悪貨は良貨を駆逐した

 悪貨は良貨を駆逐するとは、より実質価値の高い貨幣が流通過程から駆逐され、より実質価値の低い貨幣が流通するという法則である。

 金→薄められた金→管理紙幣→ ・・・ と、実質価値よりも流通価値の高い貨幣が優先するようになるという歴史的法則は正しいように動いている。基軸通貨であるドルの管理通貨がもはや実質価値を失いかけているため、その100倍も流通している債券が正貨になりそうな勢いである。

 管理通貨→債券 

 悪貨が良貨を駆逐するのは、貨幣の本質が逆だからである。実際は「良貨が悪貨を駆逐している」。貨幣を金にすること自体が間違っているからだ。管理通貨よりも債券の方が優先流通されるのは、管理通貨がアメリカの国内事情と中央銀行が独占的に発行され、貸し出されるためである。しかも、管理する何の基準もないためである。

 国際通貨としてのアメリカドルは何万年もたってもけして返済されないであろうアメリカ国債を支えるためにどんどん印刷されている。そのこと事態、債券が主で、管理紙幣が従の関係になっている証拠である。

 世界の経済ニュースは株式市場と為替市場が中心である。株は企業債券であり、為替は国の債券みたいなものである。

 ではなぜ「紙幣と債券」の主従関係が逆になってしまったのだろうか? 

 それは経済社会が「借りた金を利息を付けて返す信用(法律)」から成り立っているためである。そのため、貸した人が借りた人を支配し、利息を多く得た人が利息の少ない人を支配することになった。

 持っているお金を一番多く増やしてくれる投資銀行が、商業銀行よりも、返済の必要のない中央銀行よりも、頼りにしたからである。

 物々交換から発展させた貨幣でも、どうしても債券は重要な自由経済には必要な貨幣になる。数学おける0、ー1、+1の数字がなければ数学ができないように、貨幣にとっても、債券は欠かせないものである。

 物価を調整するためには、債券がなかったら、紙幣の発行数を増減させることで可能である。債券で物価を調整しようとして、よく金利の増減で行おうとするが、それ効果はうすいことは経験で証明済みだ。

 債券による物価調整はその発行総額であろう。株も債券だから、その価格が暴落すると、債券の総発行総額は減少するので平均物価は安くなる。その逆も真なりであろう。

 しかし、債券の価格はその信用度に大きく左右されるため、管理するのは難しい。株が企業の債券であれば、為替は国の債券だといえそうだ。アメリカの国債の信用度が下がるとドルは下がり、日本の国債の信用度が上がると円は上がるからだ。

 こうした国の為替価格を国が決定できる管理通貨にすれば、債券を管理することができる。中国は自国の管理通貨だから、他国が不景気でも自国だけ景気をよくすることが可能だったといえよう。

 しかし、国内の債券も管理通貨にしないと、物価調整ができない。

 例えば、日本の国債の価格を信用度ではなく、管理価格で決定できれば、物価調整が可能になる。それは利息の上げ下げではなく、債券そのものの価格である。国債を返済しようとして、消費税を上げ、物価を上げ、不景気にする必要がなく、国債に物価調整税をかけて、価格を下げれば、庶民の減税効果になり景気がよくなる。

 為替も管理債券にすれば、1ドル90円にもでき、輸出業者を守ることも可能になる。 自由市場は最低と最高価格を制限しなくては成り立たない。自由には義務が必要のように、自由価格には最低と最高限度が必要なのである。

 今後世界は管理通貨制度から、管理債券・管理為替制度に変わらざるをえなくなるように思える。自国の経済の主権は自国にあるようにすることが、自国の自由を守るには必要だからだ。

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