ニュアンスの近い物を探してみると(財)原子力発電技術機構か(財)発電設備技術検査協会あたりがありますが、これらは決して「素人」の天下り先じゃないと思います。(ちなみに発電技検については原子力専門機関じゃないですね。)機関が存在しない事を知らずに「そんな素人の機関が見てるのか」とお考えになってしまった方は、もう少し「本当なのか?」という事に注意して読まれるべきだと思いますよ。



■「原発の事故のことも電力会社ではなく、メーカーでないと、詳しいことは分からないのです。」



確かにそういった側面はあるでしょう。トラブルが起きればもちろんある程度は電力会社の内部で原因を追求して、原因とそれに対する対策を決定するでしょう。ですが、トラブル発生の原因となった設備の故障原因や、故障メカニズムはやはりメーカーの工場設備で分析しなければわからないでしょう。みなさんだってテレビが煙を上げたら火災を防ぐために、コンセントを引き抜いてとりあえず安全を確保して、それからメーカーに修理に出すでしょう?プラントだって同じです。トラブルがあれば、まずは原子炉を安全に保護し、必要ならば設備の停止操作を行って、安全を確保してから、壊れた機器についてメーカーに確認を依頼します。なので、これはそれであっていると思います。



■「私が関わった限り、初めのころの原発では、地震のことなど真面目に考えていなかったのです。」



これは逆に問いたいと思いますが、ではなぜ初期の原発である日本原電東海1号機や東京電力福島第一原発の1号機、関西電力の美浜原発1号機の建物が耐震設計の施された造りになっているのでしょうか?地震国である日本に原子炉を設置するという段階で、初期から原発の耐震設計にはかなりの注意が払われています。だからこそ建物だってわざわざ地表の土を取り除いて大地の岩盤面に基礎を作っているのです。ですから、初めのころの原発から、ちゃんと地震の事は考えて造られているのは間違いありません。ただし、建設初期からすると現在は地震についての研究が進んで、いろいろな新しい見解が出ているのは事実ですので、現在に比べれば建設初期の段階ではわからなかった事もあっただろうと思います。従って古いプラントは当時の知見で設計されていますから、その後の新発見については検証をしながら対処する必要があると思います。



■「女川原発の一号機が震度4くらいの地震で出力が急上昇して、自動停止したことがありましたが、この事故は大変な事故でした。なぜ大変だったかというと、この原発では、1984年に震度5で止まるような工事をしているのですが、それが震度5ではないのに止まったんです。」



震度4で停止した原因は制御棒と燃料棒が揺れた事による原子炉出力の振動によって、出力が高くなった時に緊急停止設定値に引っ掛かったというものです。(公式発表より)わかりやすく言うと、「高速道路を運転中、ブレーキを踏まないのに、突然、急ブレーキがかかって止まった」のではなく、「突然エンジンの回転が上がったり下がったりし始めたので、安全のためにリミッターが動作して燃料供給が止まり、エンジンが動力運転を停止した」と言えます。高速走行中に急ブレーキがかかったら危ないですよね?スピンしたりするかもしれませんし、運転者だってビックリします。でも、原子炉が緊急停止したからと言ってスピンするような危険な事は無いわけです。核反応が止まるだけですから。「ブレーキがかかる」と言うよりは「燃料供給が止まる(アクセルから足が離れた)」という表現の方がより近いと思います。という事で、これは誤解を生む表現だと思います。それから、これもちょっと考えて戴きたいんですが、「なにも原因が無いのに原子炉が緊急停止する」はずが無いです。停止するからには停止する原因が必ずあります。今回は前記の理由で原子炉出力が一時的に上昇したから止まったわけで、正しい動作です。ですが、設定値5のところ4で止まったというのは確かに設定がずれていた事になるわけですから「5では止まらない可能性もある」という話はある意味ありえますし、いろんなことが設計通りにいかないということの現れという事も確かにできると思います。ですが、まず大前提として知っておいて戴きたいのですが、原子力設備は常に安全側寄りの設定をされているということです。震度5で動かない危険があるのならば、設定値がそれほど正確に設定できないのであれば、震度4寄りの、より安全な設定を行うものです。『圧力74キロで原子炉緊急停止信号が出る』という設計を満足する為には計器誤差を考慮して、73.8キロくらいで停止するようにセットしたりします。従って、設定値よりも安全側で動作する事は充分あり得ると言うことです。やはり怖いのは上記のように「震度5でも止まらない」事な訳ですから。というわけで、4で止まった事についてはそれほど問題視する必要はないのではないかと思います。逆だったら大問題になりますが。



■「原子炉には70気圧とか、150気圧とかいうものすごい圧力がかけられていて、配管の中には水が、-7-水といっても300℃もある熱湯ですが、水や水蒸気がすごい勢いで通っていますから、配管の厚さが半分くらいに薄くなってしまう所もあるのです。」



ここで予備知識を一つ。火力発電所の運転蒸気圧力は246気圧。蒸気温度は538度。さらにタービン発電機の回転速度は原子力の2倍の3000回転です。原子力発電所は原子炉の核燃料を保護する為に、比較的低い圧力と温度で運転されているのです。だから熱効率が悪いという問題もあるのですが。というわけで「70気圧」でも確かに十分高いかも知れませんが、「ものすごい圧力」と言うのは言い過ぎじゃないでしょうか。火力の超超臨界圧ボイラーに笑われてしまいます(泣)というわけで、原子力発電所の蒸気条件は実はそれほど過酷なモノでは無いんです。そのあたり、誤解しないようにお願いしたいです。



■「その現場が20分間作業ができる所だとすると、20分経つとアラ−ムメーターが鳴るようにしてある。」



アラームメーターは時間ではなく、被曝する放射線量を設定します。従って、「20分経つと鳴る」のではなく、「規定の線量被曝すると鳴る」というのが正しいです。



■「ですからネジを対角線に締めなさいと言っても、言われた通りには出来なくて、ただ締めればいいと、どうしてもいい加滅になってしまうのです。」



これも考えれば解ると思いますが、締め付けをキチンとやらなくて適当にしてしまって後で水が漏れたらアウトです。立会い検査で水が漏れた日には作業員も監督も真っ青になります。場合によっては次回以降、仕事が廻ってくるかどうか怪しくなるのですから。だから、ちゃんと管理基準通りに締め付けて、漏れが無いように何度もチェックします。



■「ホコリ、どこにでもあるチリとかホコリ。原発の中ではこのホコリが放射能をあびて放射性物質となって飛んでいます。この放射能をおびたホコリが口や鼻から入ると、それが内部被曝になります。原発の作業では片付けや掃除で一番内部被曝をしますが、この体の中から放射線を浴びる内部被曝の方が外部被曝よりもずっと危険なのです。体の中から直接放射線を浴びるわけですから。」



内部被曝は確かに怖いです。でも、プラント内の埃が放射性かというと、もちろん違います。普通の埃です。また空気は通常ダストモニタという放射線計測装置によって建屋内の空気中の放射能も常時測定してい-8-ます(公開情報より)ので、どこかで放射性のダストが舞えば、このモニタに引っ掛かります。事実、以前配管から放射性蒸気が漏れる事故があった時にはコレで放射能が検出されました。(浜岡原子力発電所事故公開記録より)また、内部被曝については放射線管理区域で作業をする従事者全員がホールボディーカウンターという内部被曝測定器で全身を測定し、異常が無い事を確認しています。(広報誌にも明記)特捜放射性ドキュメント企画教えて! 美凪さんその1 早く運転再開してほしいです「もんじゅ」は福井県敦賀市に位置する核燃料サイクル開発機構( 旧動燃) が保有する日本で唯一の高速増殖炉です。正式には「ナトリウム冷却高速中性子型増殖炉」で熱出力は71万4 千k W、電気出力28 万k W、燃料には専用のMOX 燃料を使用します。平成7 年に発生したナトリウム漏れ事故とその後の対応の悪さが祟って、それ以来ずっと停止したままです。もちろん事故処理は既に行われて、今はプラントもすっかり平穏を取り戻しているようです。長い間設備を停止していましたが、最近、数々の法的手続きを経て、やっと経済産業省から事故原因の2次主冷却系温度計の「設計及び工事の方法の変更に係る認可」が出されて、プラント運転再開に向けての最終段階に入りつつあります。長期的なエネルギーセキュリティーの確保を考えるとどうしても必要になる高速増殖炉。改善を重ねて、本格実用化に向けて頑張ってほしいです。



§ 第三区画【海は汚染されていますか?】



■「防護服というと、放射能から体を守る服のように聞こえますが、そうではないんですよ。放射線の量を計るアラームメーターは防護服の中のチョッキに付けているんですから。つまり、防護服は放射能を外に持ち出さないための単なる作業着です。作業している人を放射能から守るものではないのです。だから、作業が終わって外に出る時には、パンツー枚になって、被曝していないかどうか検査をするんです。体の表面に放射能がついている、いわゆる外部被曝ですと、シャワーで洗うと大体流せますから、放射能がゼロになるまで徹底的に洗ってから、やっと出られます。」



これはその通りです。正しいです。見学施設でもこの現場で着るスーツを見ることが出来ますが、ナイロン製ですからアルファ線以外の放射線は貫通します。私も実際に現場を自分の目で見るまでは鉛の防護服を着るものだと思っていたのですが、実際は違いました。逆に言うと、鉛の服等が必要な程放射線の強いエリアが存在しないという意味でもあります。また、ナイロン製のツナギ服なわけですが、これは言われている通り、放射性物質が身体や衣服に付着して、それが放射線管理区域外部に持ち出される事を防ぐ為に着用するものですので、管理区域の出口で脱衣かごに脱ぎ捨てます。見学に来られればこの状況が見れますね。



■「防護服には放射性物質がいっぱいついていますから、それを最初は水洗いして、全部海に流しています。」



これも誤った知識です。洗濯を行った時に出る排水は専用タンクに貯蔵され、放射能測定を行って、きちんと管理されています。測定を行って放射能が有れば放射性廃棄物として処理しますし、汚染のないエリアの作業服を洗っただけで、放射能が無い事が確認された水は普通の洗濯排水として放水されます。(公開資料より)これもちょっと考えれば解ると思いますが、もともと放射性物質を人体に付着させないように、代わりに防護スーツに付着するだけで済むようにしているのに、その防護服の洗濯廃液をそのまま流すというのはあまりにもナンセンスですよね?防護服で放射性物質の外部漏洩を防いだ意味が無いです。また前述のとおり、放射能を持った水を放水すれば放水口の放射能測定によって漏れているのがバレますので、垂れ流す事は絶対無いです。-9-



■「放射能垂れ流しの海。定検が終わると、海に放射能を含んだ水が何十トンも流れてしまうのです。はっきり言って、今、日本列島で取れる魚で、安心して食べられる魚はほとんどありません。日本の海が放射能で汚染されてしまっているのです。」



この件については断固として抗議したいと思います。どこからどうやって放射性の廃液が流れ出すんでしょうか? 定検中でも運転中でも廃液は処理施設に移送して処理をしています。(広報誌にも明記)従って、定検で汚染廃液が出た場合、処理施設の廃液は増えますし、これを固化処理して廃棄物ドラム缶につめるので廃棄物ドラム缶の発生量が増えるという事はあるでしょう。ですが、放射性廃液が海に流れ出すという事態は本当に大事故でも無い限り絶対ありません。もし万が一流れ出してしまったとしたら、放水口にある放射線測定器に検出されてしまいます。この放射線測定データは、公開情報ですから隠し立てなんかできません。また、実際問題がないかどうか農畜産物や海産物などを定期的に採取して放射性物質の量を調べています。ここでも運転中定検中を問わず異常は見つかっていません。(広報誌にも明記)放射能廃液が漏れれば、もちろん放水口付近の放射能が上がります。上がってしまったら、これはかなり大々的な除去作業を行わない限り除去できませんよね。従って実際に漏れれば比較的長期間、放水口の線量計の指示が以前に比べて上がりっぱなしになってしまうわけです。誰が見ても放射性の水が漏れた事がわかってしまいます。つまり放射能漏れは隠せないという事です。JCOの時もそうでした、JCO で事故が起きた時、原子力研究所周辺にあるモニタリングポストはその異常な放射線を克明に記録しています。放射線は目には見えませんが、計器に検出されるのを隠す事が出来ません。隠したところで放射線は少々の物なら貫通して出てきてしまいますから、測定されたら一発で見つかります。それこそ原子炉建屋のようにきちんと遮蔽しない限り(もっともそこまで遮蔽すれば管理されていると言えてしまうかもしれませんが)、外部で検出されてしまいます。放射線というのはそういった性質のモノなんです。だから漏らさないように細心の注意を払っていますし、100%バレる事が解っているのにわざわざ故意に隠れて漏らそうなんて事はする理由がありません。その点だけは、どうかご理解戴きたいと思います。だいたい「日本列島で取れる魚で、安心して食べられる魚はほとんどありません。」という程であれば、もっとニュースになって然るべきだと思いませんか?狂牛病であの騒ぎです、それが日頃食べる近海の魚が汚染されているのだとしたら、シャレにならないパニックになってもおかしくありませんよ。漁業問題としてもっと大々的に取り上げられてしかるべきでしょう。中には「パニックを恐れた政府の悪徳役人がマスコミに圧力をかけて隠しているに違いない」等と勘ぐる方もいるかもしれませんが、その政府の役人にしても刺身を食べたりしてますよね。原発職員の自分だって地元で採れた魚を食べてます。つまりはこの「放射能垂れ流しの海。」という話は明らかに間違っていると言う事です。私の話の方がウソだと思われるなら、実際に放射線計測器を借り出して普段食べている魚の線量を計って見ればいいんです。絶対問題ないレベルですから。この時点でこの方の文章がかなりの偽証を含んでいる事が証明されたのではないかと思います。



