ニュー・ベーシック・インカムの提案

 
 ▼消費税増税論議から

 景気を上げながら、健全経済に移行する政策をするためには、すべての商品を購入する際に一律消費税をかけることは、後でその税金を社会事業費に回す必要がかかる。しかし、その税金が借金返済に回ってしまう現実性の方がはるかに大きいからである。

 そのため、消費税を最初から社会事業費に振り分けて増税した方がより安全な政策である。

 これは他国の消費税の個別消費税を学ぶことで解消される。とくに、税率が日本に近いオーストラリアの個別消費税の政策を学ぶことができる。

 食料関係の必需品は無税だが、嗜好品などの贅沢品は10%以上の課税される。そのため、消費税増税というよりは、消費税の個別消費税化になる。食料品は税率が安くなり、それ以外は税率が高くなる。

 
 ▼ 新しいベーシック・インカムを考える

 ベーシック・インカムとは国民の生存権を保証するすべての国民に等しく基礎生活費を渡す政策である。大人は毎月8万円、子どもは毎月4万円という具合に保証する。

 しかし、この実現にはその財源確保が難しいことが一番の問題である。

 そこで、このベーシック・インカムという基本生存権を貨幣改革で実現できると思える。

 これは先の個別消費税の導入と同じ概念による貨幣改革である。

 食料品には無税、それ以外は増税というような、お金の使い道による貨幣の分離をするのである。

 お金を政府が最もお金を使うところである社会事業費とそれ以外に分けるのである。

 人間らしく生きるためには、「健康で文化的な生活」が欠かせない。それが人間らしく生きられる最低限医療・教育・衣食住費である。

 この最低限の医療・教育・生活を支えるお金をベーシック通貨を発行し、現在のお金と分離するのである。ベーシック通貨は現在のお金の日銀が発行するのに対して、政策に合わせて財務省が発行すればいいだろう。

 現在世界は金融危機に陥っているが、その原因はあまりに金儲けに走る経済が優先したため、お金が実質経済が1に対してギャンブル経済9の割合になってしまったためである。それはオイルに対する投資の状況でオイルの値段が上がり下がりするため、生活が困窮してしまう状況である。

