♪ 前説
前々回の「利子は返済できない」という理論を進めていくと、お金がどうして本来の商品交換する道具から逸脱して、パチンコの玉や、ギャンブルのコインになってしまったかが、だんだん見えるようになってきた。
♪ 投資の手法
お金からお金を創ることはけしてできない。お金は常に同じ数字であり、変動したら、お金としての価値はなくなるからだ。
お金からお金を創るためには、一度お金を商品に替え、その商品をお金に換えるという手段をとることによって、あたかもお金からお金が作られたかのように、錯覚させるのである。
♪ パチンコ
1.パチンコの玉を1コ4円で、25コ購入して、100円を投資する。
パチンコの玉で777という3桁が揃うと、玉が1000コでるゲームをすると、その確率は1/10×1/10×1/10=1/1000になる。それは1000コ=4000円投資して、元金の4000円が戻ることになりので、
それ以下の投資ではほとんど損をする計算になる。
2.投資4000円に変更する
せめて、元金までと頑張って1/1000に挑戦して、1回にフィーバーでやめた。
1000コのパチンコ玉をゲットすると、
3.商品交換
パチンコの玉を商品(香水など)に換える場合、1玉=2円扱いであると
景品交換所で、景品をお金に換えてくれる。
すると、4000円の景品は2000円の現金になった。
4.結局4000円投資して、2000円の損をした。
そのため、元金まで取り戻すためには、景品交換率によるパチンコの玉1コ2円で計算する必要がある。
これを逆算すると元金が戻る確率は1/1000の2倍の1/2000になり、投資額は8000円で2000コで2回のフィーバーすることで、4000円になって、やはり損をする。これも錯覚であり、どんなに掛け金を100万円にしても、元金は取り戻せない。運がよくて、半額の50万円しか取り戻せない。
このミソは、パチンコ玉1コ4円で交換し、そのパチンコ玉1コを2円でお金に交換すれば、パチンコ玉がどんな確率で化けようと、原因と結果の両替率で、その損得が決まってくるのである。
5,でも、運良く得をすることがあるのは?
損得はいわばコインの裏表であり、誰かが得をすれば誰かが損をするカラクリから成っている。スポーツの勝敗と同じである。
例えば、パチンコ玉1コ4円で、25コ購入して100円投資して、運良く777フィーバーで1000コ出て、景品交換し2000円になった。差し引き1900円の得した結果になる。
しかし、その人の前の何人かが、999回の投資をして損をし、1/1000の確率の1000回目のその人が運良く1回チャレンジして得をしたといえることなのである。
これは、宝くじで、1枚1円の宝くじを1000人が購入し、そのうちの一人が確実に1000円もらえるシステムと同じである。
しかし、宝くじ協会が売り上げの50%とるシステムだと、宝くじ当選金は500円である。これは、パチンコの売り買いの差益によって、確実な損得になるのである。
♪ 株や不動産や債権や紙幣
商品は売買することで損得が生じるように、売買できるものは損得が生じる。
金融商品といわれる株や不動産や債権はお金ではなく商品に当たる。商品にはその時と場の需要と供給によって、価格が変動する。
一番の問題は中央銀行から商業銀行にお金を利子付き債券に換えたときから、お金は商品になって、その価値が変動するようになったことである。
では、各国で創られる紙幣はどうであろうか? 各国の紙幣の製造枚数は無制限であり、その時と場の需要によって、交換価値は変動する。いわゆる外国為替FXである。
紙幣そのものの価値も変動するために、それもやはりお金ではなく商品である。そのため政策によって、紙幣は紙くずにもなったり、パチンコ玉になったり、米や麦にもなったりする。
♪ 価値基準のないお金の暴走
金本位制の場合、金1g=1円=1ドルのように、何の哲学も、何の根拠もなしに、お金の価値の数字を世界的に決めても意味はなさない。そのために、金本位制は自動消滅した。
お金が商品の価値を決める手段として発展したのだが、未だに、世界共通の商品価値を定める基準が統一されていない。
お金が金でなく、銀行券になり、そして、債権になったが、そこに書かれた数字自体が価値を表す基準となるものがない故に、お金は商品からも、人道からも、逸脱して、人の欲望のままに暴走しつづけている状態である。
♪ 世界の基軸通貨の2つの条件
現在のアメリカドルを基軸通貨とすることをやめ、新たに世界の基軸通貨を創ろうという提案が今年の国連でされた。
それがスティグリッツ国連報告だ。しかし、国の利害があって、その提案は延期された。
その基軸通貨となれる条件を決めない以上、この議論は各国に利害で定まらず無駄であろう。
その条件の1つは・・
1.世界の基軸通貨は金利がゼロでなければならない
とすれば、イスラム教諸国は金利がゼロなので、アメリカとイスラム諸国との和合も実現できるだろうし、
お金の価値変動も少なくなる。
二つめの条件は・・・
2.世界の基軸通貨は地球の自然の循環に合わせた総生産高に対応する貨幣発行金額でなければならない。
というのは、貨幣に価値はその発行金額によって定められるからである。
例えば、世界の魚の捕獲制限をすることで、世界の魚の絶滅を防ぐことができる。この捕獲制限が貨幣の発行金額に相当することで、地球自然と商品と貨幣が調和し、 人類が生存永続できるようになれる。
それは各国で政府の予算を決めるような形で、お金の発行金額を決めるようなものである。
今までは個人の、自国の欲望でお金が作られてきたが、これからは、地球の命の循環でお金が作られる必要があるからだ。