生きている上で、必ず2つの力があたかも矛盾するかのように、支え合っている。それは自由を求める自立力と、協力する社会力である。
例えば、ラグビーのチームを強くするには、「チームはメンバー一人のために、メンバー一人はチームのために」頑張る必要がある。それは社会力の発揮である。
このチームを支えているのは個々のメンバーであり、個々のメンバーはそれぞれ自分のために努力して体力や技術を向上させていく必要がある。この個々のメンバー努力が自立力である。
生きているということは、自立力である「生きるということ」と、社会力である「生かされているということ」の2つの命の力で支えられている。
自由なくして自立力は育たないし、協力なくして社会力は育たない。
これは人間社会の経済力を動かす通貨にもいえることだ。
通貨とはいわばモノやサービスの交換券である。そこに書いてある数字は交換する量の大きさである。そのため、経済力とは通貨量の大きさであるといえる。
人間の命が自立力と社会力で成り立っているのに、人間社会における経済力はその片方の自立力である通貨保有量だけに頼っているため、しまいには、金持ちだけが生きられ、貧乏人は死んでいくという現代社会になっている。
これを是正するには、社会力である通貨も同時に発行流通させる必要がある。
現在流通している自立力の通貨の原理は「貸借とその利息」から成り立っており、Aという人からBが通貨を借り、BがAに利息を付けてその通貨を返済するシステムである。
AもBも一個人または一法人である。そして、社会全体は通貨を借りたBの自立努力だけで成り立っている。もし、BがAに借金返済できなければ、生きてはいけないし、BがAに借金できなければ、死ぬしか道がなくなる。どんな食料も金で交換するからである。
世界では飢えで死んでいく子どもが五秒に1人という現実を生んでいる。
この自立力通貨に対して、社会力通貨とは、もし社会構成員が五人ABCDEがいたとしたら、AがBに10000円貸した場合、その返済金は利息なしに、B一人だけでなく、BCDEの四人が協力して返済するシステムである。
つまり、Bの借金はみんなのために、みんなはBの借金のために動く社会力である。
具体的にいうとこうなる。
震災ですべてを失ったBさんが、Aさんに10000円無利子で借りた。Bさんはそのお金で、Cさんから食料を3000円買い、Dさんから衣服を3000円買い、Eさんのアパートに3000円で借り、残り1000円を予備費として残して生き延びた。
そして、BさんはAさんに予備費の1000円返済し、Cさんは3000円、Dさんは3000円、Eさんは3000円売上げをBさんのために、Aさんに返済した。
つまり、Bさんの命を、他の社会構成員であるACDE四人が協力して支えたことになる。これが社会力を発揮する通貨である。
この社会力通貨モデルは復興カードまたはe中銀券発行で可能になる。
つまり、Aさんはe中銀券の10000円の発行者である国であり、 その返済を10年にしたら、Bさんは毎年100円、CDEさんは毎年300円税金として銀行から引かれるという自動返済システムである。
五秒に1人の子どもの飢え死にを救うには人類の協力する社会力法貨で可能になる。