自然農法で著名な福岡正信さんの「わら一本の革命」の緑肥草生米麦混蒔栽培を昨年の秋から実験してきた。その結果を知って、びっくりした。
麦畑に陸稲を秋に蒔いた土団も、5月に蒔いた土団子も100%発芽しなかった。しかし、水はけの悪い田圃に近い畑において、麦刈りしているときに、数本のコシヒカリが発芽して、10㎝くらいになっていたのを発見した。
この畑に蒔いた土団子の種が発芽した確率は数万粒の一つである。まさに奇跡的な確率で福岡式自然農法は実証された。でも、同じように麦下から発芽したイネ科の雑草は3倍くらいあったし、麦のあいまにはえていたクローバーやその他の雑草は1000倍にもなっている。
この福岡式農法が実際に使えるかというと、無理である。10㎝奇跡的に発芽した稲は雑草にまけて実をつけることはないと充分想像できる。それよりも、蒔いた種籾の数から発芽する確率が奇跡的であるので、まず使えない。真似ることも、実際の収穫も難しいことになる。
こうした実験結果から、福岡式越冬栽培は理想的な論理であって、実践的技能ではないと結論できた。
ネットで、いろいろ調べて、福岡式粘土団子の方法で稲栽培をしている人が1人もいない理由がはじめてわかった。
それにしても、世界的に売れた「わら一本の革命」の本のメインである、「米麦連続不耕紀直播」が、単に空論に過ぎなかったことにびっくりした。本が売れることと、そこに書いてあることが本当であるということとは違うということだ。
真実と人気とは違うのだろう。
それにしても、福岡さんは、この米麦連続不耕紀直播を訂正したり、技法をもっと進めたりしなかったのだろうか? その他の本はみな技能ではなく、思想になっている。その理由は半年の実験から納得できるものだった。