お金四方山話

 最近ブログを更新してないので、とりあえず何か書くことにする。最近大きなことといえば、野田首相が反対派が多い中、独断で、TPP参加を表明したことだ。それは単純に解釈すると、加盟国間の関税を廃止し、自由貿易をしようとすることだ。このTPPの中味で、日本はほとんどアメリカしか観ていないので、アメリカとの二国間自由貿易協定(FTA)て感じである。

 経済界があせってTPPに参加したいのは円高が急激に進んでいるから、輸出競争に負けてしまうからだろう。

 関税撤廃ということは、貿易商品価格に税金をかけないってことだ。各国通貨は金融商品なので、その関税撤廃ってことは、各国通貨の為替相場を廃止して、すべて一つの通貨に統一するということと同じである。

 TPPはシンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、オーストラリア、ペルー、アメリカ、ベトナム、マレーシアの加盟国の通貨を一番経済規模の大きい米ドルで統一しようとすると考えればいい。

 これはユーロという統一通貨を欧州23カ国で使用し、それまでの各国通貨を廃止するようなものである。

 ユーロ圏で、最近ギリシャ危機が叫ばれ、それがイタリアにも波及しており、ユーロ通貨は下落している。その理由は国の借金が膨大で、期日までに返済できなくなり、倒産する状況だからだ。

 これはTPPという経済協定にもいえて、その加盟国の一国でも、借金と貿易赤字が膨大な国があると、いずれ、加盟国全体で、その借金と貿易赤字を埋めなければならなくなり、加盟国全体が危機に陥ることになると予想できる。

 この問題児はアメリカであることはいうまでもないだろう。TPP参加を推進するということは、いわば、円高を解消するために、日本の通貨を米ドルにするという発想とほぼかわりがない。衰退するアメリカとTPP加盟国は運命共同体になるようなものである。

 1971年のアメリカ大統領であったニクソンは、世界でもっとも多く信用されていた米ドル紙幣で金との交換を独断で禁止した。それから、世界経済は金本位制から、米ドルを基軸通貨として、その固定変動為替相場になった。

 どんな国際取引でも米ドルを介して貿易が行われている。このことは世界で生産されたすべての商品を米ドルと交換できるということである。つまり、アメリカは世界中の商品を、ただで、米ドルを印刷発行すれば手に入れられるということになる。だから、他国からどんどん商品を輸入して、その分の代金の米ドルを渡していく。各国は米ドルがなければ国際間取引ができないから、米ドルを集め、外貨準備金として貯金する。ただ持っているだけでは増えないから、アメリカ国債を買い、利息をつけて殖やそうとする。

 アメリカ国債が膨大になり、その償還が難しくなれば、米ドルをさらに印刷して、支払えばいいだけだ。つまり、アメリカ経済は世界の基軸通貨が米ドルという特権だけで成り立っているだけといっていい。

 しかし、そんな権力詐欺みたいなことはいつまでも続くものではない。アメリカに多く輸出している黒字国には米ドル外貨準備金も、アメリカ国債も多く手にしている。これは米ドル借り主より貸し主の方が権力が上になることであり、米ドル発行者よりも米ドル所有者の方が権力が強くなるという転換点がくるということである。

 アメリカはあわてて、米ドルを回収しようとする。貿易赤字を黒字に転換しようとしたり、国債をFRBが買い込んで、さらに米ドルを印刷していく。そのため、米ドルの価値が下がるので、変動相場である日本は円高になる。でも、中国通貨元は固定相場であるから、元高にはならない代わりに、中国国内の物価が上がりインフレになる。

 このように、米ドルを世界の基軸通貨にしていることが、世界がアメリカ経済にふりまわされ不安定になる原因だろう。

 これは一国の通貨を世界の基軸通貨にしてはならないということ、そして、世界を一つの統一通貨にしてはならないということだ。いわば、通貨の独裁政権は世界の経済暗黒に導くということになるだろう。

 通貨もまた、金子みすずが詠った。

「みんな違ってみんないい」

 このモットーを基礎にすることが大事だろう。

 

 

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