復興費を新しいお金のシステムに

 今、私の住むところは最小の9人の地域組合がある。東京でいえば笹塚の上北町会のようなものである。その組長が今回の東北関東大震災の義援金を集めにきた。一件1000円以上ということだったが、単純計算してみた。復興費は1兆円以上が最低必要だ。国民を1億人として、1人10000円は必要である。

 どういう形で義援金を送ろうと考えていたが、この地元組織の活動が最も優れていると思えたのである。義援金だけでなく、物資援助もできる。それは地元の社会福祉事務所で県と連携して地元で集められている。

 それに、この組合は公民館を持っていて、避難者も受け入れられるのである。ボランティア組織も山梨では発達していて、テントの救護所をすぐに現地に作った姿をテレビ放送でみてびっくりした。

 これは日本中が、「1人はみんなのために、みんなは1人のために one for all, all for one」が全国自治体ですでにできあがっているのだ。

 こうした復興の流れから新しい日本の国づくりをしたいものである。今回は原発事故という世界的な災難にあって、今後どうしていいのかを大前さんが講演していた。

原発事故処理には一番わかりやすかった。ただ、経済復興における考え方は疑問である。むしろ、復興国債費100兆円の日銀引き受けの方が、日本再生のチャンスになるだろう。

大前さんの話の前提が「原発推進」であって、「原発廃棄」ではないため、現状は理解できるが、根本的解決策は示されていない。

 10万年も放射能が出続ける、放射性廃棄物が捨てるところがどこにもないという、現実に即した解決策が今必要であり、その前提は「核と原発廃棄」でなくてはならない。

 大前さんの話は使用済み燃料を再処理するために、青森の六ヶ所村に船で運ぶというが、そこは最終処分場ではない。

 日本で唯一最終処分場に名乗りをあげたのが、今回の原発事故があった福島県楢葉町である。奇しくも今回の福島の第一原発事故後は最終処分場になるしかないと、以前から決められていたような気持ちになってしまう。

 現在、3と4号機に延々と海水を流し込んで冷やしているが、電源が復活しても、その貯蔵庫に亀裂があれば、水は循環して冷やすことはできない。そのため、使用済み燃料が冷えるまで5年間海水を流し込んで冷やすしかなくなる。

 しかし、これは空に放射能入り水蒸気を放出するかわりに、海に放射能入り海水を流出することとかわりがない。海の魚などの海産物は一切口にすることはできなくなる。

 そのため、福島第一原発をそのまま最終放射能処分場にするしか放射能漏れを止める手段はない。それには、使用済み燃料を放射能が漏れない原子炉の中にもどすしかないだろう。

 そして、5年後冷えたら、原子炉そのものを、放射能が二度と漏れないように、汚染された建屋の残骸とともに、放射能を通さない、鉛やタングステンや鉄鋼で、原子炉そのものを覆ってしまうしかないだろう。

 そして、「二度と原発は作らないという誓いの像」を鋼鉄で作り、世界に、「核と原発の即廃棄へのメッセージ」をするしかないと思えるのである。

 また、地震津波災害の復興だが、大前さんは復興は必要ではない、新しい建設が必要として、被害があったところはみな公園にして住めなくすることを提案している。それも私は賛成であるが、ただ、被災地で残った建物はすべて再生して残すことが、未来の津波対策に必要なことであると思う。

 次に、消費税をあげて復興費にあてるという発想はいただけない。「みんなじゃかじゃか、うまいもの食べて、その一部(消費税)を復興費にあてれば、いいではないか」という発言にはがっかりした。

 被害のなかった沖縄県の人が、被災の方々に何ができるでしょうか?という質問があったとき、視聴者が答えた。「電気や食事を節約して、その節約した分を義援金で送ったらどうでしょうか?」

 これが、本来の復興費なのである。自分が贅沢して、その一部を可哀想な人に寄付しようなんて発想は傲慢きわまりない態度である。管政権が消費税を福祉税にするとは、そういう意味なのである

 国民が被災者と同じ痛みわけすることが、本当の復興であり、日本再生への道だからである。

 地元の小さな組織の自分ができる義援金や物資を集めて、被災者に送る寄付のような税金が必要なのである。

 しかし、こうした集められ被災者の使われたお金は最終的にどこにいくか知っているだろうか?

 また、日銀が100兆円の復興費を出しても、そのお金は最終的にどこに集められるか知っているだろうか?

 それが、中央銀行システムであり、すべては投資銀行や投資家に集まり、それが金が金を生み出す金儲け手段になっていくのである。

 彼らは金儲けしか考えていない。日本の為替が一時1ドル70円台にいった。そして、日本の株も今が買い時というだけである。世界の金のほとんどは100人の村のたった6人のアメリカ人が持つことになるというのがその証である。

 この義援金や日銀の復興国債費を最終的に投資家にもっていかれないように、また、持続的に長年にわたって被災者や生活困窮者にお金を回す方法がある

 それが期限通貨である。人が生きる上でもっとも必要な水や食料や薬にはみな消費期限が書かれている。今のお金だけが無限に貯蓄されていくのである。まさに、放射能物質のような金である。

 それを防止するには、お金に消費期限を設けることで、生活物価を跳ね上げる投資家に金が回らないようにするのである。

 例えば、復興費を10年に渡って総額100兆円必要だとすると、日銀発行の復興金が使用できる期限を1年に限れば、毎年10兆円の期限通貨を新規発行することで足りる、しかも、10年以上新規発行しても、ハイパーインフレはおこさない。

 なぜなら、発行した10兆円は1年後は使えなくなるから、10兆円の税金を投資家から自動徴集したことと同じだからである。

 消費税とか、所得税とかいちいちよけいな計算や脱税や徴集なんかしなくてもいいのだ。税務署の仕事も楽になり、そして、公務員の給与も少なくなるので、それが税金の節約になるからだ。

 つまり、核と原発の終焉は期限のない金の終焉なのである。自然の生き物はみな寿命をもっている、人は100年だ。しかし、放射能物質も今のお金も寿命を持っていない。それは人を支配し、人を死に至る道具である。100年の寿命を全うできる人はいったいどのくらいいるだろうか? 病気と飢餓で死んでいくのがほとんだだろう。放射能は病気を、金は飢餓を生み出す。

 そんなものを作っては未来の人類に恥ずかしいことである。今ここで、核と原発と無期限通貨を廃棄して、新しい命育むエネルギーと、命ある期限通貨の発行をしようではないか。

 2011年3月11日 ここから、世界は自然環境保全と命の金の新しい取り組みが始まる。 

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