ありがとう通貨の発行と流通 |
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8.貨幣の発行金額 |
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もし、私たちが山奥や人がいないような地域に行った場合、お金など必要ありません。お金を使うところがないからです。お金よりもっと必要なものは、食べ物・水・雨宿りする場、寒さをしのげる服などです。 お金を持っていても、それらを手にすることはできません。 もし、私たちが都会に行ったら、お金がどうしても必要になります。食べ物、水、家、服はみなお金と交換できるからです。もし、目の前にある食べ物があったとして、それを食べたら盗人となって、牢屋に入れられ、自由を奪われます。 では、都会で生きていくためにはどれだけのお金が必要になるでしょうか? 水、食べ物、家、服などを最低生きていくために必要な金額は日本の東京ではおよそいくらになるでしょうか? これは旅行するときに一日いくら必要かということになります。三食付き宿泊費として、7000円〜10000円は最低必要でしょう。余裕として、それを1万円とします。 日本人の人口が1億人として計算すると、一日に1兆円のお金が最低必要になるということになります。 お金は働かないと得られませんから、働くまでの準備期間を3ヶ月としますと、一人当たり、90万円 、国民全体で、90兆円のお金が必要になります。 この90兆円が日本銀行が発行する必要金額になると思われます。 2006年9月の日本銀行発行金額は74兆1388億円で、流通額は78兆6041億円になっています。 参考資料:日本銀行貨幣流通額 もし日本国民全員がお金持ちになったとしたら 日本人がたくさん働いて、ほとんどの日本人が裕福になり、一人平均1000万円の貯蓄ができたとします。すると、国民全体で一日1000兆円、必要貨幣発行額は9京(ケイ)になるでしょう。 もし、日本国民が自給自足のようなお金を必要ない生活をしたら、日本銀行の役目はいらなくなります。発行額はゼロになります。 もし、日本の借金を日本銀行が立て替えたら 日本の借金は2006年末で542兆円の見込みです。そこで、この借金全部、日本銀行が立替して支払うとすると、542兆円分の貨幣を追加発行すればいいことになります。すると、利息は低下して、ゼロになり、流通金額は542兆円分増大し、投資は大きくなり、景気は上がることになります。 でも、金額が大きすぎるために、極端なインフレを引き起こし、他国とのバランスは崩れ、日本経済は破綻してしまうことでしょう。 また、このまま国債が増え続けると、景気は低迷し、失業率が上がり、やはり経済は破綻してしまうと予測されます。 このように想像すると、貨幣の発行額と貨幣の利息で、経済を調整しているといえるでしょう。また、貨幣の流通額は人間社会における活動の量を示しているでしょう。その活動というのは人間の物的欲求の大きさに関係してきます。 ただ、この経済学の法則ですが、いつでも、それがそのまま適応できるかというと疑問が残ります。 日本銀行がたくさん貨幣を発行して、お金が日本中にたくさんあふれたとしても、それをほとんど貯蓄にまわして、今までとおりの、必要なものだけを売り買いするような気持ちになったら、ほとんど変わりません。その貯蓄の金利がゼロであっても、使う必要がないとしたら、やはり貯蓄するでしょう。 それは人々のお金に対する意識によっても、経済は大きく変わることになります。また、国債にしても、それが国の借金というよりも、銀行の預金というような捉え方をすれば、国民の貯蓄というとられかたもできます。国債の利息がゼロであっても、元金が保証されており、いつでもその金額を使うことができれば、経済が破綻するということはないと思えます。 そこで、貨幣経済が人間の意識に大きく影響させるのは、 @ お金の量(貯蓄額) A お金の利息 B 欲望を駆り立てる商品 この三つが要因していると思われます。 貨幣経済が山奥では成り立たないように、もし、人の意識が単に必要な衣食住だけを求めるとするならば、貨幣経済原理は成り立たないといえます。 そして、現貨幣は人の欲望を元にしたシステムのため、現貨幣の金額の大きさは、欲望の大きさといってもいいと思われます。 例えば、アフリカの少数民族が欲する欲望が単に衣食住にちょっとした都会の製品だけであれば、お金の量は少しになります。 でも、アメリカのように、世界全体の民主主義のリーダーとなるというような使命感があると、その欲望は大きくなってきます。そのため、大きな金額が必要になってきます。 |
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9.ありがとう通貨の発行金額 |
