日銀・FRBしかできない物価安定策

 現在、国際通貨というものはなく、アメリカドルが基軸通貨として各国の通貨と交換できるようになっている。しかし、アメリカ経済が不景気になり、ドルが暴落したため、基軸通貨・国際通貨としての役割がなくなってきている。
 その状態は国際通貨がなくても、各国通貨が交換できる状態になる必要がでている。

 そこで、国際通貨がない場合に、各国通貨で貿易と交換をするにはどうしたらいいかを考えてみた。

 基本はお金がなかったら、物々交換であるから、お互いの貿易の輸出入は同額になることが基本になる。 もし、輸出入額が同額でない場合は、バランスがくずれ、対等な国際関係は築けない。

 
  
 
 お金は商品交換のために必要な分だけ印刷されれば、物価は安定する。そのため、国民総生産のGDPと貨幣の発行額は同じであれば正常である。日本のGDPは550兆円だから、550兆円の日銀券が発行されていればいいし、アメリカのGDPは14兆ドルだから、14兆ドル分のドル紙幣が印刷されていれば物価は安定する。

 しかし、日米が貿易した場合、輸出入額が同額であれば、物々交換と同じなので、商品移動も同額なので、GDPも紙幣発行額も変わらないでいい。

 例えば、日本で100万円の車をアメリカに輸出したら、アメリカが100万円分に相当する1万ドルを刷って日本に払えばいい。そして、アメリカで1万ドルするお米を日本が輸入したら、1万ドルに相当する100万円を刷ってアメリカに払えばいい。

 次回から、同じ輸出入をする場合、アメリカは米の輸出で得た手持ちの100万円で、日本から車を輸入すればいい。日本は自動車で得た手持ちの1万ドルで、アメリカから米を輸入すればいい。

 しかし、アメリカの景気が悪くなって物価が下がった場合、それに連動してドルも安くなる。日本の景気が同じ場合でも、変動相場なので、円は高くなる。

 例えば、為替レートが1ドル100円から、1ドル80円にドル安になった場合はどうなるだろうか?
 
  
 
 1ドル当たり20円ドルが安くなったのだから、アメリカは日本に20円借金したことになる。その貸金として日本は20円分の紙幣を外貨準備金として印刷することができなくてはならない。そうしないと、日米の貿易は均衡しないからである。

 例えば、アメリカ国債の日本の引受額が7000億ドルあるが、1ドル100円が80円にドルが下がった場合、日本の損失額は20%の1400億ドルであり、それを下がった1ドル80円の為替レートだと、11兆2000億円である。(日本の消費税総額5%で10兆円、1%上げると2兆円増える)

 その場合、日銀は差額11兆2000億円分を印刷して、日本の外貨準備金に送金しなくてははならない。逆の場合は引き上げる必要がある。

 為替の変動で、生じた輸出入の差額は、輸出業者である自動車には損失分を補てんし、輸入業者である米業者から、為替関税として徴集しなくてはならない。為替変動バランス保険であり、それができるのが日銀発行権がある日銀だけである。

 これは自由貿易における貿易の均衡をするために必要な日銀によるプラスマイナス関税を実施することと、同じであり、国内の個別の物価を常に平等安定させることがまた日銀しかできないことであり、そうした物価安定策が日銀の存在理由なのである。
 
  
 
 関税撤廃がお互いに自由貿易というが、それは違う、自由放任貿易、弱肉強食貿易であり、真の自由貿易ではない。相互の国内の物価に合わせた貿易こそ、自由貿易なのである。

 このプラスマイナスの関税も、為替の差額による損得バランス調整はやはり、独占発行権のある日銀しかできない仕事なのである。

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