■「海に放射能で汚れた水をたれ流すのは、定検の時だけではありません。原発はすごい熱を出すので、日本では海水で冷やして、その水を海に捨てていますが、これが放射能を含んだ温排水で、一分間に何十トンにもなります。」



これはタービンの排気蒸気を冷やす循環水のことを言っているわけですが、タービン発電機を使用する発電所では火力原子力を問わず、確かに温排水として水温が上がった海水を放水しています。ですが、原子力発電所のこの排水は特に放射能汚染などはされていません。だいたいにして海水は冷却チューブの中を通っていますから直接蒸気と触れる事がありません。従って、放射性物質が海水に混入する事はあり得ないんです。また、頭の回転の良い方は「ではもし冷却チューブに穴が開いたら漏れ出すだろう」と思われるかもしれませんが、この点については実は逆の事態になるんです。排気蒸気を冷却凝縮する復水器は内部が蒸気の急激な凝縮によって真空状態になっています。ですから冷却チューブに穴が開いた場合、海水に蒸気が混入するのではなく、復水器内に海水が漏れ混みます。(玄海広報記事より) 従って、たとえ穴があいても海水に放射性物質が混入する事はありません。また先程も書いたとおり、排水に放射能が含まれていれば、放水口モニタで検出されますので、やはり県町にバレます。



■「排水口で放射線の量を計ると、すごい量です。」



これについては本当に放水口の放射線の量を知っているのかと小一時間問い詰めたいくらいです。中部電力の浜岡原子力発電所では毎日のデータが-10公開されています。http://www.chuden.co.jp/hamaoka/DETAIL/state.htmlで確認できます。(浜岡原子力発電所の例)このとおり、だいたい10cps弱程度です。一秒間に10パルス程度の放射線を検出する量という意味です。この量は自然界にある線量に比べて特に多い量ではありません。従ってこの文も明らかに誤ったものと言えると思います。



■「「私はいままで原発のことを知らなかった。今日、昆布とわかめをお得意さんに持っていったら、そこの若奥さんに「悪いけどもう買えないよ、今日で終わりね、志賀原発が運転に入ったから」って言われた。原発のことは何も分からないけど、初めて実感として原発のことが分かった。どうしたらいいのか」って途方にくれていました。みなさんの知らないところで、日本の海が放射能で汚染され続けています。」



これこそが私が最も嫌うところの風評被害以外の何ものでもありません。先述の説明から原子力発電所から放射性廃液は漏れていないとお分かりいただけたと思います。にもかかわらずこのような差別が行われるのは何故か。それはこの文章のような誤った知識が平然と流布されている為に、多くの人が誤解を余儀なくされているからに他ならないと思います。実際、この海水が汚染されるという話はあちこちで耳にします。つまりそれくらい誤った知識が広まってしまっているという事です。この誤った知識によって不当な差別が行われているわけです。JCOの時もそうでした。あの時だって、放射線は出ましたが、放射能汚染は広がっていなかったんです。だから農作物なんか何の影響もありませんでした。でも差別によって多くの食糧が事実上廃棄されました。あの時、私はとても悲しかったです。ちょっと勉強すれば解る事なのに、NHK以外の視聴率を狙った誤解を招くような内容のニュース報道で煽られるままに、なんの検証もせずにただ拒絶する一般の人々に怒りに似たモノを感じました。そんな事もあって、原子力発電所に対する誤解を解きたいと思うんです。自分が見知っている現状をキチンと説明して少しでも無意味な差別を無くしたい、ひいては自分も差別されないようになりたいんです。そんな事を考えてこんな本を書いたり、ホームページを運営しているという事は、参考までにでも知っていて欲しいかもしれません。ええ、話が横道に逸れすぎましたので修正します。特捜放射性ドキュメント企画教えて!美凪さんその2 実はちゃんと進んでいるんです核燃料リサイクル計画はサッパリ進んでないとか、リサイクルは実現不可能だからやめてしまえとか、いろいろと後ろ向きな話が多いのですが、実は遅れ気味ながら、リサイクルの要である再処理施設の建設は着々と進んでます。平成14 年6 月時点の建設工事進捗状況は全体で87 %。そう遠くない未来に国内で核燃料の再処理、リサイクルが可能になる見通しです。それから核燃料リサイクルは使用済み燃料のうちウランとプルトニウム併せて2%しか有効利用できないと大々的に宣伝している方が居ますが、核燃料の燃える部分というのはもともと僅か4% なので、2%= 燃える成分の50% が回収可能という事になります。また、残りの燃えないウラン238も9 5% あって、これもまた再生燃料を作るのに使用されるので、実質全体の97% を新たな核燃料の原料として使用できるのです。廃棄物も残りの3% だけになるので廃棄物低減の意味からも核燃料リサイクルは進めるべきではないでしょうか。-11§



第四区画【放射能を理解してますか?】



■「原発の建屋の中は、全部の物が放射性物質に変わってきます。物がすべて放射性物質になって、放射線を出すようになるのです。」



これは金属等が放射化されるという意味だと思います。確かに放射化されるという事はあります。ですが、建屋の中のもの全てが放射性物質に変わるというのは誤りです。物質が放射能を持つには、放射性元素を含む必要があります。金属が放射性を持つ元素に変われば放射化された事になりますが、モノによっては殆ど放射化が起きないものもあります。また、一部のプラスチックなど放射線の照射によって脆くなってしまうモノもありますが、放射化する物質はあまりないです。ですから、原子炉内構造物の交換工事の時は化学除染と呼ばれる、化学薬品洗剤を混ぜた水を循環させて炉内にこびりついた放射性物質を溶かして除去し、原子炉本体の放射能を下げてから作業しています。(公開資料より)まぁ簡単に言えば、ポットの内部にこびり付いた水アカをクエン酸洗浄剤で洗うようなモノですね。だからこそ、充分な放射性物質除去を行う事で、原子炉施設の解体作業も可能になりますし、放射性廃棄物の量もかなり少なくて済むんです。コンクリートなんか殆ど放射化されていないので一般廃棄物として処理できます。また、原子炉格納容器の外側、コンクリート遮蔽の外側に有るモノはまず放射化はしません。なぜなら放射化するほどの放射線が存在しないからです。「どんなに厚い鉄でも放射線が突き抜けるからです。」という記述もありますが、これも誤りです。実際には原子炉内の核燃料がフルパワーで反応している運転中でも原子炉本体金属による遮蔽、炉内の水による中性子遮蔽、原子炉周囲にある生体遮蔽コンクリートによる遮蔽、原子炉格納容器による金属遮蔽、その更に外周のコンクリートによる遮蔽等によって、原子炉建屋内の放射能もほとんど屋外と変わらないんです。実際に見学に来られれば運転中の原子炉炉心上部に立つことが出来ます。この見学の写真は良く出回っているので見た事のある方もいるかと思いますが、つまりあの頂部ハッチのコンクリート遮蔽によって放射線は充分遮られているんです。放射線を浴びなければ放射化は起きません。従って建屋内の物が全部放射性物質になっていくという事はないんです。だいたい、放射線が全てを貫通してしまっていたら、発電所周辺にも放射線が出てしまう事になりますが、もちろんそんな事はありません。実際発電所周辺に設置されている放射線測定器モニタリングポストの測定値は自然量と変わらない数値を示していますから。そろそろ訂正するのも疲れてきましたが、次行きます。



■「原発を見学した人なら分かると思いますが、一般の人が見学できるところは、とてもきれいにしてあって、職員も「きれいでしょう」と自慢そうに言っていますが、それは当たり前なのです。きれいにしておかないと放射能のホコリが飛んで危険ですから。」



もちろん一般見学者が歩くエリアは特に綺麗に掃除していると思います。まぁ、確かに冗談抜きで見栄えは重要ですから。自宅にお客さんが来るときは念入りに掃除したりするのと同じ事です。ですが、綺麗にしておかないと放射能の埃が舞うというのは誤りです。基本的に放射線管理区域と言えども、普通のエリアに放射性の埃が舞っているわけでは無いです。放射性の埃の出るようなエリアは区画されますので(公開資料より)、たとえ見学コースを外れても、放射性の埃が溜まってる所なんかはまず無いです。そうでなければ通常パトロールする人が毎日マスクして歩かなければならなくなるじゃないですか?それに見学エリアもそれ以外のエリアもみんな繋がっています。他のエリアの埃が飛んでくる事だってあるわけです。だから見学エリアだけが特に綺麗だというのはある意味見栄えが良いという以外の意味は無いです。だいたいタービン発電機廻りなんかは空間が広大で、見学個所だけ綺麗も何もあったもんじゃないんですが。-12-



■「放射能というのは蓄積します。いくら徴量でも十年なら十年分が蓄積します。」



この話も評価が難しいところです。内部被曝について言われているのであれば、外部に排泄されないものは確かに蓄積されます。蓄積されれば内部被曝測定の時にだんだん検出値が上がっていくことになると思います。ですが、現場で作業する事で放射線を浴びて、その外部被曝による影響が蓄積するというのであればそれは誤りです。放射線を浴びたからといって、浴びた量が蓄積されるわけではありません。致死量に近い異常な被曝はともかくとして、通常の作業で放射線を浴びたからと言って細胞が変質してしまうわけでもありませんし、細胞が新陳代謝するのにあわせて被曝した細胞は入れ替わります。時間が経てば条件がクリアするので、時間を基準に許容量が決まっているんだと思うんです。というわけですが、ちょっと判断が難しいですね。



■「三日分とか、一週間分をいっぺんに浴びせながら作業をさせるのです。これは絶対にやってはいけない方法ですが、そうやって10分間なり20分間なりの作業ができるのです。」



確かに明記されているとおり、絶対にやってはいけない方法だと思います。ですから先ほど話題に上った放射線アラームメーターで一日の許容量を超過した作業が出来ないように設定、管理されています。(広報資料より)これは自動的に設定されるものですから、どうしたって一日分以上の被曝をすれば例のアラームが鳴ってしまいます。ですから、少なくとも現状では間違っても一週間分を一日で浴びせて作業をする事は起こりえません。予測線量がアラームメーターの最大値を超える作業計画書は立案できません。許可もされません。もし誤って許可されてもメーターがセット出来ないので管理区域に入れず、物理的に作業を実施できません。また、現在だって昔と同じ機器を点検しているわけですが、その今の作業において、無謀な方法で作業をしている事は見た事も聞いた事も無いです。少なくとも現在はこんな方法の作業は絶対に無い(システム的に実施できない)と言えると思います。



■「なぜ、原発を止めて修理しないのかと疑問に思われるかもしれませんが、原発を一日止めると、何億円もの損になりますから、電力会社は出来るだけ止めないのです。放射能というのは非常に危険なものですが、企業というものは、人の命よりもお金なのです。」



客観的に見て、なるべくプラントを停止しないというのは間違いではないでしょう。停止となるとコストも勿論ですが、マスコミ報道による攻撃対象にもなりますから。ですから、停止せずに治せるなら停止せずに治したいところでしょうが、上記のような事態となると、止めると思います。ある意味電力屋は堅いです。トータルで半端な修理をして失敗したら効率が悪い、と言う事なら確実に治る手段を取るものです。また、放射線は確かにレベルによっては危険です。危険だからこそ管理されているわけです。原子力発電所関係者なら誰もがそれは承知しています。ですが、人命より金が大事かといわれたら、決してそんな事は無いです。すこし考えれば用意に想像がつくでしょう?そんな強引な作業をして、万一事故が起きたら。人身災害が起きたら。そちらの方が一大事ですよ。手続きだって大変なんです。マスコミや地元や国への説明だって大変です。そんな無理は誰だってしたくないでしょう。確かに放射線どうこうの問題も勿論ありますが、それ以前に危険な作業は極力回避します。人身事故発生の方がトータルで見てプラントに与える影響が大きいのですから、一般の作業で人命より金が優先されると言う事は無いでしょう。ただし、JCOのような緊急事態の時はまた話が別だと思いますが。



