通信の地方自治化

 段々畑の一角の家に引っ越ししたときの一番の問題は情報に金がかかることである。

私の場合はネットが仕事を支える土台であり、田舎で東京の仕事をするにはそれはいわば生命線である。

 田舎ではケーブルテレビが主流なので、引っ越し前の3ヶ月前から、そこの光に入ろうとしたが、私の家は下の街から400mくらい上にあり、なんとその工事費の見積もりが50万円だといわれ、断念した。

さらに、調べてみると、NTTの光が、すぐ下の街には来ているが、私のところだけは光が来ていない。そのため、NTTの電話回線を使った高速ADSLにしようとした。

 あるとき、前の住人がソフトバンクのヤフーBBに入っていたことを知って、電話はNTTで、ADSLがソフトバンクだった。そこで問題になったのが、うちの子どもたちがAU携帯を一番好きだった。携帯をソフトバンクに変えようとはしなかった。それは友人の多くがドコモかAUであり、ソフトバンク同士の無料とその時間帯のメリットが少ないからである。

 ネットと携帯をうまく使おうとして、最近宣伝をしているEモバイルを検討した。そこでも固定電話によるADSLのセットにすると安くなることを知った。そこで、子どもたちに、いうと、ウイルコムがいいという。AU携帯とウイルコムPHSを2つ持っている学生が一時増えたが、最近はほとんど宣伝をしていない。そのわけは、ウイルコムは携帯の低料金化でその経営が厳しくなっていたからだ。倒産する可能性が大きいことを知った。

 そこで、Eモバイルを検討したが、1円パソコンはいいが、PHS携帯は人気がない。つまり、今や携帯による一定料金のWEBし放題におされている。

 当方は仕事上WEBを見るのではなく、アップする方なので、無線には限界がある。光か、ADSLかである。そこで、子どもも私もAU携帯であるので、それと一番連動している、AUの固定電話とそのADSLネット回線に入ることにした。

 そのメリットは、AUの固定電話からすべてのAU携帯への電話は無料になるということだ。早速、AUショップに駆け込んで、その申込をしたが、また問題が生じた。私の地区は、NTT電話からAU電話に切り替える人が多く、順番待ちだった。その理由は、NTTがAUに電話の権利を売らないという状況があったためだ。どうやら、地区ごとに、電話回線の割り当てがあり、NTTの持ち分とAUの持ち分が決まってしまうことだ。

 しかし、1週間あとに、どうやら、AUから連絡があり、NTTの回線が買え、新しい電話番号を通知してきた。やっと安堵したのだが、問題はまた起こった。

 前の住人が残していってくれたテレビアンテナにテレビをつないだら、とにかく映りが悪く、カラーが白黒になったり、画面がぶれており、とても我慢できる範囲ではない。そこで地デジに代えたら、よく映るかもしれないと思い、市役所にその補助制度があるかときいたら、県の総務省の地デジセンターを紹介された。

 そこで、びっくりしたのは、山梨県ではNHKとテレビ山梨とYBSの3局しか映らないことを知らされた。担当者が笑いながら、

「東京から来た人はみなさん驚かれるのですが・・・」

山梨の常識と東京の常識はえらい違いなのである。私は丹波山でも塩山でもケーブルテレビだったので、BSとCSを入れると10数チャンネルみられ、しかも東京の番組はみなみられた。

こうなると、子どもたちは、家よりテレビ優先だと主張しはじめた。友人の話の中心はテレビだから、会話が成立しないというのである。

 よくNTTの光でテレビも見られるという宣伝があるが、それはほんの一部の地域だけであり、山梨ではそれは適応されない。まして、下の街のNTTの光回線でも、テレビは見られないことを知った。

 情報の宝庫であるテレビをみるためには、地元のケーブルテレビに入るしかない。そこで、再度、ケーブルテレビに電話して、設置する工事代50万円をまけてくれるようにお願いした。

 この50万円という費用は、田舎で情報生活をするための改装費用のように感じており、家の中心にテレビがあるように、田舎にとって、外の情報がもっとも価値が高いのである。

 都会ではテレビは無料で観ることができるという常識があるが、田舎ではケーブルテレビの工事費が約10万円、毎月約3000円の出費するのが常識になっている。

 日本の常識は世界の非常識といわれるように、田舎の常識は都会の非常識でもある。

「とにかく、テレビだけでも観られるようにしてほしい」

 と、再度地元のケーブルテレビに電話をし、再見積もりをお願いした。すると、どうも、そこはワンマン社長のようで、すべては社長の気分次第で値段が決まるようだった。そのため、私と同じくらいの年代の担当者は苦労していた。

 1月の見積もりの50万円から、3ヶ月後の4月の見積もりは大きく一転した。条件付きで、8万8千円の工事費でやってくれることになった。どうも、そのときは、社長の気分がよかったためと、無料の光キャンペーンをしている最中だった。

 もちろん、私の新居はこうしたキャンペーンなしの地域ではあり、正規の工事費である、有線テレビとネット回線工事代金の合計が8万8千円だということだった。

 条件付きとは一番高速の30Mのネットに入会し、しかも、5年間続けるという念書つき契約だった。問題は、すでに私はAUの電話とADSLのネット回線に入っており、それを解約するわけにはいかなかったことである。

 テレビだけでは工事しないというので、やむなく、私はネット使用料の5000円をケーブルテレビとAUにダブルが払うことにした。しかし、いずれ、AUのADSLは解約して、東京の店のNTTの光をAUの光に代えればそれが可能になれそうだ。しかも、東京のAU光からAUの転送携帯費を無料にする可能性もある。

 今回、テレビとネットの田舎生活をする上で、はっきりしたことは、

 田舎の常識と都会の常識はまったく逆のことがある

 ということだった。都会では情報は安価だが、田舎では高価である。土地やはその逆である。

 また、こうした通信は国による地方自治化政策にもいえるだろう。

 ケーブルテレビとは地方自治であり、NTTや国、 ソフトバンクやAUは大地方にあたるように思える。

 そこで、NTTの既存の電話回線や光回線を、ケーブルテレビが買い取れ、または借りることができるようにすればいいかもしれない。

 同軸ケーブルによるネットやテレビ回線は遠くにとばすには増幅器が必要であるが、光ファイバーではそれが必要でなく、いくらでも遠くにとばせることを知った。今や、電話回線もテレビ回線、ネット回線はすべて光ファイバーに代わる時代に入ってきている。光一本ですべて可能である。

 ケーブルテレビにとって、NTTの光によるテレビを月500円で観られるのは驚異であろう。そして、今光ファイバーの時代の過激な経済戦争が起きているのである。

 そのため、国がお金だけでなく、通信の地方自治化をしていかないと、地方の20数人規模のケーブルテレビ会社はつぶれてしまうだろう。

 それにしても、通信とお金はよく似ているだけでなく、ひょっとしたら、本質的に同じものなのかもしれない。

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