具体案4
 自分のできることを発見する

 ありがとう通貨のような時間通貨が流通促進を疎外するものは、不公平さだと思えます。能力の差や自分が他よりも優れている、または自分が他よりも楽ができるようになりたいと思ってしまうところが、現通貨を促進させ、時間通貨の流通促進を疎外させてしまいます。

 その反対に、人と同じようになりたい、平等でいたいという気持ちはありがとう通貨流通を促進することができます。

 そこで最もありがとう通貨流通を疎外する心は、「自分は何もできない」という心なのです。その「自分は何もできない」という心は、「自分はなにもしない」という行為につながり、しかも、他人にすべてしてもらう行為になってしまうことなのです。

 ありがとう通貨の発行する原動力は、「この世でもっとも小さな人」の命の時間です。

 具体案3で、「ありがとう通貨でできること」の一覧をあげましたが、これらの中に、「この世でもっとも小さな人ができること」はあるでしょうか?

 時間通貨やありがとう通貨は、基本的に「できる人」と「してほしい人」が同格である必要がでてきます。その場合、人材派遣やボランティア運動においては、「できる人」から「できない人」への一方通行の仕事になってしまいます。こうした一方通行の仕事には現通貨がすぐれた機能を発揮することができますが、時間通貨は命の交換のため、双方向の仕事の流れが必要になってきます。

 例えば、看護事業を時間通貨で行う場合で、身障者に対する手助けをするとします。健常者は身障者を助けることができ、しかも、身障者は24時間健常者の手助けを必要としています。でも、健常者は身障者の手助けを24時間必要としていません。

 こうした関係ではありがとう通貨は有効に働きません。これは現通貨による福祉行政がもっとも効果を発揮します。多くの国民から集めた税金で、手助けを必要とする身障者を養っていくお金や労力を提供するのが一番です。

 また、ボランティア団体が、組織で、そうした身障者を助ける人を派遣していくのが二番目に有効な手段です。

 でも、時間通貨やありがとう通貨では、そうした助ける機能は一時的であり、すぐに行き詰まってしまいます。通用できなくなってしまいます。それは、逆に、身障者が健常者を助ける力がないと、ありがとう通貨は流通できなくなってしまうからです。

 そのため、健常者が身障者を24時間助けたら、身障者も健常者を24時間助けられなくてはありがとう通貨は流通できません。基本的に時間通貨は命の交換であるため、常に平等の関係でなくては存在できないのです。

 しかも、身障者のような人は「この世でもっともちいさな人」の類に価する人なのです。その人の生きる力がありがとう通貨を発行する原動力になるからです。

 ありがとう通貨流通において、身障者は健常者に対して「何も手助けできない」と思いこんでいる心がもっとも多くの障害を引き起こすことになります。そのため、ありがとう通貨を流通促進させるためには、「この世でもっとも小さな人」ができることをたくさん見いだし、公示できるようにするアイデアが一番のキーポイントになってくると思われます。

 そのため、ありがとう通貨でできることの中心は、この世でもっとも小さな人の視点で、つくられた「できること」のリスト表が必要になってくるでしょう。

 しかも、常に自分のできることを次々の発見することが大きな力になってくると思われます。

 また、その自分のできることを発見することは、自分の能力開発に大きな力なので、この世でもっとも小さな人たちだけでなく、たとえ健常者にしても、その自分の力を発見し、その能力を活かす道を見いだすことは大きな意義があり、ありがとう通貨流通促進にはそれが一番効果的な道になってきます。

