若いころ、あんなに旅好きであった私が老人になったら、まったく旅に行く気が失せた。
もっぱら趣味のような畑仕事に情熱が湧いてくる。
だが、農閑期になると、暇をもてあますので、道楽のような出稼ぎをしたくなった。
それが老人の旅を企画するきっかけになった。
若人の旅を思い出し、ドイツのライン川沿いに パリで買ったソレックス(自転車に38ccのエンジンを付けたりはずしたりできる)で、オランダのワークキャンプに向かった。
泊まるところは、安いユースホステルが主で、特に印象深いのが、シェーンブルグ城のユースホステルである。
確か、42年前では 500円で泊まれた。そうしたユースホステルに若人だけでなく、リュックを背にかついだ老人もおり、そうした姿に当時あこがれた想い出がある。
このシェーンブルグ城を上からライン川を望む姿は今も焼き付いている。
来週、徳島で高校の親友が古民家を買い、そこで、健康のための講演会を毎月開くというので、そこへ 山梨から、車で 老人の旅をしたくなった。のんびり行きたいので、京都あたりのユースホステルにでも泊まろうかと思い調べたら、なんと茅葺屋根のユースホステルを見つけた。
ちょっと遠回りなので、そこは体力との思案のしどころだ。
友人が買った古民家は穴吹川沿いにある瓦屋根の家だ。
今、残りの人生をかけているのが、やはり
自然と健康の散策なので、まさに老人の旅の第一歩としてふさわしいものである。