つるはしが折れた

裏の雑草地を水田と畑に代えようとした。

山を削って水平な水田を作るため、山を削るのだが、それがまさに堅く砂岩のような土である。そのため、つるはしで、その土を砕いていくと、そのつるはしが折れてしまった。

両手は親指と人差し指にたこができた。そうして、やっと、

ここまで水平にしたが、ここで終わりではなく、雨水をためる堤と砂岩のような土を水田の堤にし、そのとりのぞいたところに栄養豊かな土を入れ込まないとならない。

ここは、30坪くらいであろう。ここに麦と米を植えるつもりである。

最近、TPPに日本が参加するかもしれないと論議が盛んである。TPPが環太平洋の国々で、シンガポール、チリ、ニュージーランド、ブルネイの4か国が2006年に発行した経済連携協定であり、2015年までの原則100%関税撤廃を目指し、アメリカ・オーストラリア・ベトナム・ペルー・マレーシアが参加を表明している。そして、11月9日のAPEC首脳会議で、日本・中国・フィリピン・カナダが参加するかが問われている。

 もし、関税を100%撤廃したら、どうなるか、アメリカとの米の輸入価格と車の輸出価格で比較してみると、米の日本の関税は778%で、車のアメリカの関税は2.5%である。100万円の車を輸出する場合は102万5000円で販売されたのが、100万円で輸出できることになる。一方、100万円の米を輸入するときには、878万円だったものが、約8割安の100万円で買えることになる。米と自動車の輸出入が100万円の同額だとしたら、差し引き 878万円ー2.5万円=875.5万円の輸入が増えることになる。今の輸出国より、大幅な輸入大国になると思われる。

 私は小麦を今作っているが、小麦の自給率は14%である。小麦の関税は252%であるので、さらに、その自給率は減ることになる。関税率が高くても、日本で小麦を作る農家はほとんどいなくなった。昔は米と麦を二毛作していたのに麦は儲からないのでやめたためと思われる。

 日本の1農家の平均作付け面積は1ヘクタール(3024坪)であるが、EUは9ヘクタール、アメリカは99ヘクタール、オーストラリアは1902ヘクタールである。日本は1ヘクタールといっても、あちらこちらに分散しているのが実情である。

 これは機械と手作業との競争であり、その価格を競争することもできない状態である。私の隣のぶどうと桃の果樹園はあちらこちらにまとめて5反(1500坪)あるが、それだけの収入では生活ができないという。

 国は自給率をあげる目標が景気対策で逆になっていく。これは環境よりも経済を優先するからだ。自給率というのは、安心して生活できる最低の環境のことである。経済に左右されないで安心して暮らせる環境のことである。

 ベーシックインカムが検討されているが、それを経済のお金だけで、生活保障をしようとすれば本来の生活環境を失うことになるだろう。戦争や災害にあったときには、お金が重要ではなく、生活物資である。そのため、米や麦や野菜は配給制になるだろう。

 人がみな安心できる環境とは経済環境ではなく、生活に必要な食べ物の自給率が100%になり、その食べ物が国民すべてに毎日配給されることである。

 それができてからの経済の損得が考えられるべきではないだろうか。

人はお金を食べて生きていない、米と野菜を食べて生きているのだ。お金は道具であり、常に二次的な考案事項にすぎないのである。

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