住まいでも病気になる

 板橋にあるアパートの改築を自分でしていて、愕然とした。

 なんと、コンクリート基礎の上が周りの土地より低かった。さらに、雨といの水の排水が家の四隅の土地にたれ流しになっていた。木造モルタル2階建ては全改築してから31年だが、基礎の上のある角材は腐り、消えていた。雨といの水が流れされた柱は背丈くらいまで、腐っていた。

 いつ倒れてもおかしくないのだが、昨年の3,11の大震災にも耐えていたのはびっくりする。どうやら、この建物は中央の柱と壁で支えており、周りはささえられていない。二階に上がる鉄骨階段が家を補強しているようにも感じる。

 このことが判明したのは、家の周りのゴミをとり、さらに、土を掘り起こして、空洞があることに不安を感じ、その空洞があった壁をぶち抜いて、はじめてわかった。

 このアパートの土地は西側の土地より50センチほど低く、ブロックの塀で区切られている。そのため、西側の下の柱のほとんどが腐っている。東側は雨といのたれ流し当たりの柱がほとんど腐って無くなっている 。

 これは完璧なる欠陥住宅だった。これを建築した業者はすでに解散してない、また、長年管理をまかせていた地元の不動産屋も廃業していた。

 このアパートはたった9坪で、1階と2階の二件に貸していた。その2件とも25年間くらい住んでいた。2階は新聞屋さんの寮になっていたが、昨月出たため、改装しにいったとき、1階に住んでいた80歳の老婆がずっと留守であったので、その保証人である息子さんのところに電話して、もう半年前から老人ホームにいき、今では入院していることがわかって、びっくりした。

 どうやら、もうここにはもどれないようだ。そのため、二階を改装するので、一階も一緒に改装しようとして、築31年にして欠陥住宅であることがはじめてわかったしだいだ。

 二年前、床が不安定なので、プロの業者に委託してそれを修繕してもらった。その時にはなんの報告もうけていなかった。床をみれば、まわりの柱が腐って落ちていることはすぐに気が付くはずだ。それに、床が不安定になった原因もわかるはずである。

 一階の老婆は以前から、入退院を繰り返し、昨年の9月に認知症を突然発症し、緊急時のベルも押せずに孤独死をする寸前で、隣の人が発見して救急車で運ばれ助かった。

 長年の老婆の病気の原因が、このアパートの欠陥による湿気にあったのではないかと思えてきた。病気の原因の一つに食事がある。食育という言葉があるように、食が人を育てるように、住居が人を健康にも病気にもする、居育という言葉があってもいいように思える。

 世界中で、住む環境が人類の未来を決定づけると言われている。それを縮小すれば個人の住居環境で、健康にも病気にもなり、また考える内容も決定させてしまうということである。

 私の友人は2DKのアパートに引越して数ヶ月たつが、そこでは捨てられないモノが天上まで積み上げられ、寝る空間だけしかない環境である。

 私がそこに一度泊めてもらった翌日、荷物に潰されるような狂気になった。そのため、すぐに電話して、捨てられない荷物を全部買うから、自分に捨てさせてくれと何度も頼んだが、断られた。

 本人はいつも過去に生きており、前向きでなく、ふさぎ込んでいることが多い。それも、こうした捨てられない荷物で埋まった住居環境が原因であるように思える。

 昔、風通しがない、建築構造のシックハウスというのがあった。原発事故の放射能物質があるところに長く住んでいれば、取り返すことができない病気にもなるだろう。

 健康のために、食事に注意するように、住まいにも注意をすることが肝心であろう。

 

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