本末転倒とは根本の大切な事と、枝葉のつまらない事とを取り違えることである。
つまり、国家が本末転倒な議論や政策をしていると転覆してしまうことだ。
一番の例が、目的である根本と、その手段である枝葉末節を取り違えることである。
「平和のための戦争」は、「平和が目的」であるが「戦争はその手段」である。それが戦争のための戦争(手段のための手段)になってしまうと、混乱転覆する。
世界は今金融崩壊の混乱があるのは、「働く」という目的に対して、その道具である「お金」が本末転倒になっているためである。我々の意識にしても、「お金を得るために働く」と考えるが、「働くためにお金を用意する」とは考えることはない。
世界のほとんどのお金は一国の国家予算に価する64兆円もの負債を出して破産したリーマンブラザーズのような投資銀行に支配されている。どの国にしても、すべて金持ちに支配されている。金持ちに借金しなくては政府は何もできないからである。
どうして金持ちが国もその国民をも支配できてしまうのだろうか?
世界は中央銀行システムをとっており、中央銀行が独占的に貨幣を発行して、そのお金を国や企業や国民に貸し付ける。そして、「貸した金は必ず返す」という信用だけで、お金は循環している。
もし、この「借りた金は返してくれる」という信用が100%通用していたら、すべてのお金はその発行元である中央銀行に返却されなければならない。どんなお金にもそのお金が中央銀行の永遠の所有物であることを示しているではないか。
しかし、国民の金持ちは持っている金を中央銀行に一銭も返済していない。かつ、中央銀行の金を自分の金として、貧乏人に貸し付けている。これは違法であるし、「借りた金は返さなくてはならない」という信用経済を破壊しているのである。もし、中央銀行が独占貨幣の発行権と、その貸借から成り立っているならば、けして金持ちが世界を支配することはありえない。
しかし、世界の中央銀行は金利を上げたり下げたり、債券を買い取ったりするだけで、自分の金を回収しようとはしない。貸した金を返してもらうという信用を自分で破壊しているのである。
そのため、金を中央銀行に返さないで、自分の独占した金にしたのが金持ちの投資銀行である。
本末転倒通貨とは、発行者であり貸与者の中央銀行の本と返済しないで無断所有者となった金持ちの末が転倒した通貨のことである。
金本位制のときは、金の保有量しか貨幣を発行できなかったが、それが国の管理通貨になって、国はいくらでも発行できるようになったとき、ハイパーインフレになってしまった経緯がある。特に、戦争のような国家事業にお金をいくらでも印刷発行して国民を先導した。しかし、お金を大量に発行したら、それを税金で回収しなくてはならない、そうしないとお金は循環しない。64兆円発行したら、64兆円税金徴集しなくてはならない。
これは中央銀行が64兆円国民に貸し出したら、期日内に64兆円返してもらわなくてはならない。ちなみに、債券には必ず返済期日が必要である。返済期日のない債券は債券ではなく、贈与である。その贈与された金持ちが中央銀行に代わって国民を返済という支配力をもったのである。
ハイパーインフレは政府紙幣を無制限に発行し、その分の税収を怠ったためである。その経済破壊にこりて、各国は中央銀行システムを採用して、貸した分は返すシステムを採用した。しかし、貸したが、金持ちはその金を返さないために、デフレ不況が起こったのである。中央銀行が発行した金は返済されずに、金持ちのところにすべて独占貯蓄されたためである。そして、「金を貸しても元金も返さない」国や企業や国民に対して貸し渋りが起きて、デフレ不況が起きている。そして、たまった金をさらに増やそうとする投資家たちは、一番安全だと思われる穀物や石油の商品市場に放出したりして、実質経済を混乱させている。
政府紙幣も、日銀貸借紙幣も、もはや崩壊せざるをえないシステムである。それに代わる通貨を発行することが急務である。
それが、政府紙幣と税制と組み合わせた通貨であり、日銀券のような債券通貨ではなく、贈与通貨の発行である。
それは実質経済と結びついた貨幣であり、日銀の独占債券通貨に対抗した、自治通貨の発行が世界の経済安定のきっかけを作るだろうと思われる。