消費税が8%になり、10%台になってから軽減税率も適応される。この軽減税率で、生活必需品と贅沢品を分類するのが難しい。消費税は最終消費者に課税されるため、輸出業者の最終消費者は海外であるため、課税されないだけでなく、輸出業者の支出代金の消費税分が返還される。こうしたことから、所得の大小は消費の大小とは一致しない。
消費税の軽減税率をみると、消費する物品によって税率が変わるため、物品税ともいえる。消費税の歴史からみると、財貨・サービスの取引から生じる付加価値に課税するものだ。そこから、支払い税、売上税、生産税と名称を変え、現在の消費税になった。
物事を単純にとらえると、消費を拡大して景気回復させるためには、消費税ではなく、貯蓄税である。バーゲンセールのように、物価下げてもっと買ってもらおうとする。貨幣価値が下がるとしたら、すぐに物品に変えようとするだろう。中国では信用のない貨幣をすぐに金に替えたり、自国貨幣がなくなったジンバブエでは貯蓄はせずに、すぐに食料品に替える。
そもそも消費税が財貨の取引に対する付加価値税であるならば、金融商品である株式や外国通貨の取引にも課税すべきであるが、それがされないために、金持ちには課税されず、貧乏人にだけ課税されることで、所得格差は増大してしまう不公平税制になる。所億税のように累進課税されるならば、金持ちは多く支払い、貧乏人は少なく払うように公平になるが、消費税は不公平税制になってしまう。
所得税と消費税は、単純に貯蓄税に一本化できる。税金申告は、その計算も書類保存も難しい。しかし、それらは単純に銀行預金通帳の残高に課税される貯蓄税にすることで、税金申告も計算も、書類保存も、必要なくなる。銀行が金を預かる代わりに税金申告納入すべてやってくれることになる。
この貯蓄税を困難にさせている壁は貨幣が紙幣とコインであることだ。もし、銀行預金に貯蓄課税されたら、みなそれを現金に替えて、へそくり脱税しようとするからだ。また、現金ではなく、とくに、商品価値が下がらないような貴金属、骨董品、不動産にかえるし、また、株式や外国通貨に替えようとするからだ。
現金に関しては、貯蓄税が施行された年月日を起点として、その現金価値が減価される貯蓄税が引かれて取引される。例えば、2014年1月1日に貯蓄税が施行されたとすると、もし、現金100万円が1年後の2015年1月1日に使われ。貯蓄税が年1%としたら、99万円として扱われることになるような自動計算にすればいいだけである。
では預金を商品に替えて貯蓄しようとした場合である。これは、減価する貨幣の元になった理論であるが、自然の商品は必ず腐り、その価値を保存できないというものだ。これは生活必需品の中の食料品、とりわけ、貨幣の元になった米にいえることであり、そのまま保存すれば米は腐って価値を失ってくる。つまり、米に貯蓄税をかけなくても、減価するのである。
では、現在の冷凍技術で米を永久保存しようとしたら、その価値は変わらないだろうか? 米を保存するために設備と電気代などがかかることになる。つまり、現金を米に替え、冷凍保存しても、その保存料は貯蓄税にかわったものになる。
では不動産だったら、どうだろう? 1000万円で木造アパートを新築したとする。その木造アパートの耐用年数は25年であるから、毎年、40万円ずつ減価するので、その分が貯蓄税にかわることになる。土地を買ったら、それに固定資産税が付くので、それが貯蓄税に代わるようなものである。
株式に替えた場合、価値の増減があり、リスクは減価ともいえて、それが貯蓄税に代わる。そして、増価したら、それは投資であり、貯蓄税による景気拡大につながる。
国内の投資家は円を持っていると貯蓄税で減価するので、外貨に交換しようとすると、変動相場において、円売りドル買いが起こるが、逆に海外投資家は減価する円を買わなくなり、円通貨に投資せず、円で日本企業の株式に投資するようになる。これはアベノミクスの金融緩和で、日銀が円を無制限に印刷して、円の価値が下がった景気対策と同じになる。
貯蓄税によって、円安株高になり、景気がよくなるのは日本財政が好転し、海外からの信用が増えることと、円を増刷し、円を減価させて、円の信用を落として、景気が回復したように見せかけることとはまったく違うのである。
外貨貯金は株式と同じで、リスクや為替手数料があり、円の貯蓄税はそれに替わるといえるだろう。
貯蓄税を導入することによって、金融取引税のトービン税などが貯蓄税に替わることになる。為替手数料・株売買手数料はみな銀行や証券会社に電子マネーで貯蓄される。それに貯蓄税がかかることになるからだ。一日に何十兆円もの金融取引がある手数料の1%にしたって、一日の貯蓄税は数十億円になるだろう。それが申告もいらず、今までどうりの金融取引をするだけで可能になる。