オバマトリック

 おもしろい記事を見つけた。オバマトリックという経済刺激策である。

金融緩和という経済刺激策の本質を分かり易く述べるので私の楽観論への理解を深めてもらいたい。

ある日、中国人の旅行者がNYにあるDebt(借金)という名のホテルにやってきた。手の切れるようなピン札100ドルをカウンターに置いてオーナー・マネージャーに、今夜100ドルで泊まりたいので階上の部屋を見せてくれと言った。そこでマネージャーは係に最上階5階の部屋5室を時間を掛けて丁寧に見せるように言いつけ、自分は裏口から向かい通りの肉屋に飛び込み3カ月も滞納していた肉代金100ドルを払った。肉屋は即座に自転車に乗って数ブロック先の精肉会社に長い間借りていた100ドルを返しに行った。精肉会社の社長は広告会社に電話して滞納している100ドルの広告代を取りに来させた。広告会社の社長は自家用車でDebtホテルに駆けつけ催促されていたアーケードのディスプレー広告スペース代100ドルを払った。
そこへ中国人の客が5階から下りてきて、どの部屋も気に入らないと言ってマネージャーに預けていた100ドルを受け取りグッド・バイと言って帰って行った。泊まらず仕舞いの中国人客がホテルの受付カウンターに100ドルを置いてから同じ100ドルを持って帰る間にホテルと肉屋と精肉会社と広告会社に何が起きたのだろうか。その通り!全員借金が無くなったのである。
私が名付けた「オバマ・マジック」(経済刺激策)の「種明かし」である。
借金の無くなった彼ら(アメリカ経済)が楽観的になるのは当然のこと。
だから私、増田のアメリカ経済楽観論は正しいのである。

 これは借金の姿を実にうまい例えである。オバマ政策でどうも不思議に思っていたのが、アメリカ国債をFRBがどんどん買って、それでドル紙幣をどんどん印刷して、市場に流している。これだと、ドルが世界にあふれ出し、ハイパーインフレになり、しまいにはドルが紙くずになるはずだが、その兆候がなぜかストップしている。

 その種明かしをこのたとえで教えてくれる。この中国人はいくらでもドルを印刷するFRBである。ハイパーインフレになる場合、100ドルを最後に中国人に返さない場合である。中国人は怒って、100ドルを返すように要求するが、ホテル(アメリカ)は払えないので平謝りする。いくらでも中国人(FRB)は金を印刷できるので、許して立ち去る。

 ここで濡れ手に粟なのは広告会社(投資会社)である。借金100ドルと現金100ドルを合わせれば2倍に投資でき、ホテルにすぐ返却しないで、その先の肉や(企業)に200ドルを貸す。すると、それは借金の連鎖にはじまり、また、中国人(FRB)がやってきて、見せ金200ドルをもってくる。

 実はこの中国人(FRB)は広告会社(投資会社)の手先だったからである。しかし、それがばれそうになったので、200ドルをホテルに返却すれば、オバマトリックはうまく機能することになる。

 つまり、中央銀行が大量の金を印刷しても、それをすぐに回収すれば、ハイパーインフレは起きないってことだ。

  このオバマトリックの構造を分析してみるとこうだ。

 今の金融は「1-1=0 」である数学をしないで、「1-1=+ー1」としている金学である。

 1とは現金、+1とは債権(貸金)、ー1とは債務(借金)であり、それを合わせたのは+-1とは株やFXなどの債券や金融商品である。

 オバマトリックの関連会社はホテル・肉や・精肉会社・広告会社はみな「貸金+100ドルと借金ー100ドル」を持っていたから、その実体は0である。そして、それらは見せ金・預かり金に過ぎない。

 つまり、どんな債券も金融商品も預金も、みな実体のない空0にすぎないのである。

 これを1枚の1万円札を使ってその貸し借りをすると、こういうことになる。

ここに1万円がある

 1万円貸すけれど、必ず返してもらわないと困るので、半分にわけて手形証文にしよう。

借金1万円

貸金1万円

 そして、その間、どちらも、1万円として使えるように、法律で決めた。そのため、世間のお金は現金借金貸金の3倍になり、利息をいれれば、4倍以上のお金が世界で流通するようになった。そのため、出回る商品よりも出回る金の量が大きくなって、明治の1円金貨は平成アルミ1円玉になった。

 でも、実体は借金も貸金も使えない金で、その価値は0である。これが金融トリックの種明かしである。

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