福島第一原発は負の世界遺産

 負の世界遺産として有名なのが、奴隷に家があるゴレ島である。アレックス・ヘイリー原作「ルーツ」がTVドラマ化され、夜中夢中になってみた記憶がある。黒人奴隷少年「クンタ・キンテ」が祖国アフリカで売られ、アメリカに連れられ、そして、その子孫が奴隷解放されるまでのドラマである。

 アメリカの裏の歴史がよくわかるドラマだった。

 負の世界遺産として日本は核兵器の悲惨さを示す「原爆ドーム」がある。奇しくも、今回の東北関東大震災の地震・津波・原発事故の悲惨さを象徴とするものとして、福島第一原発が選択されるかもしれない。

 核兵器廃絶だけでなく、原子力発電の廃絶の祈りをする世界の基点になるように思えるのである。自然の災害が人知のはるか上にあって、予想のできない証であったのが、東北関東大地震である。100年もかけて、地震の津波対策をしていた地域でもまったく無力だったという未曾有の災害だった。

 これから、悲惨さから立ち上がり復興させるのだが、今までのまったく同じ繰り返しをしてはならないと思えるのである。もう二度と同じ失敗を繰り返さないという気力が必要だと思う。

 「災い転じて福となす」「ピンチはチャンス」

この気持ちが一番復興には必要である。それが希望になる。亡くなった方は二度ともどってこない。もう二度と同じ災害で死なせないという生き残った人たちが決起することである。

 福島原発を再稼働することは、同じ過ちを繰り返すことになる。また、町が全滅した姿をもとのように建設することは同じ災害を受けて、同じ失敗を受ける。10mの防波堤のはるか上の25mの津波が押し寄せたからである。今後、もっと大きな津波があるかもしれないのが自然の驚異である。

 被災者を助けようとして、それがうまく機能できなかい体験を将来の災害があったときの教訓にすることが復興である。

 100年に1度の金融危機があり、今もその余震の不景気が続いている。それは今まで通りのお金のシステムを繰り返してはならない教訓である。

 今回の被災者を助ける「モノ」「サービス」「お金」「情報」の流れを、しっかり把握し、これからの世界の生活経済復興の教訓にして、新しいお金とサービスのシステムが構築することが真の復興である。

 今回、水・食料・衣料・エネルギー・情報・住まいがもっとも必要だった。それらはみな無料にすることが被災者を救済することに欠かせない。これは、今後、政府が国民の社会保障の基本になる。それがベーシックインカムにつながってくるだろう。

 その金額は全国の募金が必要である。また、日銀が復興歳費として100兆円お金を発行することも必要だったように、現在の中央銀行システムを新しく、日銀が直接貸し出すモノにする方向性が必要になることも示している。

 また、日本の震災において、為替が大きく変化したが、それが投機マネーがいかに経済復興を困難にするかも示している。投機マネーに影響されない為替を新しい制度を作ることも必要である。

 私の住む山梨にも被災者が137人すでに公営住宅に避難している。知り合いを頼って住む人も多く、特に福島県民が多いようである。そのような支援システムが全国各地で行われている。そうすれば、数十万人の被災者を現地でなく、全国で助けられる。

 それは、日頃から、各地の助け合いのような山梨と福島というような交流関係ができていると、情報と支援がしやすい。こうした救済システムは新しい社会のシステム作りになることが復興だと思えるのである。

 福島第一原発は負の世界遺産となり、次の新しい世界、自然と人間の新しい環境建設の原動力になれるように期待する。

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