 小さき者のできること

 老人・・昔の話・話し相手・体験談・掃除・技術・芸事・知識・掃除・草刈り・農業・林業・留守番その他
 子供・・絵・工作・歌・演劇・ゲーム・スポーツ・遊び・肩たたき・皿洗い・洗濯・風呂掃除
 女性・・炊事・洗濯・掃除・手工芸・イベント手伝い・
 障害者・・芸術・写真・絵・詩歌・話し相手・体験談・開発・留守番・
 病人・・・・小説・芸術・体験談・医療相談・電話相談・知識・
 ニート・フリータ・・留守番・ペットの世話・植木水やり・掃除・テレビ録画・趣味・遊び
 一人暮らし・・話し相手・芸事・パソコン・料理・掃除・運搬・付添
 過疎地・・農業・草刈り・運転・林業・土木
 被災者・・掃除・土木・体験談・
 ホームレス・・リサイクル・掃除・体験談・遊び・
 外国人・帰国者・・体験談・翻訳・芸事・知識・
 
 

 内容的にはもっとたくさん分類できるでしょう。そして、それらは、ほとんど現通貨では一銭の価値もない内容だったかもしれません。でも、ありがとう通貨ではそれらがもっとも大きな価値をもった内容になってきます。

 そこで、

ありがとう通貨でできることのリスト表は小さき人たちの視点で作ってみました。

 ありがとう通貨でできること2

また、ありがとう通貨での支払いは、決まったありがとう通貨の形はなく、基本的に必要な事項と発行人にサインがあれば、それが通用できるようにしたらいいのではないでしょうか。


ありがとう通貨発行基本項目、

1.仕事内容
2.時間
3.発行期日
4.発行人の住所と連絡先
5.発行人の名前とサインまたは印鑑
6.裏書きには、裏書人の発行期日と地域と発行人名前とサイン


 
 話し相手から付添まで

 この世で最も小さき者たちのリンク集と、ボランティア運動する者たちのリンク集とを作ってみましたが、両者は別々の運動をしても、効果は薄いでしょう。



 話し相手から付添までありがとう通貨でできること


 そこで、両者の共通項目をまとめて、それを中心にしたリンク集を作れば、効果は上がるのではないでしょうか。

 そこで、だいたいまとめてみると、家庭の中のコミュニケーションと、共同の日常行為にあることがわかります。


1、話し相手 体験談・知識・アイデア・電話相談・聞き屋・翻訳・
2.創作活動 芸術・パソコン・手仕事・調査・
3.炊事・洗濯・掃除
4.外出・運転・買い物・旅行・遊び・スポー・治療
5.庭仕事・動物の世話・園芸・畑や山仕事・リサイクル・
6.協力・手伝い・代行・修理・事務・付添
7.その他 


 想像外のものを入れて、大体7つに分類できます。そして、想像していったら、その内容は

 話し相手から始まって、付添に終わりました。

 これは、基本的に心が在る基本ではないかと思えたのです。人は一人では楽しく生きていけません。最低でも、二人いれば楽しい生き方ができます。その二人が協力しあっている姿が、話すこと、話すことがなければ近くにいることがもっとも大きな協力する源泉だと思えるのです。

 その他は、みな付随することのような気がします。そのため、ありがとう通貨は話し合いと付添を促進するような材料にすればいいと思えるのです。

 今、話し合いはインターネットが進んで世界中の人と見知らぬ人でも、いつでもできます。でも、付添は、家族か住む地域でしかできません。それは、人の心が世界と家族でつながっていることの証であるかのようです。

 そして、ありがとう通貨は一種のハガキのように使われることが最も効果があり、その本質がわかりやすくなると思えるのです。そして、付添は共通の予定表や日記メモのような姿になるのではないでしょうか。

 そのため、ありがとう通貨の内容はハガキにあたり、ありがとう通貨のサインは日常付添メモにあたります。

 普段、私たちの活動がみなお金で動いているように見えますが、お金で動いていないものの方がはるかに多いのではないでしょうか。お金よりももっと大きな力は、二人の出会い・縁ではないでしょうか?

 そして、縁の組み合わせで、世界が大きく動いているように思えるのです。もし、それが本当なら、ありがとう通貨で、二人の縁の組み合わせを促進できるようになれば大きな力を発揮できるはずです。