 つまり、現在の世界の家計は、生活費を奥さんがしきっていたが、旦那さんがギャンブルに狂って、その金をみな使ってしまっているという状況である。

 そこでもしお金を生活費とギャンブル費に分け、それが交換できなければ家庭の生活費を旦那さんがギャンブルに使うことはできなくなる。

 この発想が地域通貨の発展につながってくる。しかし、地域通貨がほとんど発展しないのはこの生活費とギャンブル費をはっきりと分離することは難しいからである。

 そこで、今日の天気予報は雨か晴れかという白か黒かの分離ではなく、降水確率何パーセントというような表示をすればいいことになる。

 これは生活通貨とギャンブル通貨の交換比率をつけることで分離がより可能になる。この交換比率を0%にしたら交換できないということもできるわけだ。

 物価が需要と供給で決まるように、国民の需要と政府の供給との政策で、生活通貨であるベーシック通貨とギャンブル通貨である現通貨の交換比率を決めることができる。

 日銀が公定歩合によって金融界を調整するように、財務省が生活通貨の交換比率を調整することで国民生活を安定化させることができる。

 ▼例えば

  財務省が発行するベーシック通貨と日銀券の交換比率を2011年度を次ぎのように定めるとする。

  ・ 日銀券をベーシック通貨に交換する比率を50%にした場合

  日銀券 2円  → ベーシック通貨 1ベーシック円

 ・ ベーシック通貨を日銀券に交換する比率を25%にした場合

  ベーシック通貨 4ベーシック円 → 日銀券 1円

 になる。
  ベーシック通貨で買える商品の代表はお米である。

 米10キロ 4000円 の場合、ベーシック通貨だと2000ベーシック円で買える。

 ギャンブル通貨が使える代表はパチンコである。

 2000ベーシック通貨を日銀券に交換して500円でパチンコができる。

 つまり、

 個別消費税でいえば、米は1%に対して、パチンコの遊行費は4%かかるようなものである。
 
 ▼ベーシック通貨で使えるもの


 人間らしく生きられる教育・医療・衣食住費である。これは個別消費税を決めるときのように、細かく分類すればよいだろう。

 例えば、専門校を入れた大学までの授業料・入院医療看護費・一般のよく売れるスーパーやコンビニで売られる食料・雑貨・衣料・日用品、アパートの家賃などである。

 もちろん、これらは現通貨でも支払うこtができるが高価になり、ベーシック通貨だと安くなる。これは、政府が高額所得者から税金をとって、その税金を社会事業費に回すことと同じである。違うとすれば、いちいち政府が消費税を増税したり、事業仕分けをして節税したり、法案を作る手間が省けることになる。
 
 ▼新通貨発行によるインフレはあるか

 政府紙幣を大量に印刷した場合はハイパーインフレになる危険性がある。しかし、このベーシック通貨は現通貨の日銀券との交換することで、その危険性はなくなる。

 例えば、

 現在日銀券が1000兆円あって、さらに1000兆円印刷して、銀行に配布したらそれは物価が倍のインフレになるだろう。

 しかし、商品券やクーポン券のように、現金でベーシック通貨を買うことができるならば、その心配はなくなる。

 それには、政府が教育・医療・年金などの社会事業費にかかるお金をすべてベーシック通貨に両替して支払うようにすればいい。そうすれば、通貨流通量は変わらないので、インフレにはならない。

 しかも、税金の使い道を社会事業にする効果ば倍以上になるだろう。子供手当を日銀券で1人1万3千円を出す代わりにベーシック通貨6500ベーシック円を支払えば、もらった人はそのお金を貯金したり、遊行費に使わず、確実に授業費に使うので効果は倍以上になるだろう。

   年金などの社会事業費を全部ベーシック通貨に両替した場合、結果的にベーシック通貨を発行し、現通貨を捨て去ることになる。例えば、歳出の27兆円の社会事業費をベーシック通貨13.5兆ベーシック円に両替して支払った場合、日銀券の27兆円は捨て去ることになるのですが、それを、歳出の国公債の27兆円の支払にまわすとすると、将来予測される財政破綻はなくなる。

 しかし、現通貨を捨てずに借金返済に回すとインフレになる懸念が出てくるが、それは投資や貯蓄に回され、ベーシック経済には回らないため、基本物価に反映せずに、単に債券のような金融商品の価格が上がるだけになるだろう。

 投資を基礎経済にするにはベーシック通貨への投資が必要になりますが、先の例にすると、これは両替して半額、それを還元して25%になってしまうので明らかに損失をするので、けして投資対象にはならないから、基礎物価はインフレにはならない。

 つまり、ギャンブルで生じた損得は人の遊びだから、すべてチャラにして、実質経済を守っていくアイデアがベーシック通貨の発行になる。

 

 

 

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ニュー・ベーシック・インカムの提案 への2件のフィードバック

  1. Pika のコメント:

    なるほど。いいかもしれませんね。

    それにしても、哀しいのはギャンブル通貨が必要なことですね。

    人間の社会はおかしいことだらけです。

  2. ゴン のコメント:

    Pikaさんの感覚はやはりするどいですね。堅実な奥さんになっているからでしょう。ギャンブル好きなのは人間の遊びの本性だと思うのです。この元になっているのが、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」というところからくるのでしょう。
     理想的なのは、車のハンドルの遊びの割合と同じようにギャンブル遊びは10%以下になることでしょう。
     投資のよるギャンブルがあたりまえになっている時代を堅実な時代に持って行くには、麻薬中毒のようなギャンブル依存症を時間をかけて脱却する必要があるようです。そうしないとリバウンドしてしまいますから。

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