■「原発で初めて働く作業者に対し、放射線管理教育を約五時間かけて行います。この教育の最大の目的は、不安の解消のためです。原発が危険だとは一切教えません。国の被曝線量で管理しているので、絶対大丈夫なので安心して働きなさい、世間で原発反対の人たちが、放射能でガンや白血病に冒されると言っているが、あれは“マッカナ、オオウソ”である、国が決めたことを守っていれば絶対に大丈夫だと、五時間かけて洗脳します。」



これも随分偏った見解だと思います。放射線管理教育というのは、放射線管理区域で作業を行う場合に必要なルールを説明するものです。例えば、管理区域にある線量についての標識の説明や、廃棄物はどこにどのように分別して持っていけばいいか、作業で出た排水はどこに捨てればいいか等、作業をする上で必要な知識を教わるんです。もちろん国際的な放射線の年間許容量や、アラームメーターの使い方や意味合いなども教わります。更に作業中に注意することや、作業安全に関わる事などの一般的なルールも教育されます。というわけで、現場で標準的に必要になる知識を教育しているものであって、決して「原子力発電所は安全なんです。絶対安全です。心配ないです。」という事を洗脳する場では無いと、受講した私自身は思いますが。-13-



■「みなさんから現場で働く人は不安に思っていないのかとよく聞かれますが、放射能の危険や被曝のことは一切知らされていませんから、不安だとは大半の人は思っていません。」



これもそんな事はないと思います。みんな致死量の放射線がどんなレベルなのか、どういう場所に長く居たら多く被曝してしまうのか、逆にどこに居れば被曝を最小限に済ます事ができるのかを知っています。放射線に関する正しい知識を持っているので過剰な心配をする必要がありません。というわけで、不安を感じないというのは知らないから感じないのではなく、正しく知っているから感じないのだと思います。ただ、中には国際的な基準値すら疑う人もいるでしょうから、そういう人は僅かな線量でも過剰に心配しているかもしれないですね。私としては、発電所で被曝するレベルの線量ではガンの発生率に有意な変化は見られないし、実際にアラーム寸前まで被曝した時も特に体調も悪くならないですし、心配ないと思って日々の作業にあたっています。



■「作業者全員が毎日被曝をする。それをいかに本人や外部に知られないように処理するかが責任者の仕事です。本人や外部に被曝の問題が漏れるようでは、現場責任者は失格なのです。これが原発の現場です。」



これが本当だとしたら、現場監督は全員悪人という事になってしまいます。これもまた誤解を招く話なので明言しておきますが、被曝線量を誤魔化す事は出来ない体制が既に確立しています。作業対象の放射線量は測定によって予めわかりますからその機器についてどれくらいの時間作業をしたらどれくらいの被曝をしてしまうのかは事前に計算できるんです。そしてもし被曝している事を隠す為に、何らかの裏工作を行ったとしても、被曝量が予め計算されていた値から大幅に少なければ何らかの不正を行っている事が即座にバレます。予想と実情をチェックして、ウソがつけないようになっているんですよ。ですから、不正に被曝を隠す事は不可能なわけです。優秀な監督ならその辺りの事情を知っていますから、なおさら被曝を隠して自分の首を締めるような事はしないでしょう。というか、もう30 年以上も原子力発電所は運転されているんですよ。点検だってもう随分やってる。だからどの作業でどれくらい被曝するのかなんてことはもうわかりきっていて当然でしょう?わかりきった上で、どこを改善すれば被曝量をより減らせるのかについて探求しているわけです。それが線量低減というものなんです。これは原子力以外の放射線を扱う現場はどこでも同じだと思います。もう一度書きますが、放射線に関する事にはウソはつけないんです。物理現象は正直だと言う事です。特捜放射性ドキュメント企画教えて!美凪さんその3 実際使わないそうです平成13 年11 月7 日17 時02 分、浜岡原子力発電所1 号機で余熱除去系蒸気凝縮系配管曲がり部が破断した事故がありました。その後の調査で、配管内に水素ガスが溜まって、これが急速な燃焼(というか素直に爆発ですね)をした事で配管が壊れたと推定されています。この配管は元々通常時は使用しませんし、異常時でもまず使う事が無い、かなりのレアケースの為に存在するものです。撤去しても、他のシステムで代替できるので、特に問題はないです。それどころか最新のプラントでは「あんまり意味がない」という事で元々付いて無かったりします。というわけで、せっかくあっても使わない配管に意味はありません。トラブルの元は潔く撤去するというお話です。ちなみに電力会社によって対応はいろいろあるようで、バルブを増設して配管自体は残すところもあるそうです。撤去するにもお金がかかるので、弁を付けるだけの方が安くて手っ取り早いのかもしれませんね。-14-



§ 第五区画【事故の内容をご存知ですか?】



■「東京電力の福島第二原発で再循環ポンプがバラバラになった大事故」これは有名な事故の事を言っているようですね。3号機で正月に起きたものです。国際尺度でレベル2という重大事象とされています。確かにこれは大きなトラブルでした。原子炉再循環ポンプの振動が大きくなり、警報発生に至ったので停止して分解したところ、ポンプの軸受けや羽が損傷していて、削れた部分が金属紛になって炉内に流入したというものです。ちなみにポンプの状況については解説図がネット上にあります。

http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/fig_img?fig_path=/images/02/02-07-02-08/07.gif

なんですが。羽根車の一部が欠けて枠の一部が擦り切れたような状態を「バラバラ」と表現するのはどうかと思います。知らない人が読んだら文字通りバラバラの状態を想像してしまうでしょう。また「大事故」という表現も後にご本人が書いておられますが、「受け取った人の印象が変わってくる表現」です。この表現方法の件は別途後述します。



■「チェルノブイリの事故の時には、私はあまり驚かなかったんですよ。原発を造っていて、そういう事故が必ず起こると分かっていましたから。だから、ああ、たまたまチェルノブイリで起きたと、たまたま日本ではなかったと思ったんです。」



さて、この話もおかしい点があります。チェルノブイリの事故はプラント固有の構造(黒鉛減速炉)と、故意に安全システムを切って不安定な低出力運転を実施した為に発生したものです。従って、「原発を造っていて、必ず起こると解っていた」というのは話の筋が違います。そして「たまたま日本ではなかったと思った」という話が整合しません。なぜなら、プラント構造の違いによって、同じような事故は日本のプラントでは物理的に起きようがないからです。これはかなり周知されている話です。ネットで少々調べれば分かる事です。というわけで、この話もおかしいと思います。



■「関西電力の美浜原発で細管が破断した事故は、放射能を直接に大気中や海へ大量に放出した大事故でした。」



これも誤報です。過去の記録を見れば解りますが、発電所敷地内外に設置されている放射線監視装置の指示値は通常と変化なく、外部に対する放射能の影響はありませんでした。

http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/display?opt=1&term_no=02-07-02-04

に事故概要記録がタイムテーブル付きで解説されていますので、ぜひ確認していただきたいです。また「大量に」という表現が非常に誤解を誘発するように使われていると思います。大量がどのくらいの量なのか。それが明確に示されていません。記録によれば環境への放射能放出量の評価結果は「放射性希ガス約2.3E10ベクレル(約0.6 キュリー)、放射性よう素:約3.4E8ベクレル( 約0.01キュリー)、液体状の放射性物質:約7.E6ベクレル(約0.0002キュリー)であり、これらの値は当発電所が定めた年間放出管理目標値を十分に下回るものである。」とされ、「大量」ではない事が結論付けられています。また「環境放射線モニタリングの測定値によると今回の事象に起因する有意な変化はなく、放出放射能による周辺環境への影響は認められない」という事です。



■「この事故はECCS(緊急炉心冷却装置)を手動で動かして原発を止めたという意味で、重大な事故だったんです。」



これも誤りです。事象発生時、ECCS は自動起動しています。後の減圧操作時には確かにECCSの一つである減圧系を手動で起動していますが、これはあくまでもある程度事象が落ち着いてから、停止操作を行う上で起動したもので、炉心の健全性の観点からは問題視する-15-ものではないと思います。



■「ECCSは原発の安全を守るための最後の砦に当たります。これが効かなかったらお終りです。だから、ECCSを動かした美浜の事故というのは、一億数千万人の人を乗せたバスが高速道路を100キロのスピードで走っているのに、ブレーキもきかない、サイドブレーキもきかない、崖にぶつけてやっと止めたというような大事故だった」これも誤解を誘発する表現だと思います。ブレーキである原子炉自動停止はしましたし、サイドブレーキにあたるECCSも正常に動作しています。「高速運転しているバスはエンジンが故障したので自動的にブレーキがかかってエンジンが止まって停車。サイドブレーキを引いて、完全に停車した。」という表現が適切でしょう。前述の崖にぶつけて止まったという表現は明らかに誤った文章だと思います。普通バスを崖にぶつけて止めたら乗客は無事では済みませんからね。



■「原子炉の中の放射能を含んだ水が海へ流れ出て、炉が空焚きになる寸前だった」



これも誤りです。一次冷却水が二次冷却水系に漏れ出したのは確かですが、海にまでは漏れていません。また原子炉が自動停止していますから、空焚きにはなりません。火の消えたガス台の上でヤカンが空焚きになることはないのと同じです。ただ、原子炉は停止後も燃料の残留熱を冷やしてやらなければならないので、引き続き冷却は必要ですが、この点についてもECCS自動起動により炉水位は確保されていたわけですから、やはり空焚きなる寸前という事は無いです。



■「日本が誇る多重防護の安全弁が次々と効かなくて、あと〇.七秒でチェルノブイリになるところだった。」



確かに2台ある加圧器逃がし弁は開けられませんでしたが、きちんと当初の設計どおり、多重設計された代替系で減圧処置を行って停止しています。また、ECCSの自動起動は事態に応じて的確に実施されました。更にこのシステムがダメだったとしても、更なる予備系がちゃんとスタンバイされています。そのまた予備の手段もあります。また、何を指して「チェルノブイリ」なのか不明確ですが、メルトダウンの事を言っているとして、メルトダウンが起きても日本の原子炉には格納容器がありますので格納容器の無いチェルノブイリのように放射性物質が建屋外に大量放出される事故にはまずなりません。また「0.7秒」という数字の出典が不明です。何がどうなったら「0.7秒でチェルノブイリ」なのかが不明です。従って私もコメントのしようがありませんです。



■「たまたまベテランの職員が来ていて、自動停止するはずが停止しなくて、その人がとっさの判断で手動で止めて、世界を巻き込むような大事故に至らなかったのです。」



これも誤りです。前述のとおり、自動停止しているのでとっさの判断の手動停止操作はありませんでした。ちなみに運転操作や自動機器の動作状況は事象タイプライターに時間と共に打ち出されますので、トラブルが終わった後にこのプリントアウトを確認すれば何が自動で動いて、何を手動で動かして、その結果プラントの状態がどうなったのかを確認する事が出来ます。(公開記録より)航空機のブラックボックスのようなモノが原発にもあるんですよ。



■「この事故は、二ミリくらいの細い配管についている触れ止め金具、何千本もある細管が振動で触れ合わないようにしてある金具が設計通りに入っていなかったのが原因でした。」



これはその通りです。私が見ても実に遺憾な施工がされていたものだと思います。(経済産業省資料より)



■「そのことが二十年近い何回もの定検でも見つからなかったんですから、定検のいい加減さがばれた事故でもあった。」



これについては私もほぼ同意します。なぜ最初の施工完了検査で見抜けなかったのか。その後の定検でもカメラなどで確認していなかったのか、そのあたりに疑問を感じます。ですが、私はPWR型の定検がどのように行われているのか、当該個所の監視は可能なのか等、詳細がわからないので、私としてはあまりコメントしようが無いです。-16-



■「入らなければ切って捨てる、合わなければ引っ張るという、設計者がまさかと思うようなことが、現場では当たり前に行われている」



これについては、確かに美浜のトラブルで金具が変に加工されていた痕跡があった事などから、全く無いわけではないという認識を持っていますが、といって当たりまえに行われているとは思えません。どう考えてもレアケースだと思います。実際、他のプラントの全てで同様の施工ミスが見つかったわけではありませんし。一件をとりあげて、それが当たりまえだと言うのは言い過ぎだと思います。ただし、今後もこのような施工ミスが無いよう、万一あったとしても検知できるような厳しいチェック体制で望む必要性は感じました。



■「図面を引くときに、私が居た日立は〇.五mm切り捨て、東芝と三菱は〇.五mm切上げ、日本原研は〇.五mm切下げなんです。たった〇.五mmですが、百カ所も集まると大変な違いになるのです。だから、数字も線も合っているのに合わなかったのですね。これではダメだということで、みんな作り直させました。何しろ国の威信がかかっていますから、お金は掛けるんです。」



これについては現場を見ていないのでなんとも言えないのですが。そんな事があったんでしょうか。でも、メーカー独自の規格という奴は確かに存在するので、私としてもそんな事もあるかもしれないという気はします。で、もし現実にダメだったとしたら、恐らく作り直すでしょうね。電力としても必要な性能を発揮できない設備に金は出しませんので。が、国の威信はあまり関係無い気がします。設備がキチンと出来ていないと運転する電力が困るという事だと思いますが。だいたい作り直すにしても国はお金出してくれませんし。



