西洋医学では、痛みの場所に原因があると考え、まず痛みの場所を中心に画像診断を行います。
画像診断は大事ですが、いくらレントゲン検査、CT、MRIなど高度な画像診断を駆使しても それは単に結果をみているだけなのです。
西洋医学では、結果である画像診断に拘わりすぎて、真の原因を見つけることができないことに気付いていないのです。結果だけを変えようとしても 根本的に治療できないことは明らかです。
実は、真の原因はその下方にあったのです。
施術で腰痛が改善した後、ほぼ前例で、大腿二頭筋、膝、足首、足というように痛みの場所をどんどん下に辿っていくことができます。
そして、8割くらいの方に外反母趾などの足の骨に変形が見られ、鶏眼(魚の目)、タコ、イボなども2割くらいの方に見られました。また、腰痛だけでなく、五十肩、肩こり、頭痛などを訴える方の殆どが足に異常が見られました。
つまり、「整形外科的な慢性疼痛の殆どは足に原因がある!」という結論に至ったのです。
では、何故、真の原因である足が最初に痛まず、離れた場所の腰や肩や頭が痛くなるのでしょうか?
その理由を、腰痛を例にとって、次のように考えることができます。
その理由を、腰痛を例にとって、次のように考えることができます。
足に不具合があっても、人体は活動を続けるために、その上の筋肉(下腿、大腿)を使いバランスをとろうとする。その筋肉が疲労すると、更に上の筋肉(骨盤、脊柱起立筋)で、バランスをとろうとする。最上部の筋肉は、その上に庇う筋肉がないため、酷使されることになる。極限まで疲労が蓄積すると、警告として腰痛が発生する。
私の経験では、椎間板ヘルニアが神経を圧迫したり、腰椎の周辺組織が炎症を起こしたりして 腰痛が発生したと考えられる症例は皆無でした。真の原因は腰痛が起こるだいぶ前から足にあったのです。
しかし、痛みがなかったので気が付かなかったのです。ある期間が経ち、いよいよ庇いきれなくなった時に、足から遠く離れた場所に痛みが出現したと、こういう訳だったのです。
西洋医学では、人体を骨格の周りに筋肉という部品をつけて組み立てたロボットのように考えます。ですから、不具合の起きた場所に局所的な処置や手術、人工関節置換などを行います。その結果、仮に痛みが一時的に治まったとしても、根本的な治療ではないので、再発や副作用に悩む症例が非常に多いのです。
一方、ホリスティック医学では、人体はひとつの受精卵から発生し、頭から爪先まで膠原繊維ネットワークで有機的に繋がっており、その中で骨が浮いていると考えます。
これを張力統合体(Tensegrity)と言い、膠原繊維ネットワークの強力な張力が骨や臓器を支えていると捉え、柔軟性に富むのが特徴です。
ですから、人体の一部に不具合が生じても全体でバランスを取ることができます。その結果として、真の原因から離れた場所にゆがみが生じることがよくあります。そして、原因が取り除かれれば、基の状態に自然に復帰することができます。
足が原因で、遠く離れた腰や肩などに変形や痛みが生じるのはこういう理由なのです。また、足の施術だけで、腰や肩など離れた場所の疼痛が軽快することがよくありますが、その理由もこれで十分説明が可能です。