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現貨幣が人間の欲求を元にしたものに対して、ありがとう通貨は人間の命の時間を元にしたものです。そのため、人間の欲求は限りがなく増えますが、人間の命の時間には限りがあります。 それに基づいて、ありがとう通貨の発行金額は決めることができます。 人が正味働ける時間を平均一日6時間として、その寿命を80年とします。 一日6時間×365日×80年=175200時間(約18万時間) 日本人が1億人いるとして、 18万時間×1億=18兆時間 世界人口が64億人いるとして、 18兆×64=1152兆時間 世界全体で、1152兆時間のありがとう通貨を発行すれば足りることになります。その発行額は世界人口で計算し、決められます。 その国のありがとう通貨は、その国の人口で発行額が決められます。 現通貨のように、 欲望の量によって、経済活動のよって、その発行額がきめられることはありません。そのため、ありがとう通貨を貯蓄するとか、その利息とか、欲望を引き起こす商品によって、ありがとう通貨の時間は変化することはありません。 |
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10.発行した貨幣をどこに委託・配分されるか |
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日本銀行が発行した貨幣はそれを流通させるために、各銀行に委託します。銀行は基本的にお金を貸して、その利息で存続できています。お金に利息がつかないと、銀行は成り立つことができません。 銀行は民衆に金を貸します。民衆はその金を借りて、働き、収入を得、返金していきます。そのため、民衆は銀行の利息以上儲けられるような投資をして、働き、生活し、利潤を上げなければ生活ができません。 また、民衆はお金に換えることができる資産を生まれながらして、家の遺産としてもっています。その差は大きく、みな違っています。そうした資産をお金に換金しながら、さらに、それを投資して、お金を増やしていきます。また、減る場合もあります。 この資産を経済活動をして換金します。それを銀行に預金、貯金するのも、銀行の仕事になります。 そうして、お金は国民に配分されていきます。すべての資産には需要供給の原理によって、金額が査定されていきます。 そのため、人は産まれながらにして、お金を持っている額の差が大きく出てきます。けして、人は産まれながらにして、平等にお金を持つことはありません。 人はまたそのお金を投資する能力によって、大きくお金を得る差が出てきます。もし、人は五体満足でなく、かつ脳の障害をもって生まれてきたりしたら、投資する能力は小さいでしょう。人の投資能力はけして平等ではありません。 そのため、日本銀行から発行された貨幣は @ 資産別に配分される A 投資能力が高いものに配分される 世界がもし100人の村だったら、どうなるかは、こうした貨幣配分と委託の姿からも投影されてくると思われます。 |
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11.ありがとう通貨の委託・配分先 |
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今の北朝鮮の市場の模様がテレビで放映されていました。 市場では豊富な食料を売っています。その市場では食べられなくて今にも死にそうな人が道に横たわっています。子供たちが誰がが捨てたパンくずを争って、とりあっています。 目の前に豊富な食料も服もあるというのに、金のない人はその前で飢餓で死んだり、争っており、けして、目の前の食料を得ることも、服を着ることもできません。 もし、そこに貨幣システムがなかったら、飢餓で死んだりする人はいなくなるでしょう。分け合うのが普通になります。 こうした光景は貧しきアフリカの国の市場でもみられます。 もし、一銭もお金がなかったら、この地球で生きていくことができないのでしょうか? それができる地域はほとんどありません。貨幣経済が地球の隅々まで浸透しているからです。 でも、こうした現貨幣が一銭もなくても、生きていくだけのシステムがあれば、もっと世界は豊かな生活ができると思われます。 もし、知識もなく、日本で、突然お金が一銭もなくなったら、どうして生きぬいていくでしょうか? 昔からある無銭飲食という方法がたまにとられます。それは一種の泥棒です。市場に食料を盗むこともあるでしょう。盗むと警察に捕まりますが、牢屋では食物を出してくれるので、何とか生活できることになります。 牢屋に入りたくなければ、二つの方法があります。 @ 食べ物を盗んで食べてしまうけれど、逃げないで、その店主に「働いて返します」として、その店の手伝いをさせてもらい方法。 A 食べ物を盗まないで、前もって、「なんでもお手伝いしますから、その食料をくれませんか」と交渉する方法。 働くという条件で、食料を得る方法が生き延びる手段になってきます。 この働くという条件が、ありがとう通貨発行になってくるのです。 このありがとう通貨の発行人は命ある個人です。先の北朝鮮において、生き延びるとしたら、どんなシステムがあったら可能でしょうか? 「なんでもお手伝い1時間します」というありがとう通貨1時間を飢餓に瀕する本人が発行して、市場で売られているリンゴ1個を食べられることができるシステムがあればそれは可能です。 すなわち、ありがとう通貨は「命の時間を元にしているから可能」なのです。 