■「どんなプラントの配管にも、あのような温度計がついていますが、私はあんなに長いのは見たことがありません。おそらく施工した時に危ないと分かっていた人がいたはずなんですね。でも、よその会社のことだからほっとけばいい、自分の会社の責任ではないと。」これについても私の意見を挟む余地はないです。ノーコメントです。確かにそういうことがあったかもしれません。でも、この話は「はずなんですね」という記述の通り、推測の域を出ていないと思うのですがどうでしょうか。



■「動燃自体が電力会社からの出向で出来た寄せ集めですが、メーカーも寄せ集めなんです。これでは事故は起こるべくして起こる、事故が起きないほうが不思議なんで、起こって当たり前なんです。」



確かに一つの企業だけで構成された団体ではないですから、いろいろ主義主張の違いもあると思います。でも、だからと言って、事故が起きない方が不思議かと言われるとそうでもないと思います。もしそういう話しだとすると、大規模ゼネコンで行われているJV工事なんか全部事故が起きない方が不思議と言う事になってしまいます。研究などでも複数の企業による共同研究なども行われていて、成果をあげています。動燃の問題はもっと別の所にあるような気がします。



■「普通の人にとって、「事故」というのと「事象」というのとでは、とらえ方がまったく違います。この国が事故を事象などと言い換えるような姑息なことをしているので、日本人には原発の事故の危機感がほとんどないのです。」



これは「言い換える姑息な手段」を狙ったモノというわけではなくて、ちゃんと経緯があるんです。実は原発の事故レベルには定義があります。1992年3月には国際的な尺度としてIAEA が定めたNES(IInternational Nuclear Event Scale)の正式な導入が各国に提案されていて、1992年8月から国内の評価尺度もINESに切り替えて運用しているんです。このINES の尺度は最近のニュースでも「〇+(ゼロプラス)」とか「〇−(ゼロマイナス)」のように報道されているので、皆さんご存知かもしれませんが、それぞれ

http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/fig_img?fig_path=/images/11/11-01-04-01/01.gif

http://mext-atm.jst.go.jp/atomica/owa/fig_img?fig_path=/images/11/11-01-04-01/02.gif

に示されています。この国際評価で行くと、日本の原子力発電所の事故と言われるものは殆どレベル2以下に入っているんです。従って、今でも指針の英訳に則って、事故ではなく-17事象と呼ばれている場合が多いんですね。また、この件については、作者が、『「事故」というのと「事象」というのとでは、とらえ方がまったく違います。』と言われているわけですが、同様に『大事故』という表現が多用されている問題の文章にも同じ事が言えると思います。どちらも適正な表現をするべきでしょうね。MOX(使用開JCO 燃料反応JCO 福島特捜放射性ドキュメント企画教えて! 美凪さんその4 既に海外でも使ってるんです) 燃料は普通のウラン燃料にプルトニウム酸化物を混ぜて作った核燃料です。もう随分前に発電所に配達されていて、あとは原子炉に入れるだけで使用できるのですが、始直前に事故が起きたり、燃料データの改竄(かいざん) が発覚したりして、事実上罰として使用が許可されず、今は燃料プールに保管されています。よくプルトニウムが入ってるから危険極まりないという話を聞きますが、実際には今のウランだって運転を継続しているうちに燃料内部にプルトニウムが出来ていて、しかもそれも一緒にして出力の一部になっているんですよ。ウラン燃料全体の出力の30%がプルトニウムによるものなんです。海外でも既に使用実績がありますし、事故とプルサーマルに因果関係もないんですし、県の地元町村では使用開始して良いですって言ってるんですから、そろそろ使用を開始してもいいんじゃないでしょうか。-18



§ 第六区画【プルトニウムとリサイクル】



■「プルトニウムはどんなに微量でも肺ガンを起こす猛毒物質です。プルトニウムはこの世で一番危険なものといわれるわけですよ。」



プルトニウムは放射性物質です。確かに半減期も長いです。ですが、ここで問題視されているのはアルファ放射線を出す事で、決してサリンや砒素などのような、物質特有の毒性を持っているわけではないんです。同じ放射性物質の中でプルトニウムだけが猛毒扱いされるのは、アルファ線を放射する為に内部被曝した場合に、強い影響力があるからです。アルファ線は紙一枚で遮る事ができる放射線です。しかし内部に取り込んでしまうと遮蔽物が無いので、アルファ線を直接浴びてしまい、これがガンを引き起こすのではないかというわけです。しかし、それを言い始めると、アルファ放射線を出す物質は他にもありますから、それらも猛毒扱いしなければならなくなるでしょう。確かにアルファ核種を扱うのは注意が必要ですが、だからと言ってプルトニウムを取り立てて猛毒扱いする必要は無いと、私は思います。また、アルファ放射線は紙一枚で防げるものですから、内部被曝さえしないように注意して扱えば透過力の強いガンマ線を出すものより扱いは簡単です。例えばα 線を出す放射性物質をドラム缶に入れてしまえばドラム缶自体の外部放射能は『ゼロ』になります。



■「しかし、日本のプルトニウムが去年(一九九五年)南太平洋でフランスが行った核実験に使われた可能性が大きいことを知っている人は、余りいません。フランスの再処理工場では、プルトニウムを作るのに核兵器用も原発用も区別がないのです。だから、日本のプルトニウムが、この時の核実験に使われてしまったことはほとんど間違いありません。」



確かに日本の使用済み核燃料の再処理はフランスのコジェマ社とイギリスのBNFL で行っています。ですが、あくまでも依頼しているのは再処理であって、再処理後の回収プルトニウムと、放射性廃棄物はまるまる日本に帰ってきます。見方によっては日本の使用済み燃料から抽出されたプルトニウムがフランスで使用されたと見る事もできるかもしれませんが、最終的に再処理した分は日本に帰ってくるんです。これは海外派兵をせずに、アメリカに金を払って、「救援物資に使ってくれ」と言っているのと同じような話です。結局はアメリカの国庫に収まった時点で兵器購入資金と見分けがつかなくなってしまうんです。あくまでも見方だけの問題だと思いますし、無意味な議論だと思います。



■「もし、日本政府が本気でフランスの核実験を止めさせたかったら、簡単だったのです。つまり、再処理の契約を止めればよかったんです。」



再処理されてしまっているものの契約を止めたとして、それで核実験を止めさせる事が本当にできると思われますか? 私はそうは思えません。核実験の実施という高度に政治的な意味を含んだ事態は、日本の再処理どうこうというレベルの話ではないと思います。



■「普通の原発で、ウランとプルトニウムを混ぜた燃料(MOX燃料)を燃やす、いわゆるプルサーマルをやろうとしています。しかし、これは非常に危険です。分かりやすくいうと、石油ストーブでガソリンを燃やすようなことなんです。原発の元々の設計がプルトニウムを燃すようになっていません。プルトニウムは核分裂の力がウランとはケタ違いに大きいんです。だから原爆の材料にしているわけですから。」



「いくら資源がない国だからといっても、あまりに酷すぎるんじゃないでしょうか。早く原発を止めて、プルトニウムを使うなんてことも止めなければ、あちこちで被曝者が増えていくばかりです。」プルサーマルについては別途解説文がネット各所に存在しますので、そちらを参照願います。なお、既に現在の炉心内部でもウランから生成されたプルトニウムが一緒に反応していますので、MOXを使用したとしてもプラントに有意な影響はありません。また、石油ストーブでガソリンを燃やすのともイメージが違います。プルトニウムが含まれていてもガソリンのように引火性が高いわけでもないですし爆発もしません。強いて言えば「レギュラーガソリンの代わりにハイオクを入れる」になるかと思います。また、原爆の材料と言っても濃縮度(爆弾99% 以上、核燃料4% 程度)などの使用形態が全く異なりますし、プルトニウムの核分裂によって発生するエネルギーとウランによるエネルギーはそれぞれ約200MeVでけた違いではありません。蛇足ですが一般に海水中に含まれている重水素は水爆の原料になります。要は原料をどのように加工するかが問題なわけです。



■「日本には途中でやめる勇気がない。世界では原発の時代は終わりです。原発の先進国のアメリカでは、二月(一九九六年)に二〇一五年までに原発を半分にすると発表しました。それに、プルトニウムの研究も大統領命令で止めています。あんなに怖い物、研究さえ止めました。」-19-



これについてはご存知の方も多いと思いますが、カリフォルニアで電力危機を味わったアメリカは再び原子力に対して推進の立場に転じています。停止した原子力発電所も次々と再起動しています。アメリカのブラウンズフェリー1号機は17年の停止期間を経て、各部修理点検後の2007年5月に運転を再開される事が決定しています。これが少なくとも現状を支える為にも原子力発電所は必要なのだという証拠なのではないでしょうか。ドイツは確かに原発を止める決定を下しました。これは原子力発電に反対する緑の党が政権を握った為、公約を実行しているものですが、代わりに隣のフランスから原子力発電によって作られた電力を購入しているというのも有名な話です。そして、まさにドイツでは緑の党が政権から離脱する動きがあり、これに伴って脱原発政策を見直す動きがあります。また、仮に原子力発電の時代が終わったとして、代替はどうなっているでしょう?代わりに風力を使うという話があります。確かに風力は有力なクリーン発電方法だと思います。推進には私も賛成しています。が、これには安定した供給が出来ないという最大の問題があります。電力の需要は刻々と変化します。電力会社はその変化に合わせて発電機の運転を調整しています。ですが風力は不必要な時に停止させる事は出来ても、風が無ければ必要な時に出力を出す事ができません。風が一定の強さで吹きつづければ出力は安定しますが、吹いたりやんだりする風の場合は出力が変動します。発電機の数を多くすれば一部で風が止まっても他では吹いてるのでトータル発電量は安定するという議論もありますが、それは風の合計が変わらない場合の話です。広範囲で風が弱い時には全体平均の出力が低下してしまいます。これでは安定した電力供給が出来ないのです。だから、風力は補助的に使うとしても、主力にはなり得ないと思います。



■「どうして日本が止めないかというと、日本にはいったん決めたことを途中で止める勇気がないからで、この国が途中で止める勇気がないというのは非常に怖いです。」



これは「やめる勇気がない」のではなく「やる必要がある」という事だと思います。アメリカで原子力発電が再開されるように、現実にこの世界を支える為に、まだ原子力は必要なエネルギーだと思います。だから続けるんです。そして、もし、原子力に代わるもっといい発電方法が実用化されたら、その時になって初めて乗り換えればいいわけです。



■「日本の原子力政策はいい加減なのです。日本は原発を始める時から、後のことは何にも考えていなかった。その内に何とかなるだろうと。そんないい加減なことでやってきたんです。」



このお話にあるとおり、先を考えずにいい加減に『現状を支えている原子力をやめる事はできない』と、こう思います。原子力を進める上では、確かに問題を先送りにしてきた経緯があります。実際に進みが遅くて困っているのが現状です。それでもやっと六ヶ所村の再処理施設の稼動が見えるところまでやってきたんです。やっと国内で核燃料リサイクルが成立する目途が立ってきたという所です。遅々としてはいますが、確かに進んではいるのです。先送りにしてきた部分がやっと進んできています。しかし、「先送りにしてこれた」のは、あくまでも再処理、廃棄物処理と言った、「事後の処理に関する部分」だった事を忘れてはいけないと思います。ここで原子力をまず止めて、代替電源の確保を先送りにしたらどうなってしまうか。電力不足が現実のものに成ることは明らかです。



■「いままでは大学に原子力工学科があって、それなりに学生がいましたが、今は若い人たちが原子力から離れてしまい、東大をはじめほとんどの大学からなくなってしまいました。机の上で研究する大学生さえいなくなったのです。」



確かにこれも問題として取り上げられています。実際に詳細調べたわけではないのですが、確かに原子力を研究する学生は減っているそうです。もっとも、学生人口自体が減っているわけですからある程度は仕方ないとも思いますが、確かに忌々しき事-20-態だと私も思います。しかし、東大から「原子力工学科」は無くなっているようですが「システム量子工学専攻科」という名称で大学院には原子力を研究する部門がちゃんと残っています。東大で原子力の勉強が出来なくなったというわけではないと思います。



■「メーカーでさえ、原子力はもう終わりだと思っているのです。」



これも極端な話だと思います。確かに原発立地が進まず、火力プラントのリプレース(建て替え)が多い今、人員をそちらに割くのは当然だと思います。ですが原子力部門を無くすという動きはどこにもありませんし、現に部門が存在します。というわけで、別にメーカーが原子力を終わりだと思っているという見方は出来ないと思います。-21-§ 第七区画【廃棄物処理と廃炉処置は?】



