16.実際的ありがとう通貨の流通と自助力


 発行者がこの世でもっとも小さき者であり、その原紙の発行者がボランティアの者であるというところまで、きましたが、その先は、発行されたありがとう通貨が実際に流通させることができるかという問題が起こります。


 今、世界でもっとも小さき者たちはどこにたくさんいるでしょうか? また、日本人に一番近く、なんとか、接することができる者はどこにいるでしょうか?

 そこで、最近のニュースに目を向けてみました。世界中で・国連で、もっとも注目されているのは、北朝鮮の核問題です。その底にあるのは、人の命と人権の問題です。特に、北朝鮮の国民が飢えているという状態であり、食べていけないから、脱北する民衆たちです。

 この飢えの問題は自然の災害ではなく、人間の災害です。しかも、悪政のよる被害です。アフリカにおける飢えも、やはり、自然災害ではなく、政治的な被害による飢えです。

 日本人の人権を無視した北朝鮮の拉致もまた悪政からきます。今、日本人の拉致被害者も、北朝鮮の国民とともに、悲惨な状態に追いやられています。

 彼らこそ、今の世界で、もっとも虐げられた小さき者たちだと思われます。

 さらに、彼らは病気で働けない状態ではありません。まだまだ働ける状態ですが、働く場が与えられないでいます。

「民団の脱北者支援センター」「ニュースレター7」によると、日本における、脱北者の9割は働けるけれど、就業が困難という数字がでています。また、韓国のおいては、たとえ就職できたとしても、その64%が仕事が1年続かないという数字がでています。

 まとめてみると、脱北者は北朝鮮国内では肉体的飢えがあり、国外では精神的飢えがあるともいえます。

 ありがとう通貨は「私は働きますという約束手形」みたいなものですから、障害や病気で働けない人(未来に働ける人)よりも、働きにくい人の方が即効果的に流通しやすいように思えるのです。

 日本では脱北者の数が少ないので、生活保護が受けられ、43%の人がそれで生活ができていますが、もし、たくさんの脱北者を日本は受けきれないでしょう。また、それは、日本人の生活保護者にもいえることですが、ただお金をもらって生活できるだけでは人は満足できません。それは若者のニート数の増加でもいえることです。

 心の支えが生きる上でとても重要な生きる力になるということです。

 政府が援助する場合は、大抵現通貨におけるお金です。お金さえあげれば、生活できるので、あとは自分でなんとかしろというようなものです。そこで、韓国のように、「脱北者が自立できるよう政府が支援すべき」というような運動が出てきます。

 日本でも、フリータやニート、さらに、自殺者の増加のため、「自立促進センター」のような機関が必要になってきています。人はパンのみでは生きられない、人は金のみでは生きられない・・・という意味でもあるのです。

 こうした状況を解決に導くのは現通貨の金ではない、ありがとう通貨ではないかと思うのです。

つまり、政府は支援する場合、金を与えないで、ありがとう通貨をあげたらどうかと思うのです。金を与えれば、働かなくても生きていけます。ありがとう通貨は「働かなくては生きていけません」働くというのは、自分を命の時間を相手に与えるということだからです。

 これは、「人のために働くことによって、自分は自立して生きられる」という力を得ることができるからです。

 ありがとう通貨をサインし、発行することは、働く約束手形であり、「私はあなたのために働きます」という保証だからです。

 例えば、脱北者全員に、国連がありがとう通貨原紙(小切手帳・約束手形帳)を配ったとします。そして、脱北者を支援してくれた人たちに、そのありがとう通貨をサインし、発行することで、その支援をいくらでも受けられるようにします。

 すると、脱北者たちは、そこでなんとか生活できるようになりますが、今度は、たくさんのありがとう通貨をもらった支援者たちは、そのありがとう通貨で、脱北者全員に、いろいろな仕事をしてもらえることになります。それを無視することはできません。自分で発行した通貨であり、働くという約束手形ですから。

 その時点で、脱北者は「仕事を得ること」ができます。こうした支援者と脱北者の協力は、ありがとう通貨の流通がされることによって、日本におけるニートや生活保護者の間でも盛んに使われることにつながると思えるのです。

 ありがとう通貨は「私はあなたのために働きます」という意志を強める働きがあるからです。それが、自分だけ生きられればいいというのではなく、人のために生きることで私は生きられるという意識が大きくなります。



 ●現通貨シシテム

   人はパンで生きます・・・人は金なくして生きられません

 ●ありがとう通貨システム

   人はパンのみでは生きられません・・・人は心で支えられ生きています


 脱北者支援の団体や人はその活動資金としてたくさんのお金が必要なので、募金を行っています。その資金はとても足りないのが現状でしょう。でも、ありがとう通貨の小切手帳や約束手形帳だったら、そんなに資金はいりません。政府だって、莫大な資金はいりません。広報パンフレットの代金だけで、彼らを助けることができます。しかも、一時の援助ではなく、長い人生全体の援助であり、また、他の多くの自立が必要な人たちも助ける力をもたらせることができます。


 今まで、世界の歴史はお金がもっとも大きな力をもっていました。でも、そのお金ではどうしようもない時代がきているのです。愛はお金ではどうしても買えません。買えるとしても、莫大な金額です。大金持ちしか自由がきかない時代になってしまっています。

 でも、このありがとう通貨システムが流通すれば、お金ではできないこともたくさんできるようになれると思えるのです。特に、愛を支える通貨として。