飢餓に瀕する人はありがとう通貨を店主にわたし、店主はそのありがとう通貨で、飢餓に瀕するその人を1時間雇うことができるようになります。 そのありがとう通貨はいわば働くという約束書であり、働くと、その約束書を返してもらいます。 これを現通貨システムでいうなら、りんご一個分のお金100円を、労賃1時間100円という条件で借りて、実際に1時間相手のために働いて返却するということになります。いわば、利息がつかない借用書みたいなものです。 もし、働く力がなかったら、その人はどのように生きぬいていくことができるでしょうか? 病人となって、一銭もお金がなかったら、どうして生きていけばいいでしょうか? 病人ですから、病院に入院しなくては生きていけないとします。 @ 病気が治ったら、働いてその入院費は支払うという約束をする この場合も、ありがとう通貨を特別一日24時間分支払えばいいというシステムがあれば可能です。 その病気が不治の病であったり、将来働くことが不可能であると判断された場合はどうでしょうか? A 生きている間の入院費を他の人(ボランティア・国・親戚・友人など)に援助してもらう。 この場合、自分が生きている時間分のありがとう通貨を発行し、その時間を他の人に助けてもらうことになります。そこで、不治の病の本人が働くという約束は他の人が行ってもかまわないというシステムであれば可能になります。 それが、ありがとう通貨の流通の基本になります。この不治の病の人が1ヶ月で亡くなったとします。そのありがとう通貨発行額は24時間×30日=720時間分、ありがとう通貨は流通することになります。 現通貨でいえば、毎日一人がボテンテイアで看病し、のべ30人がその人の命を支えたということになります。 現在の日本では国による生活保護政策で、そうした人を支えているが、他国の貧民国ではそうではない国もたくさんある。 |
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生活保護 100万世帯に 資料 |
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生活保護100万世帯に、勤労世代も増加 2005年度に全国で生活保護を受けている世帯数が、月平均で初めて100万世帯の大台に乗る見通しであることが26日、明らかになった。 10年前の1.6倍生活保護世帯数は、厚生労働省が月ごとに集計して発表。4月から翌年3月までの年度平均は、毎年6月ごろ公表している。05年度の生活保護世帯は、景気回復基調が続いているにもかかわらず、4月以降も増え続け、毎月100万世帯を上回っている。最新データは11月分の104万8661世帯(約148万人)。12月分以降は伸びが鈍化すると予想されているものの、過去最高だった04年度の平均99万8887世帯を上回り、「05年度の100万世帯突破は確実」(厚労省幹部)だという。1995年度の生活保護世帯数は平均60万1925世帯だったことから、10年で約1・6倍に増える見通しだ。 景気回復でも増加従来、生活保護世帯数は景気がいい時期は減少する傾向が強かった。しかし、04年度以降は景気回復の兆しが見え始めているにもかかわらず、増加傾向に歯止めがかかっていない。厚労省は「急速な高齢化社会の進展で、景気回復が生活保護減少につながっていない」と見る。04年度の生活保護世帯の内訳では、「高齢者世帯」が46万5680世帯で約半分を占める。「傷病障害世帯」(35%)、「その他世帯」(9%)、「母子世帯」(同)と続いている。生活保護を受ける高齢者世帯が多い背景には、年金保険料未納など、年金制度の空洞化問題がある。一方、小泉内閣が発足した01年度以降を見ると、最も増加率が高いのは、独り暮らしの勤労年齢層が多いとされる「その他世帯」だ。04年度は9万4148世帯で、01年度の約1・5倍に増えた。厚労省は「仕事をせず、職業訓練も受けない層が増えている」として、勤労世代の格差拡大を懸念している。 |
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ありがとう通貨の委託・配分先 現通貨の委託配分先が、銀行を通して、資産ある者・投資能力のある者になってくるが、それとはまったく逆の資産なき者、投資能力がなき者にありがとう通貨を配分・委託することで、現通貨の格差を是正することができてくると思われる。 つまり、この世でもっとも小さき者に、ありがとう通貨を配分・委託することで、その流通を促進できるようになる。 先の例では、病人で、五体満足でないもの、一銭もお金もないものといった人達にありがとう通貨を発行・配分・委託することがもっとも有効になってくる。 それは日本に限らず、海外の貧民国における飢餓に近い人達にありがとう通貨を発行・委託・配分していけば、もっと有効になってくるといえるだろう。 さらに、心が飢えた人達にはこのありがとう通貨はもっと有効な手段になってくる。日本における生活保護者は肉体は働けるけれども、心が働けない人も増えている。生活を保障するお金だけでは人は幸せにはなれない、満足できないことも、現生活保護制度の実態からもうかがえるからである。 |
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