■「具体的な廃炉・解体や廃棄物のことなど考えないままに動かし始めた原発ですが、厚い鉄でできた原子炉も大量の放射能をあびるとボロボロになるんです。」



原子炉は内部に試験片と呼ばれる原子炉材料と同じ材質のものを入れてあって、これをサンプリングして試験する事で、原子炉本体の材質の状態を確認しています。(公開資料より)従って、原子炉本体の劣化は確実に検出する事が出来ます。その結果から、原子炉がボロボロには成っていない事が確認できるわけです。それから、いわゆる応力腐食割れ(SCC)の問題については、現在では材質を変更して対策してあります。この対策によりプラントの耐用年数が大幅に延びています。



■「放射能がゼロにならないと、何にもできないのです。放射能がある限り廃炉、解体は不可能なのです。」



これについては前述の通り、化学除染等により線量を大幅に下げる事が可能となっています。従ってゼロになるのをただ待たねばならないというわけではありませんし、解体ではありませんが、実際に原子炉内構造物であるシュラウドの交換作業も実施され、原発の殆どの部分が交換修理可能である事も証明されています。



■「最初に耐用年数が十年といわれていた原発が、もう三〇年近く動いています。そんな原発が十一もある。くたびれてヨタヨタになっても動かし続けていて、私は心配でたまりません。」



耐用年数10年とは随分短い話ですね。建設コストの元が取れないのではないでしょうか?その後の解析によって、現在ではなんと寿命は60年行けると言われています。もちろん然るべき補修やモーター、ポンプなどの交換を行いますが、原子炉本体は炉材のサンプリング分析の結果、まだまだ充分大丈夫な事が判っています。(公開資料より)従って、言われるほど「くたびれてヨタヨタ」には成っていないというのが現状のようです。



■「なぜ、原発は廃炉や解体ができないのでしょうか。それは、原発は水と蒸気で運転されているものなので、運転を止めてそのままに放置しておくと、すぐサビが来てボロボロになって、穴が開いて放射能が漏れてくるからです。原発は核燃料を入れて一回でも運転すると、放射能だらけになって、止めたままにしておくことも、廃炉、解体することもできないものになってしまうのです。」



これも誤った見解だと思います。実際、シュラウド交換工事の時に原子炉及び付属配管の水を全部抜いてプラントを一年近く停止しています(公開資料より)が、酷い錆びなんか出てないです。もちろん穴も開いてませんし、放射能だって漏れてません。というか、それを言ったら火力プラントだって同じように水や蒸気が流れているわけですよ。常識で考えてみても、配管系が停止してスグにボロボロになるはずが無いです。従って停止も解体も出来ないという話も誤りで、現在東海発電所で既に停止、解体、廃炉処置を実施中です。廃炉解体は可能である事は実際に証明されています。



■「これから先、必ずやってくる原発の閉鎖、これは本当に大変深刻な問題です。近い将来、閉鎖された原発が日本国中いたるところに出現する。これは不安というより、不気味です。ゾーとするのは、私だけでしょうか。」



先ほども書きましたが現在日本原電東海発電所では閉鎖ではなく解体が進められています。更に先日敦賀1号機の廃炉解体も決定しました。ついでに言うと、実験炉である「JPDR1」も解体され、今では原子炉跡地は更地になっています。確かに解体は時間もかかって大変な作業のようですが、現に解体が実施されているわけですので、この閉鎖に関する心配は不要かと思います。



■「低レベル放射性廃棄物、名前は低レベルですが、中にはこのドラム缶の側に五時間もいたら、致死量の被曝をするようなものもあります。」



区分が数値化されて明確なわけではないので「低レベル廃棄物のなかで最も線量の高いモノ」と言うのは明確には解りませんが、参考としてIAEAの区分によれば低レベル放射性廃棄物というのは2mSvから20mSvの線量当量のあるものを言うそうです。この区分を適用するならば、最大で20mSvのドラム缶の脇に5時間居ると100mSvとなりますから、やはり5時間で致死量というのは話が合いません。この話も真偽がはっきりしないです。



■「日本が原発を始めてから一九六九年までは、どこの原発でも核のゴミはドラム缶に詰めて、近くの海に捨てていました。その頃はそれが当たり前だったのです。私が茨城県の東海原発にいた時、業者はドラム缶をトラックで運んでから、船に乗せて、千葉の沖に捨てに行っていました。」-22-



これ、本当なんでしょうか? もし真実なら、これは大きな問題だと思います。それこそ世界的な論議になると思いますし、千葉近海だって調査しなければなりません。現実問題として、国際的にも『海洋投棄は、日本においては実施されていない。』とされています。海洋投棄問題については、日本海にロシアが海洋投棄を行ったという話は周知の事実で、これについては様々な調査もされました。この調査では特に影響はないという結果が出ています。また、「北大西洋でOECD/NEA協議監視制度の下で、英、仏、西独等により1967年から1982年にかけて海洋投棄が実施されたが1983年以降は行われていない」という情報を聞いています。さて。ここで私、ちょっと冷静に考え直してみたんですが。日本原電敦賀1 号機と関西電力美浜1 号機運転開始は1970 年。東京電力福島第一1 号機の運転開始は1971 年です。従って、電力会社の原子力発電所はまだ出来ていませんから69 年にはまだ廃棄物が発生していません。だとすると、1969年まで日本が海洋投棄をしていたという話は1966年に運転開始した東海発電所のガス炉か、それ以前の実験炉のものという話になります。当時の実情は私には知る由もありませんが、少なくとも現在では海洋投棄は国際的にも禁止されていますし、ドラム缶も番号管理されて存在場所が管理されていますので、今後も公式にも非公式にも実施される事はないと思います。



■「一体、三百年ももつドラム缶があるのか、廃棄物業者が三百年間も続くのかどうか。どうなりますか。」



300年もつドラム缶というのは難しいでしょう。確かに剥き出しのままであれば、ドラム缶はどうしても錆びたりしてくると思います。しかし「処分」された段階で、ドラム缶はそれを並べたコンクリートピットごとコンクリートで埋め込んでしまいますので、ドラム缶は完全にコンクリート詰めされた状態になります。コンクリートと一体となった状態ですので錆びなどは問題にならないと思います。このような処分方法は「浅地中処分」と呼ばれていて、既に実施されています。



■「もう一つの高レベル廃棄物、これは使用済み核燃料を再処理してプルトニウムを取り出した後に残った放射性廃棄物です。これはどろどろの高レベル廃棄物をガラスと一緒に固めて、金属容器に入れたものです。この容器の側に二分間いると死んでしまうほどの放射線を出すそうですが、これを一時的に青森県の六ケ所村に置いて、三〇年から五〇年間くらい冷やし続け、その後、どこか他の場所に持って行って、地中深く埋める予定だといっていますが、予定地は全く決まっていません。」



これは概ね正しいです。高レベル廃棄物処理の最終的な方策は処分方法こそほぼ決まった(ここでは割愛しますが詳細は経産省でパンフレットを作って説明しています)ものの、埋設地が見つかっていません。原子力発電最大の問題と言えると思います。これは今後絶対に解決する必要がありますが、正直言って頭の痛い問題である事この上ないです。原子力発電をやるべきだと思っている自分自身、この問題だけはどうにも反論出来ない部分として引っかかり続けています。もう、それこそ私の家の地下に埋めれるものなら埋めて欲しいと本気で思っているくらいです。



■「原発自体についても、国は止めてから五年か十年間、密閉管理してから、粉々にくだいてドラム缶に入れて、原発の敷地内に埋めるなどとのんきなことを言っていますが、それでも一基で数万トンくらいの放射能まみれの廃材が出るんですよ。生活のゴミでさえ、捨てる所がないのに、一体どうしようというんでしょうか。とにかく日本中が核のゴミだらけになる事は目に見えています。早くなんとかしないといけないんじゃないでしょうか。それには一日も早く、原発を止めるしかなんですよ。」-23-



原子力発電所の解体廃棄については既に放射性廃棄物として処分する部分と、通常の産業廃棄物や再生コンクリートとして使用できる部分などについて決まっています。原子力安全委員会の報告書では「放射線量が年間0.01ミリシーベルト以下なら人体に影響がないと判断し、一定の廃棄物中に含まれる放射能の上限を物質ごとに定める」としていて、この基準に従えば、110万kWプラントの解体廃棄物合計55万トンのうち53万トンは一般廃棄物扱いになり、それ以外の2万トンが放射性廃棄物として処理される事になるわけです。確かに数万トンの放射性廃棄物が出ると言えますが、見方によっては放射性廃棄物として処理する必要があるのはプラント解体廃棄物全体の3.6%だけであるとも言えます。しかしながら、解体までに密閉管理を5年か10年行うという話はどこにもありません。解体に5年から10年かかるのではという話なら聞いたことがありますけれども。また、変な話、今原発をすぐに止めたところで、解体廃棄物の量は変わらないと思いますが。早く止めたからといって「なんとかなる」わけじゃ無いように思います。



■「『お聞きしていいですか。今、廃棄物を五〇年、三百年監視するといいましたが、今の大人がするんですか?そうじゃないでしょう。次の私たちの世代、また、その次の世代がするんじゃないんですか。だけど、私たちはいやだ』と叫ぶように言いました。この子に返事の出来る大人はいますか。」



確かにこの生徒の意見ももっとも思えるかもしれません。確かに廃棄物問題は我々の世代だけでは解決できません。次の世代。そのまた次の世代へと受け継がれる問題になります。ですが。考えてみて下さい。福島第一原子力発電所1号機は1971年に運転を開始しました。私はその年に生まれました。私が生まれた時、原子力発電は始まっていました。そして今、私はその福島第一原子力発電所1号機にも携わって仕事をしています。これはある意味既に2 代目に引き継がれていると言えるのではないでしょうか。私が育ってきた今までの間、私は知らず知らずのうちに原子力発電による電力を使って生きてきました。今の自分の生活があるのは原子力発電によって支えられている部分がある事も学生時代には理解していました。だからそれについて引き継がなければならない部分があることもある意味理解していたと思います。今、原子力発電所があるのは何故か。それは原子力発電が新しいエネルギー源として必要だったからではないでしょうか。オイルショックもあり、石油依存から脱却する必要もあったでしょう、近年ならCO2削減問題にも関わる事でしょう。必要があって今ある。それは確かに自分が生まれる前から自分の知らないうちに造られたものかもしれません。でも当時それらを動かし始めた人たちは少なからず未来の為に、恐らくは当時子供であり、今は大人になった我々の生きる時代の為にと思って原子力発電を始めた部分もあるだろうと、私は思います。

そして、現在、実際にそれに支えられている現実がある。ならば、その利益を享受してきた世代であり、そして今を支えられている我々にはそれを引き継ぐ義務があると思います。自分たちが始めた事じゃないからと言って無視していい物ではないと思います。昔の大人たちは将来の子供達の為に、すなわち今の自分達の為に頑張って作ってくれたんだと、そう思うんです。そして昔の大人達だって、自分達以前の大人達が残した厄介ごとを解決しながらやってきたわけですよ。僕らから見た大人達は、その前の大人達がしでかした『戦争』という厄介ごとの後始末もやらされてきたんです。それに比べれば今の我々や、我々の一つ下の世代の引き継ぐモノの何と軽い事か、と思うんですがどうでしょうか。結局誰もが前の世代のことを好むと好まざると引き継いできたんです。それが歴史なんです。

確かに今となっては、「先送りで俺たちに後始末を押し付けて」と文句を言う人も居るでしょうし、「原発を作って欲しいなんて俺は言ってない」という人も居るかもしれません。でも私はこれを受け継いで、なんとか問題も解決しつつ、将来的にもエネルギー不足になる事無く文明を維持していけるようにしたいと思っています。嫌なモノ、面倒なモノを引き継ぐのは嫌だと言うのは簡単です。でも、引き継ぐべきもの、引き継がねばならないものと言うのは、原子力に限った事ではなく、いろいろな分野にあると思います。地球温暖化問題だって、石油をあんなに大量消費した結果ですし、オゾンホールだって、便利だって事でフロンを使いまくった結果です。当時子供だった我々は、「そんなの大人がやった事だ」と言えば確かにそう言えてしまうでしょう。

でも、誰も故意に面倒な問題を残そうとして残してるわけじゃないんですよ。気がついたら遅かったり、知らなかったりした。ある意味、人間のやる事なんだから仕方ない部分もあるんじゃないですかね?

