お金と自然

 明日の参議院選では「消費税増税論議」がポイントになっている。各党共通しているのはいつかは増税せざるをえないことだ。事業仕分けで捻出したり、無駄を省いても、借金は返済できそうにないからだ。

G20サミットの声明では、先進国について2013年までに財政赤字を半減するとの目標が盛り込まれたが、日本については「G20として、日本の状況を認識し、日本政府の財政健全化計画を歓迎」との一文が盛り込まれ、事実上の例外扱いとなった▲

 これは、日本の借金とギリシャの借金の国民1人当たりの比較をすると、日本はギリシャの倍以上の約693万円ある。

5月10日、財務省は「国の借金」残高が10年3月末時点で過去最大の883兆円に達したと発表した。国民1人当たり約693万円(7万5000ドル)の借金を抱えていることになる。ギリシャは半分以下の3万2500ドルだ(ただし1人当たりGDPは日本の7割しかない)▲

借金と収入の比率は公的債務高と国内総生産GDPの比率をみれば、

▼日本の公的債務残高は対GDP(国内総生産)比で約200%。ギリシャは115%▲

さらに、

▼09年度は日本の国家予算の約4分の1が既存の債務返済と利払いに充てられた。10年度予算では、新たな借金となる国債発行額が戦後初めて税収を上回った▲

平成22年度一般会計予算の概要

 で、これは大変というわけで、消費税5%(約10兆円)を10%(約20兆円) で10兆円増税して、さらに、事業仕分けと無駄を1兆円経費削減しても、とても借金返済には追いつけない。

 でも、日本の財政は世界からみれば安定しており、円高になるくらいである。G20でも、日本は例外扱いである。

これは、次の理由によると考えられる。借金する日本政府を旦那さんとすると、その貸金する日本国民はその奥さんであるからだ

1.ギリシャ政府の負債の債権者は七割以上が外国人、日本はわずか6%
2.ギリシャ国債の金利は7%、日本は1%台で世界最低
3.ギリシャ政府の支払う金利は、七割以上が外国人に支払われるが、日本は94%が国内の金融機関(及び家計)
4.共通通貨ユーロの性質上、ギリシャ政府が償還や利払いの負担から逃れる術はデフォルト以外にないが、日本は日銀に買い取ってもらえば償還や利払いが不要になる
5.日本円は日本政府に 『通貨発行権』 があるが、共通通貨ユーロはそれがない。
(EUは、経済財政と政治制度は各国個別にできるにもかかわらず、通貨を統一しているために、自分の国だけのを考えての金融政策が出来ない)
6.ギリシャは延々と経常収支赤字を続け、国民一人当たりの経常収支がアメリカの3倍にも達しているが、日本は延々と経常収支黒字で、世界最大の純資産国(要は金持ち国家)

 ちょうど、元首相である鳩山さんが、母親から年間数億もの借金いや贈与を受けて政治家を続けることができているようなものである。旦那さんが借金を返済できずチャラにしても奥さんは笑ってそれを受け入れることができる。それがダメなら、日銀がすべて債券を買い取ってもらうことも可能だからだ。

 でも、これは日本人特有の甘え構造だろう。

消費税を上げる論議にしても、解せないのはその前提が一律だからだ。他国の消費税を比較するなら、個別消費税として食料品とその他を分けなければ、景気回復と健全財政は両立できない。

▼世界の国々の消費税率比較表
国名 消費税率(%)と 食料品の消費税率(%)
イギリス 17.5と0
フランス 19.6 と5.5 
イタリア 20 と10
ドイツ 17 と6
オランダ 19 と6
アイルランド 21と 0
ポルトガル 19 と5 
スペイン 16 と7 
スイス 7.6 と2.4
ノルウェー 24 と12
スウェーデン 25 と12
デンマーク 25 と25
オーストラリア 10 と0
メキシコ 15 と0
アメリカ ※ ※
日本 5→15? と5→15?

 お金とは水のようなものである。そして、税とはその水の性質で常に水平に保とうとする働きである。

たくさんのお金があるところから、ほとんどお金のないところにお金を流し、国民すべてを経済的に公平にする働きが税金である。

そうしないと、国全体が栄えないで枯れてしまう。

 所得税や資産税のように、資産の多い人から税金をとって、資産の少ない人に税金を与える方向にするのは消費税とも同じであろう。資産の少ない人がその資産のほとんどが食料品にまわっていることからすれば、必要食料品を無税にして、嗜好品や贅沢品を増税することは基本的なことではないだろうか。

 お金を命の水のような血液として考えれば、国民1人1人は各細胞である。その細胞すべてに血液が順調に行き届かなければ、金持ちも貧乏人もみな死んでしまうことになる。

 今のお金のシステムにしても、食料のような実質経済が1割で、債券を主体としたギャンブル経済が9割になっている。その流れを健全な実質経済として、せめて5割にもどそうとするならば、衣食住貨幣とギャンブル貨幣をパチンコの現金とパチンコ玉のように交換率を調整できるように分離した二重貨幣制度が必要になるだろう。

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