自然循環を目的にすると善悪・美醜の境が消えてくる

 昨日、前の住人から、ビニールハウスの中のブロッコリーにアブラムシがたくさんいるとあわてたかのように告げられた。

なんでそんなに大変なことなのか?

当方はさっぱりわからない。アブラムシということは小学生のときに習ったことはあるが、実際どの虫がアブラムシなのかも知らなかった。そこで、教えてくれたNさんに、どれがアブラムシなのかを教えてもらった。2種類あって、羽がはえているのとないのとがあるという。

アブラムシ

 羽のあるアブラムシについては

「・アブラムシの数が増えすぎ、吸収する養分が不足すると、ホルモンの分泌により羽を持つアブラムシが生まれる。
・羽を持つアブラムシは飛び立ち、別の場所で、またメスになる子虫を産み始める」

 とある。

羽がはえているアブラムシが飛んで他の作物に害を与えるため、まるで感染症のような怖さなのかもしれないと、その驚きの意味がようやくわかってきた。

 ちなみに、丹波山でよくみた雪と間違えた雪虫はアブラムシの一種で「トドノネオオワタムシ」というらしい。なぜか、羽のはえたアブラムシと雪虫が同じ種類の虫とは感慨深いものがある。

 そのため、1畝(セ)・・1アール・・30坪・・全体に小さな黄色い花を咲いていた背丈1m以上もあるブロッコリーを抜き取って、果樹を植えようとする場所にまき堆肥にすることにした。

 私が果樹を植えようとするところは土が硬く、スコップが入っていかない。そこで、振動ドリルで石を砕くようにして、穴をあけ、そこをスコップで削り落とすことにした。すると、どうも粘土質の土でそれが乾燥して固まっている感じが全体になっている。

 そこにはほとんど雑草が生えていない。そして、あさく10センチくらいの下にビニールが敷かれていた。

 そこで前の住人のNさんに、

どうしてビニールシートを敷いて、その上に土を築いたのか、聴いてみた。

 すると、土を殺菌消毒して、雑菌や雑草の種を取り除くため、猛毒な農薬をまき、それが水で流れ落ちないようにしたという。

 そして、その殺菌消毒した土と堆肥をまぜて、花の鉢植えの土を作っていた。その土や堆肥は4トンあたり、1万から2万円で大量に買って、作っていた。

 私たちが花の鉢植えは、「土と堆肥と農薬と1つの種」を買っていることになる。

同じ場所で、そのビニールシートを敷いたところの土は焼いた粘土のように固くなっているが、敷いていないところはスコップが入るくらい柔らかかった。

私の推意では、ビニールシートと農薬でその土地は空気と栄養と水を奪われ、死滅し、石になった。それは植木鉢のような乾燥したブロック岩石になったと思える。

ここに果樹を植えようとしたら、ビニールシートを取り除き、水分と空気と堆肥で生きかえさせるしかないだろう。そのため、つるはしを買って、固い石のような土を砕いていく必要がありそうだ。

一方、まわりではブドウの木に大量の農薬をまいていた。

ふと思うのだが、こんなに農薬を使わなくてはいけない農業は何かを犠牲にしている。とくに、日本人の死亡率がもっとも高いガン発生と深い関係があるような気がする。

もちろん、そんな因果関係は証明されていないが、何か自然からの逆襲を受けそうな気がするのである。

悪菌と善菌の境、美しい花と醜い花の境がどうも見えない。人が目の前の欲望がその境を作っているような気がする。

1畝の休耕畑には一面に紫の雑草が生えている。それをネットで調べたら、ホトケノザという名の雑草のようだ。

「ホトケノザですね、一面だと綺麗でしょうね^^ 綺麗ですし、残肥の分解にもなりますし、今は置いておいてもいいと思います*

でも畑の準備のときには抜きますよね、普通・・。根の深さが競合しない野菜だったらコンパニオンプランツになることもあるようです」

 それにしても、「ホトケノザ」とはとてもすばらしいネーミングだ。

ホトケノザ(仏の座)  シソ科 
別名:サンガイグサ(三階草)
花期:春

 花の下にある葉は茎を包み込むようになっている。これを仏の蓮華座に見立てた名前。別名のサンガイグサ(三階草)も,花が数段につくことによる。春の七草のホトケノザはタビラコのこと。 

 この雑草は花屋でもちろん売っていない。でもきれいな小花だ。花屋で売っている鉢植えの花とそう変わりがないようにさえみえる。

 どうやら、人間の目の前の欲望の視点から世界をみるか、地球の視点からみるかで、善悪・美醜・損得が大きく違ってくるようだ。

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