それに、現状を拒絶した所で、事態は何も好転しません。対策を我々の世代がやらなければ、更に先の将来に、更なる悪影響を残してしまうでしょう。それは回避したい。だから面倒な問題も引き継いで、我々が何とかしなければいけない。目前に現実に問題がある以上、逃げる事は出来ないんです。-24-

文句を言っても誰も対処できません。自分たちが対処するしかありません。大人に文句を言うのはかまいません。でも処理は結局自分たちがしなければならない。もし本当に引き継ぐのが嫌なら、自分たちの世代でそれをやめるようにするしかないでしょう。温暖化問題対策をしたくなければしないというのもその世代の意思です。

実際にアメリカなんかは現在の繁栄を維持する為にCO2削減計画を無視しようとしているわけですし。その結果、将来地球がダメになったとしてもそれはその世代が選んだ道なんですから。

もちろん、そんな事をしたら次の世代に猛烈に文句を言われるでしょう。それは「自分達より更に前の世代が悪いんだ」なんて言っても通用なんかしません。今の大人たちがちゃんと対処してくれなかったからだと、子供達は訴えるでしょう。そう、今まさにその生徒さんが言ってのけたようにです。

私なら彼女には以上の話をしたいと思います。そうやって時代は引き継がれるものなんですから。その鎖を断ち切るとしたらそれは自分達自身だって事を言ってあげたいですね。ただし、同時に自分たちがした事は未来の子供達に今の自分同様に評価される事になると言う事も解ってもらいたいと思います。さて、話が横道に逸れすぎました。話を戻します。



■「それに、五〇年とか三百年とかいうと、それだけ経てばいいんだというふうに聞こえますが、そうじゃありません。原発が動いている限り、終わりのない永遠の五〇年であり、三百年だということです。」



これはその通りだと思います。原子力発電を続ける限り、廃棄物処理だってずっと続きます。でもこれはやはり原子力発電に限った話ではないと思います。アスファルトの道路を使う限り永遠に補修を続けなければ成りませんし、産業が存在する限り産業廃棄物は発生しますし、人間が今のような生活を続ける限りゴミは出続けます。人間が生きている限り、永遠に問題が尽きる事はありません。大きな視点で見ればそういう見方もできると思いますが、どうでしょうか。§ 第八区画【放射能は漏れているか?】



■「日本の原発は今までは放射能を一切出していませんと、何十年もウソをついてきた。でもそういうウソがつけなくなったのです。」



これはある意味正しいと言って良い思います。一昔前までは「殆どゼロ」である事を「ゼロ」と言っていたようですから、これをウソだと言えば確かに厳密に数値的にゼロではありませんのでウソという事になります。考えようによりますが、個人的にはウソがつけなくなったというよりは、より詳細に説明するスタンスに変わって来たという事だと思います。ですが環境に影響があるような放射性物質の排出は限りなくゼロであるとは言えると思います。これも排気塔のモニタ数値がリアルタイムに公表されていますから、ぜひ確認してみて下さい。

http://www.tepco.co.jp/fukushima1-np/monitoring/haiki3.html



で確認できます。見ていただけると解りますが、10cps未満程度の自然放射線と大差ない数値が出ています。

■「原発にある高い排気塔からは、放射能が出ています。出ているんではなくて、出しているんですが、二四時間放射能を出していますから、その周辺に住んでいる人たちは、一日中、放射能をあびて被曝しているのです。」



前述の放射線モニタの数値の通り、確かに極微量ですが出ています。が、その量は天然の放射線による被曝と差は無いレベルである事を明記する必要があると思います。またこれを以って毎日被曝しているのですと書くのは適正ではないと思います。(浜岡原子力発電所の例)原発の周辺住民以外の人も、地球には天然の放射線があり、宇宙からは宇宙線と呼ばれる強い放射線が降り注ぎ、石炭や大理石にはウランが含まれ、全ての食品、飲料水には射性同位元素が極微量含まれていますので、この世界に生きている限り誰でもみんな一-25-日中放射線を浴びて体外体内とも被曝し続けているのが現実なのです。重要なのは原発か、天然かではなく、影響がある量なのか否かという点だと思います。この天然レベルの被曝をいちいち被曝と言うのは、人が呼吸すると地球温暖化が促進されますといちいち言って回るような事と同様で無意味な事です。もっとも「故意に付近住民が大量に被曝しているかのような誤解を植え付ける」為には意味がありますが。



■「ある女性から手紙が来ました。二三歳です。便箋に涙の跡がにじんでいました。『東京で就職して恋愛し、結婚が決まって、結納も交わしました。ところが突然相手から婚約を解消されてしまったのです。相手の人は、君には何にも悪い所はない、自分も一緒になりたいと思っている。でも、親たちから、あなたが福井県の敦賀で十数年間育っている。原発の周辺では白血病の子どもが生まれる確率が高いという。白血病の孫の顔はふびんで見たくない。だから結婚するのはやめてくれ、といわれたからと。私が何か悪いことしましたか』と書いてありました。この娘さんに何の罪がありますか。こういう話が方々で起きています。」



これこそがまさに誤った知識が流布されてしまった結果です。本当に正しい知識をもっていれば、こんな噂話がいかに信憑性の無いものであるか容易に理解できます。従って、こんな酷い誤解で差別をする事もないはずです。「原発の周辺では白血病の子どもが生まれる確率が高いという。」というよく聞く噂話。しかしこれが真実であるという確実な証拠はどこに示されていますか?

私の知る限り、少なくとも国内の原発立地県の白血病発生率が特に高いというデータは見た事がありませんし、実際私の住む地元で白血病患者が多いという話も聞いた事が無いです。もちろん特に結婚に関する差別も無いです。差別をするのは現実の原子力発電所を見たことも無く、正しい知識を得る事も無く、噂の真相を調べもせずに、ただ耳に入る悪い噂話だけを信じて、誤った知識に染まってしまった人々です。この例でも原発の実態を知らない東京の人が差別をしているわけです。だから何度も書きますが、私は正しい本当の原子力発電所の姿を知って欲しいと思うんです。

現実の周辺放射線量(数値は公開されています)を誰もが知っていればこんな差別は発生しないでしょう。周辺の人々が異常な被曝なんかしていない事が数値から理論的に理解できますから。では何故付近住民が被曝していると思ってしまうのか?それはどこかで誤った知識を刷り込まれてしまっているからです。その誤った知識の源こそが、今私がコメントを差し挟んでいる、このような誤った記事を書き連ねた文章や報道なのではないでしょうか。本当は出ていない放射性物質を出ていると書き、被曝なんかしていないのに被曝していると書く。

しかも、本人は本当の現場を知っているという触れ込みでそんな話を書いているわけです。ここまで書かれたら断言せざるを得ませんが、この文章の著者、平井憲夫さんは故意に偽証をしています。これは攻撃では無く、単なる事実です。私はあくまでも誤りを正したいだけです。

でもあまりにも真実が歪められた事が書かれています。あまりにもウソが並べ立てられているんです。これは放置できるレベルを超えています。

もし私の方が嘘つきだと思われる方がいましたら、ぜひ一度でいいです、原子力発電所を見学に来て見てください。

そして実際に自分自身の目と手で原子力発電所周辺の放射能を確認して見て下さい。そしてその数値と一般に知られる自然界の放射線の数値やレントゲンに使用される放射線の数値と比べてみてください。絶対に、間違いなく発電所周辺に異常な放射線は存在しませんから。



■「原発は事故だけではなしに、人の心まで壊しているのですから。」



これについては理由の無い差別を生んでいるという点では賛同しますが、同時に誤った知識を流布して差別を生んでいる事も人の心を壊している事に他ならないと思います。ここから暫くの区間は『中学二年生の女子生徒が泣きながら以下のように発言した』という位置付けになっています。もしこの話が真実ならば、正直私は何が彼女にここまでの誤解を植え付けてしまったのか、憤りすら感じるところです。



■「私は泊原発のすぐ近くの共和町に住んで、二四時間被曝している。」



もちろん調べれば解る事ですが、泊原子力発電所の周辺に有意な放射能は漏れていません。測定すれば一発で解ることです。彼女はこの時点で完全に誤解し、無いはずの被曝を有るモノとして自分が被曝者だと思い込んでしまっている状況にあるわけです。



■「原子力発電所の周辺、イギリスのセラフィールドで白血病の子どもが生まれる確率が高いというのは、本を読んで知っている。」-26-



セラフィールドでは確かに白血病の発生率が高い事が知られています。放射線医学総研のQ&A によると以下の事が判明しているそうです。

・ シースケール町という町だけが通常の10倍もの発生率がある。

・セラフィールド原子力施設からの廃棄物による住民の被曝線量は、被曝限度範囲内で、このため被曝が一義的に小児白血病の発症頻度増加の原因とは結論できない。・薬剤やウィルスなどの関与も疑われている。

・ イギリスには、セラフィールド周辺以外にも小児白血病の多発地帯があり、それらは原子力施設と無関係であるなどが明らかにされてきた。

・ セラフィールド原子力施設に勤める父親の子供に発症した小児白血病症例4例に注目してみると、受精前6カ月間の被曝線量が高い父親の子供に白血病の相対リスクが高い傾向がでている。未だ症例数が少ないため、この結論が真実か否か更に検討を加える必要がある。

・ 現在イギリスでは、他の原子力施設周辺でも調査が行われている。

・ 広島、長崎の被曝者の子供に白血病の増加は無い。彼女がセラフィールドについでどのように書かれた本を読んだのかはわかりませんが、恐らく「現状では詳細は判明していない」という事がわからなかったか、疑心暗鬼の為に絶対原発による被曝で白血病になるのだと思い込んでしまっているのではないかと思います。また、逆にセラフィールド以外の原子力発電所立地地点で白血病発生率が異常に高くなっているという話が無いという事にも気が回らなかったようです。それだけ『原子力発電所=放射能= 自分も被曝している= 子供が白血病になる』という図式に洗脳されきってしまっていたのかもしれません。





■「『私も女の子です。年頃になったら結婚もするでしょう。私、子ども生んでも大丈夫なんですか?』と、泣きながら三百人の大人たちに聞いているのです。でも、誰も答えてあげられない。」



誰も答えてあげられなかった。と言う事はです。つまり、その会場には一人として原発周辺の本当の放射線の状況を知っている人が居なかったという事なのでしょうか?もしくは知っていても、大丈夫なのだと理論的に説明してあげられる人が居なかったと言う事でしょうか。最悪、故意に危険だと思わせておきたかったので敢えて説明しなかったという可能性も否定できなくなります。汚染が無い事も放射線が漏れていない事も、測定すれば解ります。先ほども書きましたが放射線は検出器に検出される事を絶対に隠せないのですから。



■「『原発がそんなに大変なものなら、今頃でなくて、なぜ最初に造るときに一生懸命反対してくれなかったのか。まして、ここに来ている大人たちは、二号機も造らせたじゃないのか。たとえ電気がなくなってもいいから、私は原発はいやだ』と。ちょうど、泊原発の二号機が試運転に入った時だったんです。『何で、今になってこういう集会しているのか分からない。私が大人で子どもがいたら、命懸けで体を張ってでも原発を止めている』と言う。『二基目が出来て、今までの倍私は放射能を浴びている。でも私は北海道から逃げない』って、泣きながら訴えました。」



もう完全に原子力発電所が放射能を出していて、今現在も自分は被曝している、プラントが増えたら被曝量も2倍になるという、誤った認識で完全に洗脳された状態になってしまっているんです。なぜ、なぜ誰も本当の事を話してあげないのでしょうか?

実情を知らないから話してあげられないのでしょうか? [福島第一原子力発電所モニタリングデータ]グラフの山になっている所は降雨により一時的に測定値が増えたもので、異常ではありません。空気中にはチリ等と一緒に自然の放射性物質が漂っています。雨が降るとそれらが雨滴などに付着して地面にたまるため、検出される放射線の量が一時的に多くなります。また、雨がやむと元に戻ります。(東京電力解説より)



ちょっと調べれば解ることなのに。それこそ直接近くにある原子力発電所を見に行ってやれば、現実的には自分には全く影響を及ぼしていない事が解るのに。非常に憤りを感じます。確かに初めから原子力発電所が無ければこんな話にはならないという意見もあるでしょう。でも、あっても実際には問題の無いものだと言う、正しい認識を得ていれば、こんな事にならないのは間違いありません。私は時々地元福島の高校でパソコン講座の講師補助のボランティアをしていますが、こんなに誤った認識をしている生徒は居ません。きちんとした教育を受けていたり、発電所に見学に-27行っていたりすれば、余計な心配をすることなく生活できるんです。

こんな状況を見て知っている自分としては、明らかに彼女が育った周囲の環境を疑いたくなります。親は?先生は? 自治体は? そして電力会社はいったい何を教えているのかと。そしてどうしても頭の片隅から消えないのが「こんな事が本当にあったのか?」という事です。本当にちょっと調べれば本当の事が解るんです。

にも関わらず、それをせずにただ自分が被害者だと盲目的に思い込んでいる。おかしい話です。なぜそこまで恐れて居ながら、自分からその敵対すべき原発の事を調べようとしないのでしょうか。そして親や先生、近所の住民はなぜ彼女達のような誤解による無用の不安を抱えている子供達に本当の事を説明してあげないのでしょうか。実におかしい話です。



■「女の子同志ではいつもその話をしている。結婚もできない、子どもも産めないって。」



やはり彼女の周囲の子供達は全員同じような誤った認識を持ってしまっているようです。これはもう町ぐるみの問題と言えるでしょう。



■「そういう悩みを今の中学生、高校生が持っていることを絶えず知っていてほしいのです。」



以上の少女の訴えに対し、著者は読者に向けてこのように呼びかけています。ではそういった悩みを持たせてしまっている原因は何なのか。それをハッキリ認識して戴きたい。原発に反対する。それは個人の主義主張のあるところですから、構わないと思います。ですが、間違った知識を子供達や何も知らない人々に植え付けるという行為は許しがたいです。

