やっとゲゼルを読んだ

といっても、最終章の金利に関する理論は読む時間がなく、さっと目を通しただけだったが、とにかく、明日ゲゼルの講演会までには、なんとか予備知識を持つことができた。

 いわば、予習みたいなものだ。それにしても、私の勉強方法は実に理解しやすいように思えた。最初に、無理して全部読まないで、刺激されると、それをきっかけに独自の理論で、お金を解明しようとした。そして、それを展開していくと、どうにも、うまく説明できない箇所で、止まってしまう。そのときに、また、教科書ともいうべきゲゼ自然経済学を勉強するという繰り返しをした。

 しかも、明日の講演会を読了の期限として、定めたおかげで、いっきに最後まで読み通すことができた感じだ。こういう方法でないと、難解な経済学の教科書を読むような感じで、途中挫折してしまう学生が多いのではないだろうか?

 昔、学生のころ、友人が、マルクスの資本論を一緒に読もうとさそってlくれた。でも、それはたった1回か2回で二人とも挫折した。まったく何を言っているのかが理解するのがとてもできなかったからだ。

 それから、40年の歳月がたって、ゲゼルの自然経済学を読む機会にめぐまれ、当時、無理してマルクスの資本論を読もうと努力しなくてよかったとつくづく思ったしだいだ。マルクスの経済学が、100年の月日で、実践されて、その理論がまちがっていたことを証明したのが、共産主義国家のソビエト連邦の崩壊である。そして、ゲゼルはマルクスの資本論の根本がまったく間違っていたことを指摘した。

 それは金利に関する見識である。マルクスは「商品=お金」であるという設定をしてしまい、さらに、「金利=労働」だと勘違いしてしまい、その間違った理論で、分厚い資本論を構築したのである。基本となる「お金が何であるか」、「お金の定義」が間違った場合、そこから構築された理論はすべて間違ったものになる。

 そして、ゲゼルのお金の理論に関しては、世界中の政治家がまったく無視してきたが、100年後になって、それまでの経済の100年を振り返ると、それを見事のその理論がもっとも通用し、歴史そのものが、ゲゼルの理論の正しさを証明している。

 でも、ほとんどゲゼルの自然経済学に関して、今でも無関心な社会である。そのため、ゲゼルの研究者は少ないし、その言葉の影響力はほとんどないのはとても残念でならない。

 経済学についてはまったく素人である私でさえ、彼の理論を理解することは難しくなく、実にシンプルでわかりやすく説明してくれている。それでも、今の経済学者も、政治家も、学生も、ゲゼルを学ぼうとしないことは実に悲しむべきことだ。

 ゲゼルがいうことはいわば、コペルニクスが天動説は間違いで、地動説が正しいといっているようなもので、経済学において、基本となるもっとも大きな発見であることだ。

 先のマルクスが「商品=お金」というのがいわば天動説で、地動説は「商品≠お金」だとゲゼルが発見したことだ。これは単純なことだ。どんな商品も腐り消滅するが、お金(に書かれた数字)はけして腐りも消滅もしない永遠不滅の存在である。だから、けして、同じではない。

 また、「金利=労働」というのも間違いだ。お金がお金を産むという設定が金利である。それは労働に関係なく付くものであるから、「金利≠労働」である。これをみなマルクスのように間違ってしまうと、人は労働しないで、お金をお金で増やそうとするする人ばかりになってしまい、経済は破綻してしまう。

 今日の経済・金融破綻はまさに金利に対する誤解から生まれた、大投資家たちの才略から生じたものなのである。簡単にいえば、金持ちが貧乏人に金利をつけて、働かせ、それで得た商品で自分が裕福に暮らすための法律で守られた権力・暴力に他ならないのである。

 こうしたことは、サラリー金融でよく起こることだ。それで命を失う労働者もいるだろう。それが戦争の原因でもある。こうしたことが明快にゲゼルの理論で理解できるようになる。それはいままでの歴史的事実でそれが正しいことであるという証明さえできるものである。

 ともかく、今日は明日の準備をして、寝ることにしよう。明日がとっても楽しみだ。講演者の本を読んだことはないが、たぶん、そこで話されるだろう。

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