現貨幣(物々交換貨幣)の問題点
 もし世界が100人の村だったら


 この世界の縮図を数字で表した話は口コミを通じて世界に大きく拡がりました。この縮図の数字の中心は何でしょうか?

 6人が全世界の富の59%を所有し、その6人ともがアメリカ国籍」

ということだと思うのです。人類の貧富の差から、教育、栄養、健康、人種と国の差が大きくなり、全世界はたった一国のわずかな人間のための世界になっている現実があるのです。

 この差を生み出す原動力が現貨幣であり、その制度であるのです。

 もしもこの世界にお金が一銭もなかったらと想像してみてください


 「もし世界が100人の村だったら」のような貧富の差がある世界は産まれるでしょうか?

 また、権力闘争のような争い事が減って、助け合える平和環境がより求められるのではないでしょうか?

 現在、何かもめ事があった場合、最終的にほとんどがお金による解決になっていますが、それができなくなったら、別の最終的解決法は何でしょうか? それは心と助ける労働力になってくるのではないでしょうか?

 現貨幣制度の問題点


1.利息が付く

 地域通貨の団体ゲゼル研究会ではマンガで、利子の付く現貨幣制度の問題点をわかりやすく説明しています

 お金に利子がつく制度は、一般には「お金がお金を産み出している」ということです。もし、あなたが、1兆円持っていれば、それをただ銀行に預けているだけで、その利息で充分生きていけます。年利1%であれば、年収100億円になります。

 逆に、もしあなたが1兆円銀行から借りたら、年利3%としたら、元本の1兆円の他に利息を毎年300億円返さなくてはなりません。

 現貨幣制度の問題点は単に利息が付くというだけではありません。その他の問題点があります。

2.ゲームになる

 二つ目の問題点は、お金がゲームに利用されることです。

 日本人1億人で宝くじをするとします。一人の賭け金は100円で、一億人の中で一人だけその宝くじが当たるとします。すると、当たった人はこのゲームで100億円手に入れることができ金持ちになることができます。その他の日本人は100円だけ、夢を見る遊びをしただけですみます。

 ゲームは貧富の差を楽しむようなものだとも言えるのです。

3.権利が付く

 三つ目の問題点は、お金が権利に変換されることです。

 もし、都会の一等地に大きな土地を買ったとします。多くの人はその土地を使わないと不便なので、そ土地の一部を借りなければなりません。これは、昔の大地主と小作人の関係がすぐに作られることになります。

 その土地の所有者が一番強い権力をもつことができ、借りる人は弱い立場になってしまうのです。

4.情報になる

 お金はまた情報にも変換されます。また情報もお金で買わなくてはなりません。知者と愚者の差はその情報をもっているか、いないかで、差が出てくるのです。

 最近、企業売買、株取引では、その情報を先にもっているかで、数億円の損得が簡単に産まれてしまいます。


5.その他

 その他、どんな裁判においても、最終的に金で解決していくしかないことや、お金が何かをするための手段なのに、それが目的になってしまうという問題などもあります。また、犯罪の多くが金問題から発するともいえます。

 その他、いろいろと考えるとたくさんの問題がそこから生まれてくることがわかります。


 現貨幣制度の問題点を整理する


 このように、現貨幣制度の問題点を整理しただけでも、人類の貧富の差が大きくなってしまう制度であることが明確になります。

 この貧富の差が大きくなると、社会は安定感を失ってきます。そのため、貧富の差を是正する制度や運動が必要になります。

 例えば、日本の税制ではたくさんの利潤を得た人はたくさんの税金を払わなくてはならないという法律があるのです。

 また、金持ちは積極的に慈善活動をしていかざるをえなくなります。金持ちの国は貧民国にたくさんの援助をしていくことで国際社会を維持しなくてはならなくなります。

 NPO団体や宗教団体が、ボランティア活動したり、募金運動したりして、その差をなくしていく努力をしなくてはならないのです。

 でも、国や大手企業や慈善家やボランティア団体がいくら努力しても、世界の貧富の差がなかなか縮まらないというのも現状です。そのため、もっと効果的な制度を作る必要が出てきているのです。

 この貧富の差を是正しようとして、過去世界は二分されました。きっかけはマルクスの資本論です。資本家と労働者を対立して組み立てた思想です。この対立は金持ちと貧乏という設定ともいえます。貧乏人である労働者が天下をとって、金持ちを規制しようとしました。そして、共に働く社会を築こうとしました。

 マルクスの思想はエンゲルスに受け継がれ、共産主義社会の建設になっていきます。レーニンに、毛沢東にと、各国にその実現がされていきました。そして、世界は共産主義と自由主義社会と二分されたのです。そこに熱い戦争から冷たい戦争までおき、世界的規模の核戦争が起こる一歩手前までになったのです。

 でも、結果的にそれはどうなったでしょうか? 共産主義の指導的役割をしたソビエトは崩壊したのです。そして、自由主義思想の勝利という結果になったのです。

 マルクスの資本論、労働者による共産主義社会の失敗は何だったのでしょうか?

 そもそも資本論というのは、お金に関する論文です。いわば、現在の貨幣制度という意味です。マルクスはこの貨幣制度の変革をしないで、社会の変革、とくに、支配者と被支配者の構造を力(労働運動・政治改革)での変革にすり替えてしまったのです。

 そのため、単に支配者が変わっただけでなく、暴力(戦争・集団闘争)による変革だったため、その支配者は絶対君主になってしまいました。マルクスが描いたみんなで助け合って社会を築いていくような理想の共産主義社会とはまったく逆の絶対君主制国家に成り下がってしまうことが多かったのです。

 このマルクス思想の失敗は多くの教訓をうみだしています。

 
  • 貧富の差が大きくなると世界は戦争になっていく
  • 貧富の差を力(権力・武器・暴力等)による解決をしようとすると絶対君主国家が生まれる。
  • 貧富の差が生まれる根本的原因を正しくとらえ、その原因を除去する必要がある
  • 心情的(愛・平等・協力)に、社会運動するには注意をする必要がある

 現在の貨幣制度はもともと物々交換をしやすくするために考案されたシステムです。でも、今ではそれが人間生活の物ではない部分サービスや権利、心の問題にまで交換されるまで発展しています。

 このシステムはとても便利で、社会を大きく発展させてくれます。その便利さの一方、心をもった人間らしさを失わせる力ももってきています。それが多くのマイナスな問題を引き起こすため、それを調整するなんらかの新しいシステムが必要とされています。