反対するにしても、現状を知った上で、理解した上で反対して欲しい。確かに反対する人の中には原発というものをある程度きちんと知った上で、それでもやはり反対するというスタンスの人もいます。彼らとは会話が通じます。

私が賛成する部分と、彼らが反対する部分について、お互いに理解できるからです。ですが、しばしば見うけられる、誤った知識を振りかざして反対する行為は実に遺憾に思います。少々感情的になってしまいましたので、少し落ち着きましょう。とにかく、少なくとも子供達には、客観的な正しい現状を教えてあげて欲しいと思います。特に学校教育機関関係者のみなさんにお願いしたいです。原発立地町村なら、少なくとも一度くらいは学校総出で発電所見学をするくらいはして欲しいと切に願うところです。(地元福島ではやっているようですが)

ここからは、元の文章の引用についてコメントする書式に戻ります。



■「今は電気を作っているように見えても、何万年も管理しなければならない核のゴミに、膨大な電気や石油がいるのです。それは、今作っている以上のエネルギーになることは間違いないんですよ。」



確かに廃棄物処理にはエネルギーが必要です。必要ですが、原子力発電で発電した以上のエネルギーを要すると言う事は決してないでしょう。廃棄物処理をして埋設するのに、135万kW の電力や石油は使いませんし、貯蔵施設の建設と管理期間中の運営にエネルギーは使っても、貯蔵自体はエネルギーを必要としません。

また、何万年も管理しなければならないという事も無いと思います。原子力委員会は、基本的に埋設が完了して、施設が閉鎖された後は管理の必要が無いような方策を基本とし、技術的には不要であっても、国民の安心を得るために、処分場の閉鎖後も一定期間の管理体制を維持することについて検討するとしています。埋設した後の管理の為にはセンサーの稼動と管理人が生活するのにエネルギーが必要なくらいでしょう。ですが、それが発電量に匹敵するものではない事は容易に理解できると思います。従って廃棄物処理に発電した以上のエネルギーが要るという話は誤りだと思います。



■「それに、その核のゴミや閉鎖した原発を管理するのは、私たちの子孫なのです。そんな原発が、どうして平和利用だなんて言えますか。だから、私は何度も言いますが、原発は絶対に核の平和利用ではありません。」



原発の後始末をするのは確かに後の世代になるでしょう。正確には私の世代からそれを受け継がねばならないと言えます。ですが、原子力発電は原子力の平和利用であると言えると私は思います。これは今現在必要なもの。もしこれが無かったら現実問題として困ってしまうものなんですから。原子力を戦争に使うわけじゃないです。電力エネルギーを取り出すために使って、そして現実に世の中を支えているんです。病院の電子医療機器だって、航空管制システムだって、電力で動いています。これは「核の平和利用」に相違ないと私は思います。-28-



■「だから、私はお願いしたい。朝、必ず自分のお子さんの顔やお孫さんの顔をしっかりと見てほしいと。果たしてこのまま日本だけが原子力発電所をどんどん造って大丈夫なのかどうか、事故だけでなく、地震で壊れる心配もあって、このままでは本当に取り返しのつかないことが起きてしまうと。これをどうしても知って欲しいのです。」



私からは同じような話を提示したいです。果たしてこのまま原子力を止めたとしたら、アメリカも含めて現状では原子力に頼らざるを得ない事が解っているこの現実世界で、代替も確保せず、エネルギー消費を止める事も無く、原子力発電プラントを無くしてしまって大丈夫なのかどうか。石油の枯渇問題だけではなく、CO2問題や、将来的に中国等の発展によって石油やガスが持っていかれ、エネルギーの日本への配分量が減ってくる心配もあって、このままでは将来的にエネルギー危機を現実のものとしてしまう危険性があるのだと。これをどうしても知って欲しいのです。というわけで、以上のように、特に後半部分に誤った記述があまりにも多く見受けられます。



ぜひ鵜呑みにして、誤った知識を持ってしまわないよう、またその誤った知識を広めてしまわないようにして頂きたいと、切にお願いしたいと思います。これらの誤解を無くしてこそ、前述のような悲劇的な差別問題も回避できるようになるのですから。



§ 第九区画【これは言わせてもらいたい】



あとですね、一言書かせていただきたい事があります。故人の書かれた文章に対してコメントするのは少々気がひけるのですが、どうしても言いたいんです。文頭の「私は原発反対運動家ではありません」という宣言文です。これだけ、明らかに故意に原子力に否定的な見解で様々な事象を書いて公表しておきながら、この宣言は随分ではないでしょうか?というか文末に「ですから、私はこれ以上原発を増やしてはいけない、原発の増設は絶対に反対だという信念でやっています。」って反対運動をしていると明言しているにも関わらずですよ。



私はこの文章を『賛成意見を持っていますよ』って書いた上で書いています。だから読む人だって、「賛成側の視点から見た意見なんだな」って事が解ってもらえるはずです。ですが、『私は原発反対運動家ではありません』と記述しておきながら反対傾向に異常に偏った見解文を公表すると言うのは、明らかに『中立な視点で見たらこうなんだ』という誤解を誘導しようとしているように思えます。

これでは『原発反対だと書くと偏った意見だと思われるから、誰もがこれが中立で正しい現実だと公平な視点で見るように反対活動ではないと謳(うた)って置こう』というスタンスに見えてしまいます。

せめて『私は原発反対論を支持しています』と初めに宣言すべきです。意見を述べるからには、自分の立場を正しく公表する必要があると思います。なぜなら立場によって人は物の見方が大きく変わってしまうものだからです。どんな立場の人間で、どんな主義主張を持っている人が、何について、何を元に書いているのかをハッキリさせる必要があると思います。-29-



§ 第十区画【コメントにお答えします】



さて、ココからは上記文章の公開後に幾つかのコメントをいただいた内容についての見解を追記していくことにします。



■「私が原発の歴史を調べたところ、半分以上が事故を起こしていました。」



この原発の歴史という資料の出所が記されていないので私は確認のしようが無いのですが、確かに海外ではトラブルの発生率は日本の10倍程度あります。従ってトラブル件数が多いのは正しいと思いますし、私も同認識です。



しかし、全世界の原子炉(2000 年12 月31 日現在、世界の31 か国で430 基の発電用原子炉が稼動)半数以上で「事故」が起きているというのは多すぎるような気がします。私としてはどういった歴史の書き方がされているのか気になる所です。もしかしたら事故の件数には原子力潜水艦の原子炉や実験炉まで入っているのではないかと推測するのですが。



ただし、例えば「給水ポンプ電動機の故障による停止」を、予備機が起動して原子炉側に問題は無かったにも関わらず「事故」と呼ぶのであれば、確かに半数以上「事故」を起こしていると言えるかもしれません。私の認識では原子炉の安全性に影響のない設備、例えばタービン発電機廻りの「故障」と原子炉の「事故」は違うと考えていますので、認識が違うかもしれませんね。



■「原発は閉鎖しただけで撤去されてません。」



その通りです。海外では解体よりも閉鎖を選択しています。解体するより放って置いた方が楽ですしコストもかかりませんので。しかし、日本では解体撤去を基本方針にしていますし、現に実施していますので、閉鎖保管をする事はないという事を書いたつもりですので、自分の書いた内容は間違ってはいないと思います。



■「ずっと安全安全っていってるけど、事実被害者がいる」



さて。ここで言われている被害者というのは、海外の話でしょうか、それとも国内の話でしょうか。海外であればチェルノブイリ、スリーマイルアイランドと、確かに被害者が居ると思います。ただし、チェルノブイリの場合は故意に安全システムを切って、不安定だと解っていたにも関わらず低出力運転を行ったのが原因ですから、故意におこされたモノとも言えますので、私は「設備事故」というよりは「人災」だと認識しています。それらの「被害があった実績があるから安全じゃない」という事であれば、それは認めます。ただし、同じ事が起きないように改善しながら進めているというのは間違いないです。意見が分かれるのは「改善し続けているから同じ事故は起きない。」「改善しても別の事故が起きる。」という2点だと思います。改善後に大事故が起きる確率を大きいと見るか、小さいと見るかの違いですね。ある意味、ここの認識については平行線になるのかもしれないです。また、国内では原発では無いですが、JCOで被曝死傷者が出ています。ですが、国内の原発で被曝による死傷者は出ていないはずです。

ただしこの場合「原発での就業経験がある人がガンで亡くなった」という事はカウントに入れていません。因果関係が立証されていないというのが理由です。最終的には確率論に成ってしまうんですが、ガンによる死亡率に有意な差が無いということですから。原発職員でなくてもガンになる人はたくさん居るわけです。「原発で働いたからガンになる」という事が証明されていないですから、私は問題ないと考えています。



あと、「安全安全と言っている」というのはそうかもしれませんが、自分としては「『こうなっているから』大丈夫です」と「安全の理由」も一緒に書いているつもりです。



■「ずっと平行線で永久に終わらない」



見解については平行線な部分は確かにあると思います。ですが、誤った内容を訂正している部分は平行線という問題ではなく、単に事実を述べているに過ぎませんので、その点は勘違いされないようにお願いしたいです。例えば最終処分の問題について私は「将来的に解決させる」と思っていますが「解決出来ない」と断言された場合、そこは平行線になってしまいます。

ですが、「放水口の放射能を測るとすごいです」とい-30う記述に対して「実際に公開されているデータをみれば、そうではないですよ」と書いている部分は平行ではなく、事実を述べているに過ぎないという事です。私は「原子力をやるならば、反対意見の要因をクリアして行かねばならない」と考えています。そんな事出来るわけないと思われるかもしれませんが、「これが問題だから反対です」と言われたら、その問題を解決して「解決しましたよ」って言って、そうやって次の問題が提起されて、それをまた解決していく。



イタチごっこのような物ですが、最終的に全ての要因を排除できれば、完璧にかなり近づくのではないでしょうか。まぁ実現確率は無理と言えるレベルかもしれませんが、「平行線の元を消していく」というのが私のスタンスです。また、次世代エネルギーの確保等によって、原子力を続ける必要がなくなった場合も議論は終りになると思います。



■「ボクの手元には電力会社が自己申請した原発の単価(バカ高い)があります」



原発の単価を見ると確かに高いです。4000億円くらいします。(公開資料より) これは電力自由化のおかげで、目下もっと安くする為の原価低減努力を続けている所です。お陰で重電産業界とそれに付随する産業が大打撃を受けていると言う話もありますが・・・ですが、例えばJPEA 太陽光発電協会

http://www.jpea.gr.jp/1/1-17.htm

によると、太陽電池パネルは簡易システムで1kW のものが130〜160万円、蓄電池付きだと200〜230万円するそうです。ここでは大量生産効果による価格の低下と原発に匹敵する安定供給のための蓄電池やインバーター付加による価格の上昇を考慮して、トータルで最も安いモデルで考察する事にして、1kWあたり130万円としましょう。原発の新規プラントは135万6千kW で4000億円くらいです。(東京電力発表より) 従って、太陽電池パネルで同じ電気出力を得る設備建設費は1356000 ×130 万円=17,6280,000 万円。つまり、約1 兆7600 億円かかるわけです。

しかも太陽電池パネルは夜間は発電できませんし、快晴でなければフルパワーになりませんから、実際の稼働率を考えると年間発電電力量の差はかなり甘く見積もっても3倍以上になります。

メンテナンスについては回転機が多い原子力は大変かもしれませんが、数が多い分パネルのメンテナンスも大変です。ガラスは頻繁に掃除しないと発電効率が下がってしまいますから。

もちろん原発は被曝を伴いますし、燃料費もかかるのでその分を差し引く必要があると思いますが。あとメンテナンスは必要ですが、プラント寿命が原子力60年(但し一部修理交換が必要)に対して、太陽電池は強化ガラス保護の高級なユニットで約20年です。(ちなみに安いシールドガラスだとヒョウ等で割れる場合がありますので個人で購入する時は注意してくださいね。)



寿命差を無視したとしても、一年間に原発一機分と同じ電力を太陽電池で起こそうとしたら、約5 兆2800 億円かかるわけです。原発について燃料費を考慮してもこれほど高くはならないでしょう。そして、実際は更にこれだけのパネルを設置する為に莫大な敷地が必要ですから地価まで考慮するとそれこそとんでもない金額に成ります。



ですから、かなり甘く見積もっても「5兆円以上かかる太陽電池パネルがバカ高い」というのであれば解りますが、数字だけを見て「4千億円の原発プラントがバカ高い」というのはどうかと思いますよ。

4000億円という数字は確かに私もイメージできません。数字としてはデカ過ぎますから。でも、他の自分が判るレベルのものと比較してイメージする事はできるのではないでしょうか。こういった多角的なモノの見方は重要だと思います。



■「原発の歴史=事故しまくり」



原発の事故の歴史については、確かに数々の事故があったと思います。その歴史を否定するつもりはありません。ですが、その事故の度に改善の努力が続けられています。ここで少し別の視点を考えて見て下さい。原発以外の物の事故の歴史をご存じでしょうか?

ロケットの打ち上げ失敗の数、炭坑、工場、化学プラント事故の数、鉄道、航空機事故、小さなものでは自動車事故、火災、たくさんの事故が起き続けています。

実際、人類の歴史は事故の歴史でもあります。事故が起きて、学習して、同じ事故を繰り返さないように対策して今があるのではないでしょうか。まぁ、学習をしても繰り返す火災(寝タバコは危険だと解っていながらやって火災になる)等の事例もありますが、

少なくとも原子力について、チェルノブイリ事故と全く同じ事故がもう一度起きる事は無いと思います。阪神大震災の経験を経て、高速道路の橋脚の強化工事もされたわけですが、この改善でもまだ信用できないと言うのであれば、誰も高速道路を走らないでしょう。-31-



しかし、みんな走っています。これは改善によるリスクの減少を受けて、リスクと利便性を計りにかけ、結果、使おうという結論を出しているわけですね。もっとも元々ろくにリスクを考えもせずに走っている人の方が多いでしょうけども。原発で事故が起きる確率は確かにゼロではありません。更に万一大事故が発生した場合の、影響も非常に大きなものです。でもその事故の確率は限りなくゼロに近いものだと私は思っています。「過去のミスを繰り返さないように対策を繰り返して行く」のが事故の歴史に対する私の姿勢です。



■「たくさんの原発被害を訴えるサイトがあります。あなたはこれを全て否定できますか?僕はしてほしくないです。」



私も全てを否定するつもりはありません。実際、自分も含めて差別被害にあっているという話は事実ですから、その事実を否定するつもりも全くありません。現に正しい事実を元に反対意見を述べているところもあります。そういった所の意見を読むと、自分としては「そこを改善していかないといけないんだな」と思いますし「改善していこう」と行動します。究極的な私の願いはあくまでも『誤った認識を無くしたい』と言う事だけです。



今回の一件で解って戴けたと思いますが、原発反対・被害を訴えるサイトや記事には明らかに「事実と異なる事が書かれている」場合があるわけです。データを見れば海が汚染されていない事も、原発付近住民が被曝なんかしていない事も客観的に解るでしょう。原発の見学に一度でも来れば、認識はかなり変わると思います。

誤った知識は否定して行こうと思いますし、以前からしてきたつもりです。以前、99年6月8日付けのFLASH 誌に『原発廃棄物放射線濃度データ改ざん極秘データ!』という記事が掲載された時も、明らかにおかしい内容だったので説明を掲載しました。(現在は苦情による削除要請に応じて削除済み)また、Y2K 問題についても「Y2K で原子炉が暴走する危険がある」というデマが流れたので、構造上、コンピューターが原因で原子炉が暴走する事はありえないという事を説明していました。(現在は苦情による削除要請に応じて削除済み)

ただ、Y2K では一部プラントで制御棒の位置表示をする画面が見えなくなるというトラブルはありました。でも、これも別の装置で見る事が出来ましたし、原子炉の暴走には関係無いものでした。そういう意味では自分は当時、プラントの構造を事実に基づいて説明して、「原子炉はY2Kで暴走しません」と正しい事を書いたと思っています。原発被害を訴えるサイトとして、もしみなさんが私のこの説明以前に先ほどの「本当の原発を知って欲しい」を読んでいたら、あれをそのまま鵜呑みにして誤解していたのではないでしょうか?

現場では素人が手抜き工事をしていて、ろくに検査もされず、海には放射性物質がばら撒かれ、作業員は被曝してガンになり、でも被曝している事を作業監督が巧みに隠している。原子力検査協会という天下りの機関がずぼらな検査をしている。そう信じて疑わなかったのではないでしょうか?

ですが、そういった事は仕組みとして起きないし、現に起きていない事は、客観的なデータや事実をもとにお解り戴けたと思います。もちろん全文全てを納得して戴いているとは思っていませんが、少なくとも海の汚染等についてはご理解戴けたと思います。

私は現場で見た事を、自分の目で見た事実に基づいて書いています。自分で見れるんですから、見た事を書けるわけです。そして、わざわざウソを書いたりもしていません。後でウソだという事がバレたら『最終的に損するのは自分』ですから。全てを否定する気はありません。あくまでも、『事実を知って欲しい』と、それだけなんです。



■「あなたの文面を見た限り、まだまだ現場を知らない。だから、安全といえるのだと思います。そして現場を知らない限り、ずっと安全といい続けると思いますから。全部知って結論を出してほしいです。」



このご意見は少々手厳しいお話ですが、同時に少々心外でもありますね。別にケンカを売るつもりはありませんが、私はこのご意見を戴いたご本人の素性を知りません。学生さんなのか、事務職の方なのか、それとも役所の方なのか。実は私と同じ原発職員の方なのか。それも新人作業員なのか、ベテラン管理員なのか。ですから「まだまだ現場を知らない」と言われると実に困ります。

私の上司はこの道30年のベテランです。その課長に「まだまだ解ってないな」と言われて、自分が知らない過去の経験談などを聞くと、「まだ知らない事があるんだな」と思います。

確かに私が現場に入るよりずっと以前の状況を体感する事はできませんので、過去を知っている人の話は新鮮な事もあります。確かに私の知らない過去があることは確かだと思います。

しかしです。私は平成6年から今までずっと7年間原発の現場に従事しています。7年現場を見ていて、しかも原子炉格納容器の中を這いずり回るような作業もしてきたんです。ハッキリ言って自分の担当プラントのどこの放射能が-32強くてどこが弱いのか等は熟知していますし、現在の現場の状況も自然に見聞きして知っています。そんな私に「まだ現場を知らない」と言われるからには、私以上に現場を知っている必要があるわけです。



そうでなくては「こいつはまだ解っていない」と言う事を認識する事はできないでしょう。文面から現場を知らないと言われているわけですが、では私の知らない「実際の現場」がどんなものなのかを実際にご存知なのか。もし、実は現場で20年以上も作業にあたっていて、私の知らない現場を知っている方がコメントされたのであれば、お話をお聞きします。



しかし、もし、新聞やネットで見た、また聞きの知識だけを根拠に私が「現場を知らない」と言われるのであれば、それは心外というものです。逆に自分の「原発の現場」という認識が誤っていて、今まで本当の事を知らなかったのではないか?とは考えられないでしょうか。漠然と「原発は危険なモノだから、現場を本当に知っている人なら原発は危険だと言う『はず』だ」とお考えになってはいないでしょうか。「現場を知らない限り、ずっと安全といい続ける」という文章はそれを表しているように思えます。



『原発の現場は危険に違いない』という「自分の認識の中における事実」の根拠が本当に客観的な「事実」に基づいたものであるかどうか、今一度確認していただきたいと思います。それは実際に体験した事ではなく、マスコミやネットの記事による「根拠の不透明な情報」に基づいたものではありませんか?その「情報」が事実である裏付けの情報はありますか? それが重要なんです。

間接的に得られた情報が事実である事を確認するのは困難ですよね。実際自分もネットで得られた情報については常にその情報の発信源が信頼の置けるものかどうかを確認しながら見ています。先ほどの太陽電池の値段にしても、信頼できるサイトの公開情報だという認識の元にお話しています。

似たような情報を扱っている他のサイトも見て、事実に相違ない事をチェックしてから扱ってます。テレビのニュースや新聞の記事でさえも、実際に記者を知っていると「結局は普通の人が書いているんだな」という認識を持てます。

媒体が広範囲に公開されるので凄いような錯覚がありますが、実際に記事を書いているのは結局のところ人間なんです。報道される内容についても、その反対側の意味を考えてみたり、自分がその当事者だとしたらどうだろうか等を考える癖をつけるといろいろと多面的なモノの見方ができるようになると思います。えぇ、話が脱線しましたので戻します。



まず、「もっと現場を知るべきだ」というご意見には同意します。もちろん、私はこれからも原子力を続けていく上でもっと多くのことを学んで行こうと思っています。研修も現場対応も積極的に参加しているつもりですし、トラブル情報等も本店・発電所に周知される情報は全てチェックしています。もっともっと原子力を知って、上司のような本物の『ベテラン』になりたいと思っていますから。やっぱりベテランは問答無用にカッコイイです。

「あの人に聞けば何でもわかる」と言われるのは実に憧れます。ですからもっと勉強もしますし、経験も積もうと思います。ですが、同時に今現在の私は「今までの文章を書くだけの裏付けになる経験と知識」は持っていると自負しています。もちろん原発を安全に運転する為の知識として、過去の事故やトラブルの情報も普通の人より遥かに多く持っています。現場も直接見て触れています。それらを総合的に判断して、私は「原子力のリスクは小さいと言える」と考えているわけです。決して現物を知らずに、噂や誰かの話を聞いただけで判断しているわけではありません。



また「全部知ってから結論を出して欲しい」という話は逆に私からも言いたい事です。現実の原発を知らずに、噂と事実関係が不透明な情報だけで原子力を否定する事は止めて欲しいと思います。反対するならもっと現物や事実として裏付けの有る情報を知り、その上できちんとした理由をもって反対して欲しいと、こう思うわけです。以上、少々気分を害される部分もあったかもしれませんが、自分としては正しい事を言っていると思っていますので、どうかご容赦ください。私の言う事を全て信じろとは言いませんが、せめて裏付けのある話だけはご理解いただきたいと思いますし、逆に裏付け無い情報については、ある程度疑ってかかるくらいのつもりで反対意見・賛成意見を問わず見て戴きたいと思います。-33-



§ 第十一区画【真実は何処にありますか?】



さて、本文は以上なのですが、この機会にもう一件書きたい事があるんで、書いてしまいますよ。以前、使用済み核燃料の専用輸送容器、キャスクというのですが、実際に使用済み核燃料が入っている容器を、一般の見学者が触っている映像が公開された事がありました。キャスク(資料映像)この映像について、一部の反対派の方々から「原発についての誤った認識を助長するものであるから、公表を中止せよ」という抗議文が来た事があるんです。

この話。おかしいと思いませんか?このキャスクに触れている映像は現実にあった事実を撮影したものです。



実際にこういう事をしました。しています。こう言う事をしても全く問題なかったんですよ。と、そういう映像なわけです。つまり、この映像にはキャスクに収められている限り、使用済み核燃料と言えども、その輸送容器に人が触れても問題ないくらい、実際に放射線が遮蔽されているという事実があるわけです。ついでに言えば私自身もキャスクに触った事があります。



ちなみに表面は内部の核燃料の放熱で生暖かいです。この事実に対して「誤った認識を助長する」というのはおかしな話ではありませんか?犯罪者が英雄扱いされている映画を見せて「誤解を招く表現がされている」と抗議されるのなら解ります。先日のNHK の人気番組「プロジェクトX」で放映された「あさま山荘・衝撃の鉄球作戦」という番組で、当時の事実に沿わない表現がされていたとして苦言が呈されたという話。これも解ります。「事実を歪めているモノ」に抗議をするのは正当な事だと思います。

でも、「事実」に対して「事実を公表するな」というのは間違った事ではないでしょうか?極端な言い方をしてしまうと、『真実を示すな』と言われている事になるんですから。先ほども書きましたが、私は反対運動をする方の意見も尊重しているつもりです。実は今書いているこの文章にしても、おそらく反対意見をお持ちであろう方から「こういう話があるのを知っていてやっているのか?」という意見を戴いたので、誤解を解く為、事実関係を示す必要を感じた為に書いているんです。

このようにちゃんとご意見を聞いて、真摯に受け止めて、自分なりに誤解をといて戴けるように説明をしているつもりです。ですが、私は間違った手段で反対を唱えるという行為は許容できません。反対するのであれば、反対の根拠として事象を示すのであれば、真実を以って示して欲しいと思います。例えば、仮に「実際にプラント周辺の放射線を測定したら異常に高い値を検出した」という事実があったとして、それを示されたとしたら、私自身、プラントに疑念を持って、事実関係を調査し、必要な対処をします。噂話や想像や憶測ではない、確固たる真実を以って主義を唱えるようにすべきだと思います。ぜひ、原発問題に関わらず、反対賛成を問わず、「主義、主張」があるのであれば、それを真実の元に示すようにするべきだと、私は考えています。



§ 第十二区画【やっと「終わりに」です】



以上、本来別冊にしようかと思ってた部分を新刊一冊に纏めてしまった関係で、えらいページを割いてしまってますが、このお話はおしまいです。これが少しでも原子力の誤解を解く手助けになればと切に願っておるところであります。ではでは、こんなカタい上にえらい長い文章を最後まで読んでいただきまして、本当にありがとうございます。謹んでお礼申しあげて、文末の言葉と致します。



2002.08.11